「青春生き残りゲーム」はスピッツのスペシャルアルバム第2弾「色色衣」の5曲目に収録されています。
*
とにかくワルっぽい歌です。
まずタイトルの「生き残りゲーム」がバトルロワイヤルなデスゲームっぽいものを連想させてワルです。
次に冒頭の歌詞が金棒を振り回してガラスを割りまくっているっぽいのでワルです。
メロディも途中で転調してひねくれてますし、間奏のギターがギュインギュイン鳴って不良っぽいのでワルです。
最後に、サビがいい感じで盛り上がってきたところで唐突にフェードアウトしていき「サビをもう一回聞きたいならリピートしな!」と中指立てていそうなので、やっぱりワルです。
すっごい盛り上がるわけでもないけど、じわじわと気持ちが上がっていく展開や、ギターソロがかっこいいところや、ワイルドなようで実は繊細な歌詞など、地味にクセになる曲だと思います。
ワルっぽいところも好き。
* *
この歌が収録された「99ep」が世に出たのは、僕が二十歳前後のことです。いろいろこじれて、陰気に過ごしていた時期でした。
初めて冒頭の「本当の淋しがりやは 金棒で壊しまくってる」という歌詞を聞いたとき、僕は「金棒で壊しまくっていない君は本当の淋しさや孤独を知らない」と言われているような気がしました。
その結果「だから大丈夫、僕はまだ真の孤独じゃない」と前向きになったかと言えばそんなこともなく、「自分が孤独と思っていたものは、薄っぺらいまがい物だったのか」とますます卑屈に落ち込んでしまったような気がします。
年をとると、青春とはキラキラしたアオハルである、とつい補正しまくってしまいますが、よく考えたら自分にはそんなものは微塵もなかったです。
彼女いなかったし。人の才能を妬んでばかりだったし。
そうかといって金棒で壊しまくる行動力もなかったし。
そんな二十歳の頃を思い出しながら「青春生き残りゲーム」を聴いてみると、この歌は「青春」という単語の持つ裏面をよく表しているなーと思いました。
「荒れ荒れのハートに染み込む 他人の幸せの粒」
「勝ち目のないバカなゲーム」
「青春の意味など知らぬ ネズミのように」
など。
ああ、むかしはこんなふうに世界を見ていたな、となんだか自分の黒歴史をチラ読みしている気分になりました。
* * *
しかし、青春は裏側だけではなく、当たり前ですがちゃんと表側もあります。
サビの一発目で草野さんが力強く歌う「生き残れ!」というフレーズが、裏側から表側へと行き来するための言霊のように響きます。
サビでメロディが転調してネガな前半とポジな後半を明確に区切っているのも、効果的に働きます。
さらにサビでは明るい言葉が並びます。
「星降る夜に約束通り 必ず会おうよ」
「花吹雪 …… 笑えるくらい瞳輝かせ」
など。
前半だけ聴くと、暗いオーラが漂う青春の裏側を強調してしまいたくなりますが、後半まで聴くと、青春の表側の明るい光や希望も感じ取ることができます。
* * * *
それにしても、自分の記憶の中では、金棒で壊しまくってる淋しがりやのイメージばかりが大きく膨らんでいたのですが(しかも節分の赤鬼みたいなやつ)、実はめっちゃポジティブで輝いてる歌だったんですね。
もちろん全く気づいていなかったわけではないのですが……なんだろ、このイメージのギャップ、というか視点の置き方のズレは。
若い頃の自分はどんだけ卑屈で視野が狭かったんだ、と今更ながら落ち込みそうです。
とにかくワルっぽい歌です。
まずタイトルの「生き残りゲーム」がバトルロワイヤルなデスゲームっぽいものを連想させてワルです。
次に冒頭の歌詞が金棒を振り回してガラスを割りまくっているっぽいのでワルです。
メロディも途中で転調してひねくれてますし、間奏のギターがギュインギュイン鳴って不良っぽいのでワルです。
最後に、サビがいい感じで盛り上がってきたところで唐突にフェードアウトしていき「サビをもう一回聞きたいならリピートしな!」と中指立てていそうなので、やっぱりワルです。
すっごい盛り上がるわけでもないけど、じわじわと気持ちが上がっていく展開や、ギターソロがかっこいいところや、ワイルドなようで実は繊細な歌詞など、地味にクセになる曲だと思います。
ワルっぽいところも好き。
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この歌が収録された「99ep」が世に出たのは、僕が二十歳前後のことです。いろいろこじれて、陰気に過ごしていた時期でした。
初めて冒頭の「本当の淋しがりやは 金棒で壊しまくってる」という歌詞を聞いたとき、僕は「金棒で壊しまくっていない君は本当の淋しさや孤独を知らない」と言われているような気がしました。
その結果「だから大丈夫、僕はまだ真の孤独じゃない」と前向きになったかと言えばそんなこともなく、「自分が孤独と思っていたものは、薄っぺらいまがい物だったのか」とますます卑屈に落ち込んでしまったような気がします。
年をとると、青春とはキラキラしたアオハルである、とつい補正しまくってしまいますが、よく考えたら自分にはそんなものは微塵もなかったです。
彼女いなかったし。人の才能を妬んでばかりだったし。
そうかといって金棒で壊しまくる行動力もなかったし。
そんな二十歳の頃を思い出しながら「青春生き残りゲーム」を聴いてみると、この歌は「青春」という単語の持つ裏面をよく表しているなーと思いました。
「荒れ荒れのハートに染み込む 他人の幸せの粒」
「勝ち目のないバカなゲーム」
「青春の意味など知らぬ ネズミのように」
など。
ああ、むかしはこんなふうに世界を見ていたな、となんだか自分の黒歴史をチラ読みしている気分になりました。
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しかし、青春は裏側だけではなく、当たり前ですがちゃんと表側もあります。
サビの一発目で草野さんが力強く歌う「生き残れ!」というフレーズが、裏側から表側へと行き来するための言霊のように響きます。
サビでメロディが転調してネガな前半とポジな後半を明確に区切っているのも、効果的に働きます。
さらにサビでは明るい言葉が並びます。
「星降る夜に約束通り 必ず会おうよ」
「花吹雪 …… 笑えるくらい瞳輝かせ」
など。
前半だけ聴くと、暗いオーラが漂う青春の裏側を強調してしまいたくなりますが、後半まで聴くと、青春の表側の明るい光や希望も感じ取ることができます。
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それにしても、自分の記憶の中では、金棒で壊しまくってる淋しがりやのイメージばかりが大きく膨らんでいたのですが(しかも節分の赤鬼みたいなやつ)、実はめっちゃポジティブで輝いてる歌だったんですね。
もちろん全く気づいていなかったわけではないのですが……なんだろ、このイメージのギャップ、というか視点の置き方のズレは。
若い頃の自分はどんだけ卑屈で視野が狭かったんだ、と今更ながら落ち込みそうです。