ガーミン「Instinct 2X Dual Power」のレビューの第2回です。
前回は「開封」から「スマートウォッチ機能」までを紹介しました。
今回はいよいよ「Instinct 2X Dual Power」(以下、ガーミン2X)の真骨頂である「ランニング」「登山」などのアウトドア機能と、気になる「長時間バッテリー&ソーラー充電」についてお話します!
目次[非表示]
はじめに
基本的な機能
ガーミン2Xのサイズ感や基本的な機能については前回紹介しています。こちら↓
【レビュー】ガーミンInstinct 2X Dual Power|スマートウォッチとしての機能を紹介!
ボタン操作
ガーミン2Xにはボタンが5つあります。
ここではそれぞれ「左上」「左中」「左下」「右上」「右下」と呼ぶことにします。
それぞれのざっくりとした役割は
- 「左中」⇒UP
- 「左下」⇒DOWN
- 「右上」⇒決定
- 「右下」⇒戻る
です。
上記は短押しの場合です。
ボタンには長押しもあり、また役割が変わってきます。
アクティビティ
「右上」ボタンを押すと「アクティビティ」へ移ります。
種目はいくつもあります。
これらは編集でき、追加・削除・並べ替えが可能です。
編集するには、時計表示状態で「左中」長押し→「アクティビティとアプリ」と進みます。
その後、UP/DOWNで個別の種目を選ぶか「追加」を選ぶことで編集します。
ランニング
まずはもっとも使うであろう「ランニング」からいってみましょう!
GPSの捕捉時間
GPSの捕捉は驚くくらい速いです。
「ランニング」を選択して、準備体操をしようと「よいしょ!」って体を動かし始めたらもう「ピピッ」と鳴ってGPSを捕捉完了しています。
![]() |
丸窓に「GPSレ」と表示されると捕捉完了 |
GPSの捕捉時間はランニングウォッチを買い替える度に速くなっていて、技術の進化を感じます。
走る!
ガーミン2Xはアウトドアモデルですが、ランニングの機能も充実しています。
たぶん機能は245などのランニングウォッチとほぼ同等だと思います。
基本画面は「ペース」「タイム」「距離」が表示されています。
UP/DOWNキーで画面を遷移すると他の項目も見ることができます。
ターゲット
ランニング画面表示中にUPキーを押すとオプション画面に移ります。
ここで「ターゲット」「インターバル」「レース(過去の自分の記録との勝負)」などを選ぶことができます。
僕がよく使うのは「ターゲット」です。
「距離10km、ペース5:00/km」といったふうに目標を設定できます。
なお10km走り終わっても計測は自動で継続してくれます。
「ターゲット」の画面では黒色の自分(手前)とグレイのペースメーカー(奥)がかけっこをして、目標に対して早いか遅いかを示してくれます。
ターゲットよりもペースが早いときは黒色の自分がグレイのペースメーカーよりも右に進みます。
この写真を撮影したときは静止していたので(残念ながら走りながら写真を上手く撮れませんでした)、自分は止まっていますが、走り出すと走っているアイコンに変わります。
ちなみに、ペースメーカーとの時間差が数秒だとアイコン同士が重なっていてペースが速いのか遅いのかパッと見てわかりませんが、そのときは周囲の色で判断できます。
黒色だと自分が遅れていて、白色だと自分が速いです。
走り終わった後は
ウィジェットの「前回スポーツ」から結果を確認できます。
「距離、時間、ペース」、それから「ラップ」や簡易地図も見ることができます。
![]() |
ランニング結果 |
![]() |
ラップ |
![]() |
地図 |
ただ表示画面が小さく右上の丸窓の存在もあって「245」よりも結果は見づらくなったと感じます。
じっくり見たいときはスマホのアプリ「ガーミンコネクト」やPCを使った方が良いです。
マルチGNSSマルチバンドとは?
ガーミン2Xの売りの一つに「マルチGNSSマルチバンド」があります。
Instinctシリーズとしては初対応だそうです。
「マルチGNSS」はGPSだけではなくGLONASSやGALILEOといった衛星システムの電波も受信します。
「マルチバンド」は一般的なL1バンドに加えてL5バンドの電波も受信します。
ようはたくさんの電波を受信することで位置の精度を上げようってわけです。
但し、デメリットもあってバッテリーの消耗が激しくなります。
公式の仕様表によると、稼働時間は次のとおりです。
- GPSモード: 60 時間+85時間
- マルチGNSSモード: 40 時間+25時間
- マルチGNSSマルチバンドモード: 27 時間+9時間
※後ろの数値は特定の条件下でのソーラー充電による延長効果です。
なんとマルチGNSSマルチバンドの稼働時間はGPSの半分以下です。
バッテリーをそこまで減らすほどの測位精度の向上は本当にあるのでしょうか?
マルチGNSSマルチバンドの実力は?Field Testをしてみた
旧モデルの245をGPS+GLONASSモードに、ガーミン2XをマルチGNSSマルチバンドモードにして同じコースを複数回走り、計測距離にどのような差があるかをテストしてみました。
日にちを変えて往復約6kmのコースを計4回走りました。
下の写真のように左手に2つの腕時計を装着します。
測定条件をなるべくそろえるため、上下の位置は毎回入れ替えます。
4回測定した計測距離と平均値、標準偏差を下表に示します。
平均距離は245(GPS+GLONASS)が5.76kmで、ガーミン2X(マルチ)が5.74km。
標準偏差はどちらも0.03km。
平均距離、標準偏差ともにGPSモードの違いによる大きな差異は見出せません。
また走行ルートを地図上で見てみると、GPS+GLONASSモードでもマルチGNSSマルチバンドモードでも同じくらい道路から外れた場所をプロットしていました。
マルチGNSSマルチバンドモードなら正確に道路上をトレースしているのでは、と期待していたのですがそんなことはなかったです。
![]() |
マルチGNSSマルチバンドのコースの例 川の上にはみ出している |
ということで自分が普段走っている住宅街のコースでははっきりとしたマルチGNSSマルチバンドモードの優位性は確認できませんでした。
GPSモードの実力は?
次に、ガーミン2XをGPSモードにして、GPS+GLONASSモードの245と比較してみました。
計測データは2回しかないので少ないです。
平均距離はガーミン2X(GPS)が5.77km、245(GPS+GLONASS)が5.78kmでほぼ同等でした。
以上、GPS, GPS+GLONASS, マルチGNSSマルチバンドの3種類のモードを比較してみましたが、平均距離も標準偏差も大きな差はありませんでした。
バッテリーを考えたら普段はGPSモードで良いと思います。
マルチGNSSマルチバンドモードを使うなら、精度を気にする本番のマラソン大会のときでしょうか。
秋にある金沢マラソンのときは10mでも精度が高くなると信じてマルチGNSSマルチバンドモードで走ろうと思います。
登山
さあ、次はガーミン2Xの本領発揮!「登山」での使用についてレポートします。
「登山」と「ハイキング」どちらがいいか
アクティビティには最初から「登山」と「ハイキング」があります。
ただどちらも表示項目に不満ありです。
「登山」は現在の高度や上昇量、下降量が表示されますが、歩行時間が表示されません。
「ハイキング」は歩行時間が表示されますが現在の高度が表示されません。
![]() |
「登山」1頁目 |
そこで表示画面をカスタマイズすることにしました。
表示画面を変更する
アクティビティをカスタマイズするには、
「左中」長押し→メニュー→アクティビティ&アプリ→登山→登山設定→トレーニングページ
と進みます。
これで「登山」実行中の各画面の各項目を変更できます。
僕は2頁目の画面に「タイム」を表示するようにしました。
何時間歩いたか、コースタイムよりも速いか遅いかは重要な要素ですからね。
ついでに右上の丸い窓に気温を表示するようにしました。
腕につけていると正確ではないですが、気温が表示されるとアウトドアっぽさが増すので。
![]() |
「登山」カスタマイズした2頁目 |
これで登山中は最初の画面で「高度」が確認でき、2頁目の画面で歩行時間・距離と気温が確認できるようになりました。
精度はいかほど?
ガーミン2Xを装着して白山を1泊2日で登ってきました。
白山で歩いたコースをMAPに表示してみると、登山道からはみ出しているところはそれなりにありました。
![]() |
ガーミン2X |
もっとも昨年同じコースを歩いて「245」で計測したときはもっとひどかったです。
![]() |
245 |
ガタガタですね。
そして計測距離は昨年の「245」よりも今年のガーミン2Xの方が1.5kmほど短かったです。(16.44km→14.93km)
経験的に「245」の計測距離は実際よりも2割ほど長く出る傾向にあったので、距離の短くなったガーミン2Xの方が精度は上がっているのではないかと思います。
また白山の別山山頂の高度が2399mに対して、2Xの計測高度は2405mでした。その差は6mなので高度は十分正確だと思います。
ABCセンサーと各種アプリが便利
ちょっと方角を確認したいとき、手元でコンパスを表示できます。(「左下」長押し)
またウィジェットで日没時間がわかります。
白山の南竜テント場では、日があるうちはテントのなかでゆっくり休憩して、予めわかっている日没時間が近づいたら外に出て、トワイライトの美しい山の光景を堪能することができました。
トーチを使う
ガーミン2Xはアウトドア製品らしい特徴としてライトを搭載しています。
これは僕がガーミン2Xを買う動機にもなった機能でもあります。
「左上」ボタンを2回押すとライトが光ります。
真っ暗なテントの中で手元を照らしてメガネを探したりするときに活躍します。
使ってみると必要十分な光量があり満足しています。
登山でのバッテリー持ちは?
白山の1泊2日の登山で、1日目は「登山」、2日目は「ハイキング」を選んで使用しました。両日ともにバッテリー優先でGPSモードです。
1日目は約7時間の歩行時間で電池残量は100→90%、2日目は約10時間の歩行時間で電池残量が70数%まで減りました。(2日目を記録し忘れた)
1日目がガスっていましたが2日目はかんかん照りでした。なので2日目は多少はソーラー充電もしてくれたと思うのですがそれでも電池消費量は大きかったです。
![]() |
1日目の行程後の電池残量 |
2日間で30%の電池消費なら4泊5日までならぎりぎり充電なしでもいけるかも??
長時間バッテリーについて
最後にバッテリー持ちについてです。
2週間は余裕で持つ
白山登山した日を含めて、14日間充電無しで生活できました。
その間、Bluetooth・心拍計はONにしています。
最も電池消費の激しいGPSの使用時間は次のとおりです。
- 登山(GPS):約17時間
- ランニング(マルチGNSSマルチバンド):約5時間
登山での使用時間が長いので14日しか持ちませんでしたが、ランニングのみなら充電無しで20日は持ちそうです。長〜い!
なお、15日目に電池残量5%でランニングしていたら途中でオフになってしまいました。
電池容量が大きいとはいえ電池残量が10%を切ったら素直に充電した方が良さそうです。
ソーラー充電の実力は?
ガーミン2Xのウリの1つであるソーラー充電についてはどうでしょうか?
どれくらい発電してくれて、どれくらいバッテリーの寿命を延ばしてくれるのか?
「災害級の暑さ」と言われる8月のある日に、ウッドデッキにガーミン2Xを影にならないように置いて充電してみました。
太陽はギンギラギンに輝いていて、太陽エネルギーは最大級です。
2時間半ほど放置しておいたところ、電池残量は83→88%に回復しました。
どれだけ発電していたかも見ることができます。
発電量がほぼ天井まできていますね。
また他の日に試したら1時間で15→17%に回復しました。
太陽ががんがん照っていて影にならないという好条件で1時間に約2%の発電効果があるようです。
実際に手首に巻いて活動していると影になることも多いので1時間に2%の回復ですら難しそうです。
それでも少しずつでも回復してくれるのは嬉しいかな。
まあもともとの電池容量が大きいのでそれで十分だって話もありますが。
まとめ
さすが長時間バッテリー!ということで、2泊3日の縦走登山くらいなら充電無しで余裕で持ってくれそうです。
またABCセンサーや各種アプリ、トーチ(ライト)などアウトドア向けの機能は実際に使ってみてどれも役に立ちました。
ガーミン2Xはこれから登山やハイキング、キャンプなどで大活躍してくること間違いなしです!
コメント
コメントを投稿