【感想】スピッツ「めぐりめぐって」|後半のテンポの変化が可愛いアクセント

 「めぐりめぐって」はスピッツの17作目のアルバム「ひみつスタジオ」の13曲目に収録されています。

 ひみつスタジオ /UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤」

   3分台の短い曲ですが、出だしの﨑山さんの「1,2,3,,,」のカウントや、「秘密のスタジオでじっくり作ったお楽しみ」という歌詞でアルバムタイトル回収しているところや、ごきげんなギターソロ、そしてテンポが急に落ちる変わった展開など、短い中にも聴き所満載です。

   何よりもアルバムラストの曲名が「めぐりめぐって」という循環を感じさせるタイトルなのが素敵です。


* *

   歌のなかで好きなところは2つあります。

   1つ目は「そして今めぐり会えた」と歌うAメロです。

「違うときに違う街でそれぞれ生まれ」た二人がどういう人生を辿ってめぐり会えたのか?

   草野さんが選んだのは「褒められて」「けなされて」「 笑った」「 泣いた」の4つです。

   たしかに人生ってそんなことの繰り返しだよなーと思います。

   そして「たまには同じ星見上げたりしたかもね」と続きます。ベタですがロマンチックな気分のときはこんなこと思っちゃったりしますよね。

   このAメロの歌詞はスマートではないですが泥臭くていいなと思います。


* * *

   2つ目に好きなところはラスト直前でテンポダウンするCメロです。

   ここのリズムの変化は、今までの勢いが急に落っこちるのでちょっとズッコケてしまいます。それがいい!


   歌詞も昭和っぽいというか、ベタな感じがまたいいです。

「細い糸をたぐって 何度もめぐりめぐって 雨はあがり 光の中」

   きっと今までに日本中の歌のなかに何度も出てきただろうなというフレーズの組み合わせですが、あえてテンポを落としてゆっくりと一言一句しっかり聞かせるところが清々しくて、逆にかっこいいです。

   「ひかりのなか〜あ〜」と歌い終わってドラムが始まり出すころには本当に目の前に光が差し込んでくるのが見えてきそうになります。


   このCメロのテンポの変化が、短い歌のなかにもドラマを生んでいて、可愛いアクセントになっているなーと思うのでした。


* * * *

   最後に。

   僕が参加した「ひみつスタジオ」ツアーの石川公演では「めぐりめぐって」がセットリストにありませんでした。

   絶対にアンコール前の最後の一曲で歌ってくれると思ったのに!

   生で「めぐりめぐって」を聴けなかったことだけが残念、というか悔しいいいいいいー。


   まあ、スピッツのライブに行き続ければ、めぐりめぐっていずれは歌ってくれる機会にもめぐり会えるかも、ですかね。


コメント