「僕はジェット」はスピッツのスペシャルアルバム第2弾「色色衣」の14曲目に収録されています。
スピッツのインディーズ時代の楽曲です。
ただ収録されているものはプロになる前夜のものなのかな。きちんとしたスタジオで録音されたもののようです。そのあたりの経緯はCD付録の座談会に記載されています。
耳に残るのはゴロンゴロンというベースの音が特徴のイントロと、ブルーハーツ(というかクロマニヨンズ?)を彷彿とさせるシンプルで痛快なサビです。
「ジェット!ジェット!ジェット!」というかけ声はライブでシングアロングすると楽しそうですね。
ステージ上の草野さんが内心恥ずかしそうにしている姿も想像できて、それもそれでちょっと楽しい。
イントロとサビがあまりにインパクトありすぎてAメロを忘れてしまいそうですが、Aメロは初期の草野さんらしい世界観がちりばめられています。
「ボロボロになる前に死にたい」「終わりのない空をにらんでる」「でも僕このままじゃいつか 世界に忘れられそうさ」など陰気でネガ寄りな歌詞や「ひざこぞうの傷跡がかわいい」といったフェチズムなどなど。ヤングマサムネ全開です。
それにしても「ボロボロになる前に死にたい」という言葉はいかにも若者らしい。
生に執着しないことの美学だったり、老いを否定することによる生の肯定だったり。
死に惹かれがちな(死にたいわけではない)若人が好みそうな言葉だなー……と遠い目で語ってしまうのは自分も年を取ったからか。
二十代のころはこんな言葉を心の引き出しにたくさん集めて、夜ひとりでこっそり覗いては満たされた気持ちになっていたように思います。
でも今は「それでも生きていこうじゃないか」と言いたい。
坂口安吾の「堕落論」に書かれていたようなことを思います。(生き続ける→堕落。自死→美しく終わる。しかし美しくなくてもいい、堕落だとしても生きていこう、みたいな)
あるいはクロマニヨンズのこの歌詞でしょうか。
「ただ生きる 生きてやる 呼吸を止めてなるものか」(エイトビート)
ボロボロになる前に死にたい、ではなくて、ボロボロになっても生きてやる!逃げ切ってやる!
40過ぎて、若い頃にはなかった、あるいは知らないふりをしていた変なエネルギーがみなぎってきている今日このごろです。
たまには青臭くても生死観が映し出された歌詞もよいですね。
今ここで生きていることに思いを巡らします。
コメント
コメントを投稿