【感想】スピッツ「さびしくなかった」|どこかなつかしい、昭和のアパートのような

「さびしくなかった」はスピッツの17作目のアルバム「ひみつスタジオ」の5曲目に収録されています。

 ひみつスタジオ /UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤」

「さびしくなかった」はどこか聞き覚えのあるような、なつかしい感じのする歌です。

 昭和レトロと言えばいいのでしょうか。

 華やかさこそないですが、親しみのあるメロディと歌詞が魅力です。


* *

 この歌を聴くとき、僕はいつも昭和の古いアパートの6畳間が思い浮かびます。


 例えば最初のサビの

「さびしくなかった君に会うまでは
 ひとりで食事する時も ひとりで灯り消す時も」

 という歌詞。


 ひとりで食事をしながらスマホではなくてブラウン管のテレビを観ている情景が浮かびます。(くだらないバラエティー番組を観るでもなく流している感じ)

 またひとりで灯りを消すのもリモコンではなくて、ひもをカチャカチャ引っ張るやつです。


「さしく」ではなく「さしくなかった」と言っているのもちょっとレトロなムードを醸し出している……気がします。


 全体を通して他の曲にあるような斬新な(奇抜な?)レトリックこそないですが、その代わりに自然と共感して「あるある」とうなずきたくなる日常風景が広がっていて、なんというか、草野さんの書いた手書きの日記帳を読ませてもらっているようです。

 ほっこりしていいなと。


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 歌のなかで面白いというか興味深いと思ったのは最後の「生まれ変わる これほどまで容易く」という歌詞です。

「たやすく」を漢字で「容易く」と書くのがたやすくない、と思いました(^_^;)


 そしてむかしだったら「生まれ変わる 難しいかもしれないけど」と言いそうなところで、逆にいま「生まれ変わる これほどまで容易く」と言えることに、草野さんの年の重ね方を感じられて、なんかいいなーと思うのでした。

 年を重ねても、年を重ねたからこそ?、かな。自分も「容易く生まれ変わる」と言えるような生き方をしたいです。


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