「ヒビスクス」はスピッツの15thアルバム「醒めない」の11曲目に収録されています。
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アルバム「醒めない」のなかでかっこいいロックの双璧をなすのが「ハチの針」と「ヒビスクス」です。
「ハチの針」のかっこよさが荒々しさにあるとしたら、「ヒビスクス」のかっこよさはクールさにあります。
「冷静と情熱のあいだ」といったところでしょうか。何言ってるかわかりませんね、はい。
「ヒビスクス」はイントロのピアノでゾクッとし、サビの展開にゾクゾクッとします。
鋭くクールでアップテンポなので、発売当時、妻は朝パートに行く車の中でよく聴いていたようです。目が覚めるから。
僕も妻もお気に入りの一曲です。
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「ヒビスクス」とはちょっと不思議な語感ですが、ハイビスカスのラテン語読みになります。
ハイビスカスと言えば沖縄のイメージがありますね。
歌詞の中にも「約束の島で」と出てきますし、草野さんも沖縄を意識しているのは間違いなさそうです。
歌詞の言葉を拾っていくとなにか怖いものがあります。
「過ち」「裏切った」「書き直せない思い出」
「恐れるな」「武器も全部捨てて」
「悲しみ」「モンスター」
これらから連想されるのは沖縄戦や戦渦です。
「ヒビスクス」はクールだと書きましたが、クールなだけではなく、根底には黒く不気味なものが渦巻いているようで、聴くたびに胸がひりつきます。
このなんとも言えない感情は、童謡の「赤い靴をはいた女の子」が持つ怖さに似ています。
え?って言われると説明に困るのですが、なんと言うかちょっと別の世界に吸い込まれるような感じが。
途中に出てくる「あの岬まで セミに背中を押され」という歌詞も、どこか違う世界に引き込まれるイメージがありますし。
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「ヒビスクス」のなかで僕が好きな歌詞は「黒蜜の味を知って」です。
戦禍とかそんなことは全然関係なく、ちょっといけないことをしてる感じが好きです。微エロというか。
黒蜜の味を知ってしまった瞬間って、思い出してもなんかゾクゾクしませんか?
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