槍穂縦走 テント泊の旅|3日目 大キレットを越えて穂高岳山荘へ

    槍穂縦走の3日目です。


   いよいよ今回の最大の難所、メインイベントである大キレットを越えます!


   ※2日目はこちら(槍穂縦走 テント泊の旅|2日目 槍ヶ岳を登頂し南岳へ

3日目の山行

   今回は特に大キレットについて細かく書きます。


3日目のコース

   コースはガーミン245で計測しました。

   計測距離は経験上実際の2割増しくらいになることもありますが、そのまま記載しました。

  • 開始時間: 8月8日 05:20  
  • 歩行時間: 5h 40m
  • 歩行距離: 6.9km
  • 総上昇量: 750m
槍穂縦走 3日目 コースMAP

朝の南岳テント場

   朝は3時半起き。

   起きたとき、外は濃霧でした。


   朝食はサッポロ一番3兄弟の「みそ」です。


   テント場を出発するときに撮った写真がこちら↓

朝の南岳テント場

   今朝までのガスが晴れて、なんとテント場の向こうには北アルプスの山々が!

(左奥は笠ヶ岳かな)


   こんな素敵な場所だったんですねぇ。

   昨日この山々を見ながら黄昏時を過ごせたらどんなによかっただろう。

   なんとも残念な気持ち。。。


   山荘で水を追加して、手持ちの水を1Lにします。

   いよいよです。

   今回の登山のメインイベント「大キレット越え」の始まりです!


朝の大キレット

   まずは山荘を発って少し登ったところから「大キレット」を遠目に撮影。

朝の大キレット

   ん-、迫力あります。

   がんばるぞー!


下りからドキドキです

   すぐにストックが使えないような急な下りになります。

   この日はゴールの穂高岳山荘までストックはお休みです。


   鎖あり、梯子あり、狭い稜線ありで、長谷川ピークに向かうまでもかなりハードです。

大キレット 最初の下り

大キレット 最初の下り

大キレット 最初の下り

   ガスが晴れて笠ヶ岳がくっきり。

大キレットから見た笠ヶ岳

   大キレットもその全貌が明らかになります。

大キレット全貌

   左壁が緑色になってる最初のピークが「長谷川ピーク」です。

   その奥の灰色の岩のどれかが「飛騨泣き」です。


最低鞍部で一休み

   長谷川ピークを越える前に鞍部で休憩しましょう。

   水を飲み糖分を補給します。


   鞍部で撮った写真かは忘れましたが、振り返ると南岳(たぶん)を巻くように雲がかかってました。

   下ってきた道も確認できます。

南岳を振り返る

長谷川ピークは震えます

   個人的にはこの日一番怖かったのが長谷川ピーク周辺でした。

   切り立っているうえに高度感があり落ちたらアウトなところがいくつかあったからです。


   長谷川ピークを下から見上げるとこんな感じ。

長谷川ピークを見上げる

   てっぺんには「Hピーク」の文字。

長谷川ピーク

   ここまではただ登るだけなので簡単でした。

   怖いのはこの後です。

   落ちたらアウトやろーってところが連続します。


   矢印のくいに足をかけて進みます。

長谷川ピーク 難所

   写真の右側がもうアウトです。

長谷川ピーク 難所

   金属製のステップに足を乗せますが、足下が……ぞぉっ。

長谷川ピーク 難所

   ここはどう下りたらいいかわからなかったところです。

長谷川ピーク 難所

   左下の銀色のくいに足をかけて下りたのですが、左下の先は落ちたら真っ逆さまなのでめちゃ怖かったです。


   両脇絶壁のクサリ場のあとに、コの字のくいが梯子代わりになっていて、そこを下りていきます。こわいこわい。足が震えまくり。
長谷川ピーク 難所

長谷川ピーク 難所

   下りきった後に見上げてみましたが、どうやって下りて来たんだろうってくらい垂直です。

長谷川ピーク 難所


   この後もクサリや木の道があります。

長谷川ピーク 難所

長谷川ピーク 難所

A沢のコルで一休み

   長谷川ピークから続く恐怖ポイントもここで終了。

   終わってよかった~。

A沢のコル

   水を飲むなどして一息ついてから、飛騨泣きを目指しましょう。


飛騨泣きは怖くない

   次は大キレットの有名どころ「飛騨泣き」に挑戦します。

   もう怖いのはやめてくれ~、と心のなかで泣きそう。


   しかしここは「長谷川ピーク」ほど怖くはなくあっさりと通過できました。



   まずはA沢のコルから、これから行く道を眺めます。

   ん-、登りがきつそう。。。

A沢のコルから飛騨泣きまで


   進めば、もちろんクサリ場もあり。

A沢のコルから飛騨泣きまで

   振り返ると、長谷川ピークを見ることができます。

長谷川ピークを見下ろす

   左右に切れていて、こわっ。

   こんなところ、風雨の日には絶対通りたくないです。


   しばらく歩くと、北穂山荘が見えます。

   朝発ったときに比べてかなり近づいたことがわかります。

A沢のコルから飛騨泣きまで

   下の写真だとわかりづらいですが、正面の岩壁に打たれたくいに移る箇所(赤丸部分)で足場の左右が切れています。かなりおっかなかったです。

A沢のコルから飛騨泣きまで

   そしてこの先が「飛騨泣き」です。

飛騨泣き

飛騨泣き

   金属製のステップがあり、クサリもしっかりしています。

   落ちたらアウトなのは間違いありませんが、どこに足をかけてどう進めばいいかがわかるので、ほとんど怖くありませんでした。

   慎重にゆっくり通過。

   あっさり終わります。


   この後は危険はないですが急な登りがあるのみです。


展望台

   北穂高小屋が建っている岩稜を見渡すことができます。

大キレット 展望台

大キレット 展望台

   岩の圧倒的な物理量。すごー。


北ホあと200m

   待ってました、「北ホあと200m」の文字!!

北ホあと200m

   あとはただただ登るだけなのですが、かなりの急斜面なので、小屋が見えているのにかなり遠かったです。

   ただただがんばるのみ!

北ホあと200m

中間点!北穂高小屋

   本日の前半のゴール、北穂高小屋に到着!

   やったーーー、大キレットをクリアです!

北穂高小屋

北穂高小屋

   重い荷物を下ろして明るいテラスで昼食にします。

北穂高小屋 テラス

   んー、ガスってますね。最高の景色とはいかず。


   水場はこんな風になってます。

北穂高小屋 水場

   売店でお金を払って購入します。

   500mlで100円でした。


北穂高岳山頂

   北穂高岳の山頂は小屋のすぐ後ろにあります。

北穂高岳山頂

   青い空も見えるし晴れているのですが、ガスがずっと流れていて、360度のパノラマとはいかず。


   それでも気持ちのいい風が吹いて、北アルプスのてっぺんの一つに立っている気分にはなれました。

北穂高岳山頂

北穂高岳山頂

   今思えば、北穂の山頂が4日間で一番見晴らしがよかったですね。

   もう少し長く山頂にいて景色を満喫すればよかったとちょっと後悔。


穂高岳山荘までまだまだ

   大キレットは終わりましたが、穂高岳山荘まではまだ道半ばです。

   体力的には大キレット越えと同じかそれ以上を使うので、まだまだ気を緩められません。


北穂高岳南峰

   涸沢との分岐を越えて、少し登ると南峰です。


   奥穂高岳まで2.3km。

涸沢分岐点

   写真奥が南峰。

   先を急いでいたので今回はパス。

北穂高岳南峰

   この後、下りが待ってます。

北穂から奥穂までの道

   今朝大キレットに向かうときに見たような急な下りです。


   クサリ場もあります。

   大キレットほど危険な個所はありませんが、気をつけて進みます。


奥壁バンド

   滑落事故多数のエリアだそうです。

奥壁バンド

   大キレットに比べれば危なくはありませんが慎重に。

奥壁バンド

最低コル

   ここで荷物を下ろして休憩しました。

最低コル

涸沢岳

  最後の登りです。

涸沢岳までの道

   クサリ、梯子、クイ……本日の総決算とばかりになんでも出てきます。

涸沢岳までの道


涸沢岳までの道

   そしてたどり着いた涸沢岳の山頂は……、

涸沢岳山頂

   すっかりガスのなか!!

   残念すぎる・・・


ゴール!穂高岳山荘

   山荘は涸沢岳を下りてすぐにあります。


   まず見えてきたのはヘリポートです。

   地面に設置されているナンバープレートはテント場の番号になります。

穂高岳テント場 ヘリポート

   ここは吹きさらしで、右手からの風が強すぎます。

   できればここにはテントを張りたくないですね。


   山荘到着!

穂高岳山荘

   ガスっているせいで何時なのかわかりづらいですが、着いたのは12時前です。

   かなり早いですが本日の登山はここまで!


   空いているうちにテントを張ることにします。


穂高岳テント場

   テント泊の受付の手順は、

   ① 場所を選んで確保する

   ② 受付で選んだ番号を伝える

   です。

   1人1張で2000円でした。


   お昼ごろのテント場の様子。

穂高岳テント場

   まだまだ空きがあります。


   テント場のサイトMAPはこちら↓

穂高岳テント場 サイトMAP


   左上のヘリポート付近は吹きさらしなので敬遠。

   風が弱いのは山荘を出てすぐの場所か、道を挟んで右の斜面です。

   僕は18番を選びました。


   穂高岳山荘のテント場も昨日の南岳テント場同様岩場で、ペグが刺さりません。

   その代わりにちょうどいいサイズの岩がゴロゴロ落ちているのでそれでテントを固定します。(写真左側のペグは、この後さらに石を覆いかぶせてがっちり固定しました)

穂高岳テント場 Lanshan1 非自立式テント

   前後のスペースが狭いのでテントを張れるか心配でしたが、なんとかテントを張ることができました。

穂高岳テント場 Lanshan1 非自立式テント

穂高岳テント場 Lanshan1 非自立式テント


   ただLanshan1は横に長いので、1.3サイト分ほど使ってしまい、実質隣りのサイトが使えなくなってしまいました。(申し訳ない)


   この日は空いていたのでよかったですが、繁忙期で遅い時間に着いていたら、Lanshan1はこのテント場では張れなかったと思います。


   夕方ごろのテント場はこんな状態でした。

穂高岳テント場

   山荘に一番近い最下段は横にびっちりテントが並んで詰まっていますね。


水場

   穂高岳山荘の水場は宿泊者(テント泊含む)なら無料です。

   また雨水ではなく雪解け水なのか、そこそこおいしかったです。

穂高岳山荘 水場

お昼寝場

   お昼過ぎにはテントを張り終わったので夜までたっぷり時間があります。

   山荘前のお昼寝場でストレッチしたり、他の登山者とお話したり。

穂高岳山荘 お昼寝場

マイテントにて

   テントに戻って、持ってきた村上春樹のエッセイを読んだり。

   明日行く重太郎新道のコースをネットで調べたり。(結局悪天候で行けませんでしたが)


   ほんとだったら、フライを開くと、奥穂高岳が目に飛び込んできて絶景だったのでしょうが、この日はガスでほとんど見えず。

穂高岳テント場 18番 正面の景色


   うーん、なんのためのテント泊なんだか。

   重いテントを担いでここまで来たのにご褒美が無いぞ、ご褒美が(^_^;)



   4時を過ぎたら前室でご飯を炊き始めます。

夕食

   夕食はフリーズドライのビーフシチュー。

夕食

   フライを開いて景色を見ながら夕食を食べようとしますが……、

   ガスが増えてさらに何も見えず。

夕食

   ご褒美をくれ、ご褒美を(^_^;)


大キレットまとめ

   ということで、念願の「大キレット越え」をレポートしました!

   登山を始めて20年以上。大キレットへの挑戦はタイミングが合わなかったこともあってなかなか実現できませんでしたが、ようやく達成できました。よかったよかった。


   僕が大キレットで感じたことを下にまとめます。

  • 飛騨泣きよりも長谷川ピークの方が怖かった
  • 思ったほど体力的には疲れなかったが神経を使うので別の意味で疲れた
  • 初めて槍穂縦走するなら槍ヶ岳山荘ではなく南岳山荘に泊まって距離を短くしておいた方がいい
  • 北穂岳から穂高岳山荘までのルートは危険は少ないが体力的には疲れる

   大キレットは「案ずるよりも生むがやすし」で、終わってしまえば簡単に感じました。

   しかし一発アウトなルートであることは間違いないので、初めての人は十分すぎるほど準備して余裕を持って臨んだほうがいいと思います。


次回へ

   メインイベントの大キレットも終わってあとは下るだけです。

   しかし、最終日がまさかの悪天候で……!?


   ⇒ 4日めはこちら(槍穂縦走 テント泊の旅|4日目 奥穂高岳登頂とまさかの荒天(但し山頂のみ


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