さざなみ・キラキラ ~スピッツ「漣」感想

「漣」はスピッツの12thアルバム「さざなみCD」の12曲目に収録されています。
スピッツ「さざなみCD」

   連日暑いので「トビウオ」に続いて「さざなみCD」からの2連チャンです!

   毎日炎天下を通勤してただただ暑いばかりの夏ですが、せめて音楽のなかではキラキラと輝いた夏を送りたい。
   そんな気分のときにぴったりなプレイリストが「さざなみCD」後半のトビウオ→ネズミの進化→漣→砂漠の花の流れです。
   この流れは夏のためにあると言っても過言ではないくらい素晴らしいです。
   スカッと爽快な気分になります。身体中の血が上昇気流に乗ったようにグングンと巡り出します。……結局暑い夏がより熱くなるわけですが。汗

   そんな4曲の中で特にキラキラとしているのが「漣」です。
   前回紹介した「トビウオ」が最初から最後までパワフルで大洋に飛び出して行く怒涛のイメージなら、「漣」は波打ち際でちまちまと貝殻拾いをするところから始まり最後には両手を広げて海の中に飛びこむイメージ。
   あるいは貝殻を集めていたバケツに水を入れてぶちまけて海の上に大きな虹を描くイメージ。前半で抑え気味に入って、後半にわーって弾けるタイプの歌です。
   メロディも音も歌詞もキラキラとしていて生きる力にみなぎっています。

   歌詞も綺麗です。単語だけ並べても世界観が素敵なのがわかります。「古いスニーカー」「鳥」「南風」「夜空」「鏡」「月」「さざ波」ーー古い世界と新しい世界が交差しているのを感じます。

   特にサビの歌詞がいいですよね。
「こぼれて落ちた 小さな命もう一度」「翼は無いけど 海山超えて 君に会うのよ」ーー”こぼれて落ちた小さな命"というフレーズがもつ雨のしずくのような優しいイメージがが好きです。
   そして”君に会うのよ”の「よ」がいい感じです。なぜここで女言葉?という疑問もありますが、なんかいいですよね。歌全体のアクセントになっている。この草野さんの「会うのよ」の「よ」の声を聞きたくてついつい「漣」を聴いてしまいます。

   それから2題目のサビです。ここが一番好き。
「現を見つつ 夢から覚めずもう一度」ーーまず単純に語感がいいですよね。うつつ、みつつ、さめず。きれいな韻です。
   そのうえで、現実から目をそらさず、そうかといって夢を夢だと切り捨てたりせずに、「もう一度」と言っているのが素敵です。

   アップテンポでノリもいいですし、ライブハウスで汗まみれになってめっちゃ飛び跳ねたい!
   漣もまたライブで聴きたい一曲です。
   自分の妄想のなかではそのとき飛び散る汗はめっちゃキラキラ輝いているの
(がんばって「よ」を使ってみました。んー、草野さんにはなれない。苦笑)