写真はどこに?〜スピッツ「花の写真」感想

「花の写真」はスピッツの13thアルバム「とげまる」の7曲目に収録されています。


「ンッチャ ンッチャ」というリズムが特徴的です。


「優しいあの子」が発表されたときは、「花の写真に似てる」ってことで一部で話題になってましたね。僕は全然気づかなくて、言われて初めて気づきました(^_^;)

   あとあとラジオ(ロック大陸漫遊記)のなかで草野さん自身もこの2つが似ていることを認めていて「長くやっていたらこういうこともあります」と言っていました。


   個人的には、リズムは似ているところもありますが、「花の写真」の方がセンチメンタルな感じもあって、言うほど似てはないと思うのですが、どうでしょうか。


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   歌を聴いていると、古い大きな風車が回るヨーロッパの田園風景が浮かびます。

   昔ながらのレンガの家と風車とチューリップ。(オランダとか?)

    なんとなく異国の雰囲気(それもやや古めかしい)が感じられます。

「取り残されているような古ぼけた街」や「どうでもいいような文そえて」の文(ふみ)という古風な表現などが、そんなイメージを醸し出しているのかもしれません。


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   それにしても面白いなぁと思うのは、歌詞のなかに「写真」が出てこないところや、「どんな」花なのかが描かれていないところです。

   たぶん封筒に入れたのは押し花などではなくて「小さなカメラ」で撮った「花の写真」だと思うのですが、明確には描かれてません。

   その一方で君に送った封筒については色まで「黄色」と細かく描写されていたりするんですよね。


   きっと背景となる物語はしっかりとできているのだと思います。(そうでなければディティールがくっきりすることはないから)

   でもあえて一から物語を順に追うような書き方をしない、あくまで聞き手の想像に物語を委ねる、というのが草野さんらしい。


   僕の頭の中に浮かぶ絵(イメージ)では、封筒を受け取った「君」は毎年のように花の写真を写真立てに入れて、キッチンに飾っています。

「いつかは終わりが来ることも」なんて「僕」は言ってるけど、それは勝手に言ってるだけで実際に「君」がどう思っているかはわかりませんしね。

   案外、なんとなく花のやりとりはこれからも続いていくんじゃないかなーとか思います。


   僕らの明日も澄み渡りますように……


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