「讃歌」はスピッツの17作目のアルバム「ひみつスタジオ」の12曲目に収録されています。
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「讃歌」はサビでじわじわと上がっていくのが特徴的な歌です。
静かで荘厳な雰囲気があり、他のスピッツの曲とは一味違います。
コーラスも入っているので讃美歌のよう。(讃美歌がどんなものかよくわかってませんが)
ただ、自分がスピッツに求めているものは小さく可愛らしいものなので、この大仰な感じがやや苦手でした。良い曲なんだけどスピッツの歌としてはなんか微妙っていう。(ちなみに妻はこの曲がお気に入り)
とはいえ、いつも同じような曲ばかりだとマンネリと感じて物足りなかったり、いつもと違う切り口でも「未来未来」の場合は斬新で良しと喜んだり、ファン心理というか人の好みというのは、なかなか難しいものですが。
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そんな「讃歌」を見直すきっかけになったのは、草野さんのラジオ番組「ロック大陸漫遊記」の「サビが凄いナンバーで漫遊記」の回を聴いたときです。
この回では草野さんが「サビすご」と思っている曲を紹介していて、音がどんどん上がっていく「Take On Me / a-ha」やサビがどんどん高くなっていく「Se telefonando / Mina」を「サビすご曲」として流していました。
その際に同じようにサビで上がっていくタイプのスピッツ曲として「讃歌」をあげていました。
これまでなかったタイプの曲だと思うのですが、本当はこういう風に盛り上がっていく曲を作りたくてずっと構想を温めていたのかな。
そう思うと草野さんがやりたかったことが詰まっているようで俄然愛着が湧いてきました。(流されやすすぎ)
素直に聴いてみれば、後半で畳み掛けるようにサビがぐいぐい盛り上がっていき「今は言える 永遠だと」というフレーズを繰り返すところは、大空に昇天していくようなカタルシスがあります。
いつものスピッツにない壮大な展開が気持ちいいっちゃ気持ちいいです。
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いつもと違うスピッツということを何度も強調してきましたが、草野さんらしい独特の言葉の選び方は健在です。
例えば最初のサビの「鳥のように 虫のように 風を受けて 時を紡ぐ」というところ。
「鳥」ときて、次が「虫」というところに草野さんらしさがあります。虫は鳥に捕食される関係性のように思うのですが、それよりも小さくて強いものとしての象徴なのかな。なかなか面白い連想だと思います。
そして後半の「白い暗闇 黒いシャングリラ」。白と黒が反転していることでモノトーンの世界にビビットな輪郭が生まれます。対比の妙!
そんなわけで「讃歌」は草野さんらしい歌詞ワールドとスピッツらしくない壮大な展開が面白い楽曲なのでした。
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