「つぐみ」はスピッツの13thアルバム「とげまる」の5曲目に収録されています。
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「つぐみ」はまずシングル曲として発売されました。
初めて聴いたとき、これは今までのスピッツの集大成だ、進化だ、ひとつの到達点だ、すごいものがきたぞ!と興奮したのを覚えています。
ではどのへんが集大成だと思えたのか?
ひとつはタイトルです。
デビュー曲の「ヒバリのこころ」には鳥の名前が入っています。「つぐみ」も同じく鳥の名前です。鳥つながりでデビュー曲を意識しているように感じられました。
そのうえで「ヒバリのこころ」では「目をつぶるだけで遠くへ行けたらいいのに」と言っているのに対して、「つぐみ」では「さらに思い切り手をのばす 手がふれる」と言っています。
ただ思うだけで動かなかった「ヒバリのこころ」と違って、「つぐみ」は実際に手を動かし何かにふれることができている。そこには大きな前進があります。
次にサウンドです。
「つぐみ」はバンドサウンドとストリングスとからできています。そのバランスが素晴らしいです。
ストリングスで華を添えつつ、ロックらしいギターの音も聞かせてくれる。このバランスの絶妙さは長年の楽曲作りで培ってきた技術あってこそです。さすがベテランバンド!
またポップな曲調もパッと聴いて売れ線に感じました。
最後にサビの歌詞です。
「『愛してる』それだけじゃ、足りないけど 言わなくちゃ」
なんとキャッチーでポジティブなフレーズ!
当時はもうスピッツ=ネガティブというイメージはほとんどありませんでしたが、それでも初っ端にガツンと「愛してる」と言いきるところに、これまでのスピッツにない力強さがあり、軽く興奮しました。
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特に重要なのは「愛してる」というパワーワードです。
スピッツの「愛してる」と言えば「チェリー」ですが、他にも「心の底から」「裸のままで」があります。
順に並べてみます。
「心の底から愛してる 今でも奇跡を信じてる」(心の底から)
「どんなに遠く離れていたって 君を愛してる」(裸のままで)
「『愛してる』の響きだけで 強くなれる気がしたよ」(チェリー)
「『愛してる』それだけじゃ、足りないけど 言わなくちゃ」(つぐみ)
こうしてみると、上2つはスピッツらしさが薄い(と思うのは当時の事情をいろいろ知ったあとだからかな?)ので、注目すべきは下の2つです。
「チェリー」と「つぐみ」はどちらも「愛してる」が「」で括られています。
「愛してる」を実際に言葉として発している/発しようとしているのがわかります。
ただし「チェリー」ではそれを相手に伝えたのか、伝えようとしたのか、つぶやいただけなのかがあいまいです。
もう一方の「つぐみ」ははっきりしています。「愛してる」と言わなくちゃ、と宣言している。しかもそれだけではまだ足りないとまで言っている。
チェリーから10年以上が経ち、なにかが変わった。より能動的に、より積極的になった。
そこにスピッツの進化を感じました。
そんなわけで「つぐみ」はスピッツの集大成であり進化だと思ったのでした。
もっともその後も同じようなことを感じる場面がたくさん出てきたので(醒めないとか見っけとか)、あてにならない感想ではありますが(^_^;)
ま、そこは進化し続けるスピッツがすごい!ってことで。
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