骨伝導イヤホン boco「earsopen」 EQを調整しよう! ~感想その3 1か月目

   骨伝導イヤホン「earsopen」を使用して1月以上が経ちました。
   最近の使用状況は、下のような感じです。
  • NW-M505に挿してランニング時に使用
  • 朝、通勤前にXDP-100Rに挿して和室で寝ながら視聴
   だいたい2回目の感想で書いた状況と同じですね。「earsopen」も生活にだいぶなじんできました。最初戸惑っていた耳への取り付けも慣れてきて、良い位置(スイートスポット?)にささっと取り付けることができるようになりました。

   前回の最後に、次は音質について書きますと宣言しましたが、音質はやはり同じ価格帯(1万円)の普通のイヤホンと比較すると厳しいものがあると思います。特に低音が出ていないのがいかんともしがたい。

   そこで、今回はイコライザ―(EQ)の調整で、音質を改善できないか(ごまかせないか)について書きます。

   まずは音の参考となるイヤホンを決めます。カナル型ではなく、セミオープン構造のONKYO製の「E700M」を参考にすることにしました。理由は、完全に耳を塞ぐカナル型よりは、E700Mの方が、低音はやや弱いけれど音の響きが自然であり、earsopenが目指す音の方向性として良いんじゃないかと考えたからです。
   次に、例題の楽曲は、スピッツの「醒めない」にしました。理由は、楽器パートはいろんな楽器の音が入っていて、歌パートは草野マサムネさんの美声を聴けるので、音調整の良し悪しを議論しやすいと考えたからです。
   DAPはPioneer製「XDP-100R」を使用します。
earsopen(左)とE700M(右)

   それではいってみましょう!




まずはどんな風に聞こえるか

   イコライザーをOFFにした状態で、スピッツ「醒めない」をE700Mとearsopenとで聞き比べてみました。
   ただし、両者で音量が違うので、boco謹製アプリ「EO Booster」を使って、earsopen使用時の音量をUPします。これでエンハンサーをON/OFFするだけで、E700Mとearsopenの音量がほぼ同じになりました。
エンハンサーの位置は中央くらい

   まずはイントロの演奏パート。ここはearsopenで聴いてもそれほど見劣りはしません。ギターとドラムとキーボードの演奏は、やや音が軽いですが、そんなに悪くはないです。
   しかし、ベースが聞こえない。ベースは少し遅れてスライドで入ってくるのですが、そのスライドの音が聞こえた後は、ほとんど聞こえない。演奏してないんじゃないかと不安になるくらい。同様に、バスドラムの音も良く聞こえません。やはり低音が弱いです。
   もちろん、E700Mではベースもバスドラムもちゃんと聞こえています。

   次に歌パートです。earsopenでは主役のはずのボーカルの声がもやっとしている。リバーブがかかった感じがします。これは、楽器パートもそうなのかもしれませんが、特にボーカルで顕著に感じられます。骨伝導特有の現象なのでしょうか。
   また、音が軽く感じます。イントロから歌に入ったときにボーカルの存在感が弱い。E700Mだときれいに歌声が響いて、きゅんっとなるところです。

   ということで、課題は低音とボーカルの音です。これをイコライザーで直してみます。

とりあえず低音を上げてみる

   何も考えずに、EQの低音側をMaxまで持ち上げます。どうだ!!
   しかし、ほんの少し低音がマシになっただけです。
   低音は諦めた方がよさそうです。(あっさり……)
低音、どんっ!!

ならばボーカルはどうだ!?

   低音はとりあえずEQで持ち上げておきます。(おまじない)
   せめて歌の主役のボーカルは救いたい。ということで、100-500Hzあたりを持ち上げてみました。
   うん、ちょっとボーカルが引き締まった気がします。
   最初に書いたリバーブがかった感じはどうしても残りますが、草野さんの歌声の存在感が戻ってきた気がします。あとは好みによってこのあたりの周波数を細かく調整すれば、一般的なイヤホンの音に少しは近づくのではないでしょうか。
   よし、赤上げて白下げて、音質を追い込んでいくぞー!

   しかし、この後、EQをいろいろ触ってみたのですが、触れば触るほど、何が正解なのかわからなくなってしまいました。音質も改善しているんだか劣化しているんだか、全くわからない……うーん。
   実は普段はEQは全く使わないんですよね。音を加工しているみたいで嫌なので。

   ということで、最終的にもういいやって感じで投げやりに決定したのが、下のような周波数カーブです。低音と中音にコブが2つあるカーブになりました。高周波の方は、アプリの中にプリセットで入っていたデータを参考にしました。あまり意味はないかも。
最終的な周波数カーブ
  結果的として、 セミオープンタイプのイヤホン「E700M」の音に近づけたかというと……多少は良くなりましたが、うーん……といった答えです。。。




まとめ

   やはり、一般的なイヤホンと音質を比較するものではないというのが1つの結論です。
   それよりも、耳を塞がないという特徴を生かして、これまでのイヤホンよりも使用機会が広がることを、メリットとしてどれだけ感じられるかだと思います。
   earsopenが活躍するのは、自転車運転時、ランニング、それに人から話しかけられる機会が多い状況などです。
   会社でearsopenを装着して好きな音楽を聴きながら仕事をするなんていうのは、本来なら最高の活躍の場だと思います。「空を飛べるはず」を聴いて奇跡が胸にあふれているときでも、上司に呼ばれたらすぐに駆け付けることができます。まあ、イヤホンを付けるのは職場の暗黙のルール的に許可されないことが多そうですが。

   僕は、ランニングや、家族のいるリビングで休憩しているときにearsopenをよく使用します。ランニングでは周囲の音が聞こえるので安全ですし、耳にタッチする部分が少ないので蒸れません。また、家族といるときは、子供に話しかけられても、良く聞こえるので、いちいちイヤホンを外す必要がなく、楽です。
   僕個人としては、使いたいシチュエーションに合っていたので、買って良かったと思います。たぶん、これからも使い続けていくことでしょう。

   ただ、他の骨伝導イヤホンを試したことがないので、骨伝導イヤホンとしてearsopenは、性能が良いのか悪いのか、コストパフォーマンスは良いのか悪いのか、は気になるところです。とはいえ、もう1個、骨伝導イヤホンを買うほどのお金もないですし。
   さすがに買うのは無理ですが、周囲の音が聞こえるイヤホンにはどんな種類があるか、いろいろ調べてまとめてみても面白そうですね。