【感想】スピッツ「Sandie」|君じゃなくて僕が桃

  「Sandie」はスピッツの17作目のアルバム「ひみつスタジオ」の10曲目に収録されています。

 ひみつスタジオ /UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤」

「Sandie」はアルバム後半にあり、飄々とした音で、緊張感のある「紫の夜を越えて」と爽やかな「ときめきpart1」を橋渡ししてくれています。

 個人的にはすごい名曲とは言わないですが、「ひみつスタジオ」後半の良い流れを作ってくれている縁の下の力持ち的な存在だと思っています。


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 好きな歌詞というか、面白いと思っているところが冒頭にあります。

「初めて君と出会った時から

 僕の心はのようなカタチのまんまだよ」


「桃」は丸くて柔らかくて愛らしいです。

 普通は愛らしい桃に「君」を喩えると思うのですが、ここでは喩えられるのは「僕」の方なんですね。

 桃のような僕の心……草野さんじゃないとなかなか言えません。


 そして、君に僕はいろいろ教えられ、たくさんのことを知ります。

「抜け道」「違う世界」「欲望」「悔しさ」……その結果、桃のような心が割れて、新しく桃太郎が生まれた!

 ということはなくて、冒頭の歌詞にあるようにやっぱり「桃のようなカタチのまんま」なわけです。

 普通は君と出会って生まれ変わる、となりそうですが、この歌では変わらずそのまんま、なんですね。


 僕は桃で、桃のまんまで、ということろに、草野さんの恋愛観や自分像が感じられて、ちょっとおもしろいです。


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 タイトルの「Sandie」の意味を調べてみたのですが、これだ!と当てはまる訳語が出てきませんでした。

 参考までに「スナガニ」、「バンカーからのワンパットで決めること」だそうです。

 カニ?


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