あんな曲やこんな曲も!オンライン映画「スピッツ 猫ちぐらの夕べ」感想(後編)

   前回、「猫ちぐらの夕べ」のオンライン上映会の準備が整い、いよいよ上映開始直前まできました。(前回の記事はこちら ⇛ 初めての有料配信動画鑑賞「スピッツ 猫ちぐらの夕べ」感想(前編)

    実はこの日のためにセットリストを一切見ない努力をしていて、鑑賞には予備知識ゼロの新鮮な気持ちで臨みました。

   個人的にも初めての有料配信の使用体験だったので、パソコンの前でライブ感を味わえるのか、緊張感が途切れたりしないか、色々不安でした。

   果たして……!?


「スピッツ 猫ちぐらの夕べ」 LIVEWIRE 上映前② 


映画「猫ちぐらの夕べ」感想

概要

   上映時間は約2時間で、全20曲でした。

   生配信ではなく、編集されたフィルムを観るという形式だったので、当然のことながら画像が乱れて見づらいということもありません。

   またMCもほぼ全て収録されていたと思われます。(本当に無駄なところだけはカットされていたかもしれませんが)


セットリスト

  1. 恋のはじまり(スーベニア)
  2. ルキンフォー(さざなみCD)
  3. 空も飛べるはず(空の飛び方)
  4. あじさい通り(ハチミツ)
  5. スカーレット(フェイクファー)
  6. 小さな生き物(小さな生き物)
  7. 魚(色色衣)
  8. ハートが帰らない(ハヤブサ)
  9. 猫になりたい(花鳥風月)
  10. 君だけを(Crispy!)
  11. 僕のギター(さざなみCD)
  12. 猫ちぐら
  13. フェイクファー(フェイクファー)
  14. 楓(フェイクファー)
  15. みなと(醒めない)
  16. 魔法のコトバ(さざなみCD)
  17. 正夢(スーベニア)
   アンコール
  1. 初恋クレイジー(インディゴ地平線)
  2. ウサギのバイク(名前をつけてやる)
  3. ハネモノ(三日月ロック)

   ライブを観ているときは気づきませんでしたが、ほぼ全てのアルバムを網羅しています。

   どの年代の曲を混ぜ合わせてもクオリティにばらつきがないというのはすごいことですよね。


   また今回のライブの主旨がスタンディングで盛り上がるのではなく静かに座って聴いて楽しむというものだったので、落ち着いた曲がメインです。

   そのせいで、いつものライブにないセットリストになっています。

   良くも悪くもコロナ禍の今だからこそできたライブと言えそうです。


   ということで、ライブの内容を順に追っていきます。


恋のはじまり

   一夜限りの特別なコンサートということで、最初にどの曲を持ってくるのか気になっていた方は多かったのではないでしょうか?

   蓋を開けてみると、「恋のはじまり」はこれ以外にないというぴったりな一曲でしたね。

   僕はパソコンの前で観ていて、おお!なるほど!と感心しました。

   そして久しぶりのスピッツのメンバーの歌と演奏に身震いしました。

   メンバーもファンもこの瞬間をどれほど待ちわびていたことか!

   長かった、ほんと長かった。たかだか半年、されど半年。

   スピッツの歌を聴けたというだけでなんでこんなに感動する日が来ようとは。

   ぶっちゃけ全然嬉しくない。嬉しくないよ、ちくしょー。普通がいい、普通が。

   でも今は素直に喜ぼう。

   と、なんとも複雑な感情が渦巻くなか、パソコンの画面に見入っていました。

   日本中どんな気持ちでこの「恋のはじまり」を観ていたのかなぁ。


空も飛べるはず

「ルキンフォー」を挟んで、3曲目は超メジャーな「空も飛べるはず」です。

   メジャー故にレア感はないのですが、しかし、この日の草野さんの声の伸びが尋常じゃない。

   すごい声が透き通って奇麗!!ほんと飛んじゃいそうなくらい素敵。

   これが久しぶりのライブだとは思えないくらい声が伸びてる。

   今まで聴いた「空も飛べるはず」のなかで一番かもしれません。

   この後もこの声の伸びはずっと続いて、この日はボーカリスト草野マサムネが神がかっていたように思います。


あじさい通り

   好きな曲。そして今回のライブらしい曲目ですね。プチレア感があります。

   これは現地で聴きたかったなー。


ハートが帰らない

「スカーレット」「小さな生き物」「魚」「ハートが帰らない」「猫になりたい」と佳曲・名曲が続きます。

   大好きな「スカーレット」「魚」「猫になりたい」すらも今回のセトリのなかでは霞んで見えます。

「ハートが帰らない」は20年ぶりくらいに歌ったそうです。

   なつかしー。女声パート(クージー)とのコーラスが他の楽曲にはない魅力です。


君だけを

   まさかこの歌をライブで聴ける日が来ようとは!!(現地ではありませんが)

   今回のライブのなかで一番嬉しかった歌がこれかもしれません。

   しかもサビから入るというリアレンジがされていて、それがまた憎らしい。

   サビで草野さんの歌う「描いてる〜〜ずっと〜」の「〜」が、とにかく切なくてうっとりします。

   20年以上前の曲とは思えない。何度聴いてもがっつり心に響きます。


僕のギター

   この歌も好きな曲です。最近歌ってなかったのでややレア感もあります。

「君を歌うよ 小さなことが大きな光になっていくように」という歌詞は、コロナ禍の今聴くとあらためて身に沁みます。

   それにしても「君だけを必ず描いている」から「君を歌うよ」と続くのはちょっとずるいですね。

   こんなふうに歌われたら草野さん(そしてスピッツ)が「君」=私たち一人ひとりに向かって歌っているということをいっそう強く感じてしまうじゃないですか!


中盤〜後半

   この後は王道ともいえるスピッツの楽曲が、しかしこのライブらしいセトリで並びます。

   立って手を振って大声を出しているわけではないのに、終盤に向けて盛り上がっていくのが伝わります。


   個人的には「フェイクファー」「楓」「みなと」が好きなのでここでやられました。

   特に「みなと」はやっぱりいいなーと。

   あたたかいのに寂しい。不安だけどあたたかくもなるあの不思議なメロディと世界観が好きです。

「君ともう一度会うために作った歌さ」という歌詞がどうしても今の状況と重なってしまい涙を誘います。


アンコール

   アンコールは3曲でした。

   1曲目同様ラストに何を持ってくるんのか気になっていた方は多いのではないでしょうか?

   蓋を開けてみれば「ハネモノ」はこれ以上ないベストなチョイスでしたね。

   今回は大声を出さないなどのルールがあった(らしい)なかでのライブだったので、最後の最後にあのリズムに合わせて観客が手拍子を取ることで、会場全体が一体感に包まれ、そして手拍子が次の未来のライブへと続く明るい光のように感じられて、素敵でした。

   良い終わり方だったなーと。


   また、一つ前の「うさぎのバイク」のワクワク感もよかった。「うさぎのバイク」⇛「ハネモノ」という流れは神がかっていたと思います。


   以下、印象に残っていたMCを紹介します。


MC①

   草野さんが深呼吸に関する話をした後に「ハートが帰らない」の一節を歌って「こんなのどう?」と田村さんにふったときに、田村さんが「いや、良い声だなーって」と言うシーンがありました。

   このやりとりがなんとも微笑ましくて。

   田村さん、ほんと草野さんのこと好きだしリスペクトしてるんだなぁと。


MC②

   アンコールの際のメンバー5人のMCを書いておきます。(聞き取れた限りで)

   田村さん「楽しかったよりも嬉しかった。これからもスピッツは続いていくぜ」

   クージー「また会えるよ約束しなくても」

   崎山さん「心を燃やせと自分に言い聞かせて」

   三輪さん「心のこもった拍手はほんとに伝わるんだなと思った。延期になったツアーは来年できると信じてます。みんなもがんばろう」

   草野さん「いい空間、いい空気を作ってくれてありがとう。こんなゆるいバンドですが面白い歌をこれからも届けようと思ってがんばっていきます」


   続いてくれると言ってくれたこと、延期になったツアーが再開できると信じていること、そして面白い歌をこれからも届けると言ってくれたこと、どれも嬉しかったです。

   僕も日々、心を燃やして(適当に)がんばります。

(そういえば、鬼滅ネタが2回くらいありましたね。スピッツのなかでも人気なんだなー)


2回目、3回目もあり!

   以上、「猫ちぐらの夕べ」の初回の視聴の感想でした。

   よかったです。ほんと映画のような盛り上がりでした。

   セトリを知らずに観たのもよかったかな。次何が来るのかがわからないワクワク感がたまりませんでした。


   で、オンライン上映自体は1月末までやっています。

   お金を払ってチケットを購入すれば2回でも3回でも観れます。

   猛者は初回が終わった後すぐの11時からの上映を早速観ていたようです。ファン魂、すごいぜ!


   僕は次は少し間を置いて1月中旬ごろに観ようと考えています。


オンラインライブについて

   オンラインでライブを観たのは今回が初めてでした。(厳密には生配信ではないのでライブではないですが)

   で、実際どうなの?よかったの?と聞かれると、「よかったです」と答えます。

   ただ、今回のスピッツのライブはもともと座って聴くスタンスだったのでよかったのですが、これがいつもの飛び跳ねるライブだったらどうだろう、とは疑問に思いました。

   さすがにスタンディングで汗かいて叫んで踊るライブはコンサートホールやライブハウスで体験したいかな。

   まあ許されるなら一人で部屋のなかで大音量で踊っていてもいいのですが、怒られますよね、さすがに……


   徳永英明さんのようなバラード系のコンサートならオンラインもありかなぁ。

   でもやっぱり生で観たいし聴きたいですよね。


   今度、クロマニヨンズの有料配信のライブを観る予定です。

   そのとき飛び跳ねる系のライブはオンラインではどんな感じなのか、確かめてみます。


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