とげまる後半3部作のラスト 〜スピッツ「えにし」感想

「えにし」はスピッツの13thアルバム「とげまる」の11曲目に収録されています。

  タイトルがひらがな三文字で可愛らしいにもかかわらず中身はかなりのロックサウンドというギャップ萌えを狙った構成があざとかわいいですが、それじゃダマサれないぞ、な「えにし」です。


   僕のなかでは「TRBANT」「聞かせてよ」「えにし」は3曲で一つのパートというイメージがあり、勝手に「とげまる後半3部作」と呼んでいます。

   なんとなくこの3曲はアルバムの他の曲から浮いているような気がするんですよね。

   でも3つ合わさるとしっくりくる。激しい→穏やか→激しいという流れで緩急もついて、よろしいのではないかと。


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「えにし」は漢字で書くと「縁」で、えん・ゆかりのことを指していると思われます。

   でも歌詞の中では縁や運命といった表現が直接出てこないのが面白いです。

   唯一、運命らしい時間性や邂逅を感じられるのは「何となく信じてた伝説すべて」とか「君に出会えてよかった」とかでしょうか。


   おそらく歌の内容が縁について歌ったものだから「えにし」というタイトルなのではなくて、歌詞の中に出てくる「伝えたい言葉があふれそうなほどあった」の「伝えたい言葉」の中身が、縁についてのことなのではないかと思います。

   主人公は君との縁を言葉であふれるくらい伝えたい。君が運命の人だと伝えたい。でも恥ずかしい。

   だから照れ隠しで「忘れちまった」と言っている。

   というふうに想像してます。

   サウンドはばりばりロックなのに照れてるのがかわいらしいなと。


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   他には「えにし」は「えにしんぐ」(anything)の略で、「何でも」ということはないかなとも考えたのですが、あらためて歌詞を読み返してみても、やっぱりちょっと無理があるなーと思ってやめました。(じゃあ書くなよ、とツッコまれそうですが)


   余談ですが、歌詞を見ていて初っ端の「よごれいぬのまんゆうき」という言葉が「汚れ犬の漫遊記」だと知って、「お!ロック大陸漫遊記じゃん」となって嬉しくなりました。

   この頃から草野さんは「漫遊記」という言葉を使っていたのですね。

   もしかして、いずれラジオ番組をすることになったら番組名は「~漫遊記」にしようとかなんとかすでに考えていたのかな、と思ったり。


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