ソニーヘッドホン "WH-H910N" 感想その2 〜有線・無線・スマホ・ウォークマンいろいろ使ってみた

   前回に引き続き、ソニーのワイヤレスヘッドホン"WH-H910N"(以下H910N)を使用した感想を書きます。


   前回はスマホと接続して、初めてワイヤレスヘッドホンによる音楽体験をしました。

   低音から高音までフラットできらびやかな雰囲気の音を楽しむことができました。


   今回は前回できなかった有線接続やウォークマンとの接続を試します。

   他にもノイズキャンセリング(以下NC)や持ち運びやすさ(携帯性)についても書きます。

WH-H910N グリーン


1) 有線接続の音質は?

1-1) 有線接続(電源オフの場合)

   H910Nにはヘッドホンと同じカラーのイヤホンケーブルが付属しています。

   主な用途はバッテリーが切れて無線が使えなくなったときの緊急用と思われます。

  しかしそれだけではなく、純粋なヘッドホンの音を楽しみたいなら有線接続して聴きましょう、という意図もあるでしょう。

   なにより、デジタル・オーディオ・プレーヤー(以下DAP)の違いによる音質の変化を楽しむには有線接続でなければ意味がありません。


   ということで、Bluetoothを切断して、イヤホンケーブルに挿し換えて、スマホで音楽を聴いてみました。

WH-H910N アッシュグリーン スマホ有線接続


   んんん????

   なんだこのスカスカの音は?

   スマホの音楽再生能力ってこんなに悪かったっけ?

   ここはWalkman(NW-A25)にチェンジです。

WH-H910N アッシュグリーン ウォークマン有線接続


   あれれれ??

   やっぱり音が悪いぞ。

   音が遠いし、スカスカです。


   ヘッドホンを変えてみます。

   数年間使い続けてきた”MDR-1R”をNW-A25に挿して……

   これは音がいい。

   もう一度スマホに挿して……

   やっぱりそんなに悪くない。


   ということは、

   音が悪い原因はH910Nかーーーい!!!


   ワイヤレスでは素晴らしい音質だったH910Nが、有線では惨敗です。

   これはひどい。2〜3000円のヘッドホンと同じかそれ以下の音質なのではないでしょうか。


   2万円もかけて買ったヘッドホンがまさか有線で使えない代物だったとは……


1-2) 有線接続(電源オンの場合)

   と、がっくりきていたのですが、ソニーの商品ページを見てみると、

「有線接続によりハイレゾ再生が可能(*)です。 * 電源ON時

   と書いてあるではないですか!


   有線接続なのに電源ONですと!??

   有線=電源オフじゃないんかい。


   早速、ヘッドホンの電源ONのままウォークマンに有線接続してみます。

   お、おおお、音が違う!

   クリアだ、音の密度が高い、あのスカスカ音が嘘のようです。

   これですよ、これ。これが聴きたかったヘッドホンの音です。


   この状態の有線とワイヤレスの音質を比べると、有線の方が音がどっしりして聞こえました。

   但し、ウォークマン本体のイコライザーがどう働いているのかわからないので、本当に同条件での比較なのかは怪しいところですが。


   ということで、H910Nを有線で楽しみたいなら電源はオンです。

   でも常に電源オンだとバッテリーの寿命が縮まって嫌だなぁ。


   なお、ヘッドホン側にイヤホンケーブルを挿した時点でBluetoothとの接続は切れて有線モードに自動で切り替わります。

   そして次にヘッドホンからケーブルを抜くと自動で電源がオフになります。

   

2) イコライザーを調整する

   僕は普段はイコライザーを使いません。

   理由は2つあり、1つはイコライザーを使うと作られた音っぽくなるから。

   もう1つは、あれこれいじって良い設定をみつけたつもりになっても、結局最後はイコライザーをオフにした音に落ち着くから、です。


   しかしH910Nについては、音はきれいだけど軽すぎるのが不満でした。

   またヘッドホンに内蔵されているアンプはウオークマン本体に搭載されているものほど性能は高くないと思われます。だとしたら、イコライザーを使って不満点を補正するのもありかなと思いました。


   そんなわけで珍しくイコライザーを触ってみました。

   イコライザーの調整にはアプリ”Headphones”を使います。

WH-H910N アッシュグリーン アプリ”Headphones”


   自分で各周波数成分を細かく調整するのは面倒なのでプリセットされている設定を使わせてもらいました。


   プリセットされている設定は8種類あります。これに自分でカスタムしたものも追加できます。

   使えそうに感じたのは「Bright」「Excited」です。

WH-H910N アッシュグリーン アプリ”Headphones” イコライザー


「Bright」は明るく元気な感じの音になります。

「Excited」は低音が強めのメリハリの効いた音になります。

  他には、音がマイルドになる「Mellow」はちょっと独特な感じがありました。


   今のところ「Excited」をよく使ってます。ロック向きなので。


3) DSEE HXの効果は?

「DSEE HX」はAIによってサンプリング周波数と量子化ビット数をアップスケーリングする機能です。

   手動でオン/オフを選べます。

WH-H910N アッシュグリーン アプリ”Headphones” DSEE HX


   オンにすると「音がくっきりしたかなーどうかなー」という程度ですね。

   曲によっては違いのわかりやすいものもあったりします。

   ただ、バッテリー消費が少し大きくなるらしいので、バッテリーを犠牲にしてまでオンにする必要はないと思い、僕はDSEE HXオフしてます。

   イコライザーをいじった方が変化は大きいですし。


4) ノイズキャンセリングの効果は?

4-1) リビングルーム

   同じ部屋で子供がゲームをしたりやYoutubeを観たり、あるいは妻がテレビを観ているような環境で、H910Nを装着してNCをオンにして音楽を聴きながら勉強をしたりしてます。


   まずNCをオンオフにしてわかるのは、エアコンが風を出す音が意外とゴウゴウと鳴ってうるさかったということです。(この記事は冬に書いてます)

   NCをオンにするとエアコンの音が消えて静寂が降りてきます。不思議なことに、突然音が消えると、目の前が真っ白になったように感じます。

   その真っ白な空間のなかで、子供たちの話し声は尖った鉛筆のように立って聞こえます。

   とはいえその声も小さくなっているので、あとは音楽もかければほとんど気にならなくなります。

   子供がワイワイ騒いでいても、勉強に集中できます。


4-2) 電車のなか

   普段は電車通勤していないのですが、出張で特急に乗る機会があったのでNCを使ってみました。

   ヘッドホンを装着し、NCが効き始めると、ごオオオという低音の騒音が消えます。

   ただ、ガタンゴトンというレールの音や社内アナウンスは音量こそ小さくなりますが消えることはないです。

   アナウンスが聞き取れるのは、いまどこの駅に停まったかがわかるからむしろありがたいです。

   そしてごオオオという低音がなくなっただけで驚くほど静かになります。

   このときは特急で大阪まで移動したのですが、ぐっすり眠れました。


5)  有線 vs 無線、スマホ vs ウォークマン 音質の変化は?

   新しいヘッドホンやイヤホンを買うと、いろいろ付け替えて音の変化を試してみたくなりますよね。

  ということで有線、無線、スマホ、ウォークマンと条件を変えてH910Nの音を聴き比べてみました。

   なお有線は電源オン、無線はイコライザーオフ、ウォークマンはNW-A106、試聴した曲はスピッツの「まがった僕のしっぽ」(ロック)です。

WH-H910N アッシュグリーン スマホ ウォークマン 有線 無線


   結果は下の表のとおりです。

プレーヤー 接続
手段
音質評価
スマホ 有線 低音が弱め。解像度もやや悪い
無線 ①よりは音質は良いが傾向は同じ
ウォーク
マン
有線 低音も出ている。解像度が最も高い
無線 ②よりも③に近い音質。③よりもサラウンド感があるが解像度はやや劣る

   あくまで個人の主観なので参考程度に見てほしいです。


   意外だったのは②と④に差があったことです。

   僕は無線でつないでしまえば、音質は受信側(ヘッドホン)のアンプで決まるので、音楽プレーヤーの差はなくなるとばかり思っていました。

   しかし実際には無線でも音楽プレーヤーによる音の違いがありました


   そして音の傾向としては①②と③④という組に分かれました。

   音は無線・有線に関係なくプレーヤーで決まるようです。これも意外。

   無線で送信するにしても、音質には音楽プレーヤー側の音の作り込み方やイコライザーの調整値の影響が大きいようです。


   音質の順位をつけるなら、

   ③≒④>②>①

   です。


   ④=②になれば、音質の悪いスマホでもH910Nで聴けば専用プレーヤー並の音質が得られてウハウハですよ!と言えたのですが、そうはいかないもんですね。

   まあ、④>②ということは、ワイヤレスヘッドホンだとしても音楽専用プレーヤーを買う意味はあるってことで、悪い結果ではないのかもしれませんが。


6) 携帯性の良さ

   最後に付属のポーチにH910Nを収納してみました。

   H910Nはもともとコンパクトですし、折りたたむとダンゴムシみたいに丸くなって小さくなります。


   ポーチに入れた状態を”MDR-1R”と比較してみると、H910Nは一回り以上小さいです。

WH-H910N アッシュグリーン 収納ポーチ


  これならかばんに入れて出張にも持って行けます

   ただ”MDR-1R”と違ってぺたんと平面的にならないので、H910Nは投影面積が小さい代わりに厚みがあるのがネックです。ちょっとかばんに入れにくいかも。


7) まとめ

   H910Nを使用した感想についてまとめます。

  • 音質は低音から高音までフラットで聞きやすい。低音は普通。全体的に音がきらびやかなのは良いが、やや軽めなのが不満。そこはイコライザーで調整。
  • イコライザーはプリセットにある「EXcited」がおすすめ。軽めの音が改善する
  • バッテリーが切れても有線接続で音楽を聴くことは可能。但し、電源オフだと音質は最悪
  • 有線接続で高音質を楽しみたいなら電源オンにする必要あり
  • 無線の音はサラウンド感があるのに対して、有線の音(電源オン)はもう少しどっしりしている。無線・有線で音の違いを楽しめる
  • ノイズキャンセリングは十分効果がある。なお最上位機種のXM4には劣る
  • 畳むとコンパクトで軽量なので持ち運びやすい。

   前回、早とちりで有線の音を電源オフで聴いてなんじゃこりゃーとショックを受けたときはどうなるかと思いましたが、今はワイヤレスの便利さとH910Nの音の良さに満足しています。

   ごつごつしていないスタイリッシュなデザインも気に入ってます。



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