裸よりもパジャマのままで 〜スピッツ「放浪カモメはどこまでも」感想

「放浪カモメはどこまでも」はスピッツの9thアルバム「ハヤブサ」の2曲目に収録されています。
「メモリーズ」との両A面シングルとしても発売されました。
スピッツ「ハヤブサ」


   シングル発売当時は、スピッツがテレビの音楽番組にけっこう出演してくれたので、欠かさずチェックしていました。
   ただ、どの番組も歌うのは、2曲目の放浪カモメばかりで、1曲目のメモリーズを歌ってくれなかったんですよね〜。テレビから放浪カモメが流れるたびにちょっとがっかりしたのを覚えています。
   いや、放浪カモメ、好きなんですよ。でもどうせなら1回くらいはテレビでメモリーズのはっちゃけた演奏を観たかったなぁと思ったのでした。

   それにしても、MVをあらためて観なおしてみると、ライブハウスの演奏の盛り上がりっぷりがすごいですね。お客さんがダイブしてますし。ちょっとやり過ぎでしょー、と思ってみたり。
   とはいえ実際のライブも、ここまで無茶苦茶でないにしてもかなり熱く盛り上がってくれます。
   スピッツのライブに行く前にとりあえず聴いておけ!な一曲です。



* *
「放浪カモメ」のいいところは、サビの歌詞が直球勝負なところです。
「そんな素直な気持ちで会いにいきたい 愛にあふれた短い言葉をたったひとつだけ」

   素直な気持ちとか、愛にあふれたとか、明るいメロディにのって伸びやかに歌われると、歌詞はひねらずストレートなのが一番だって気になっちゃいます。

   そんな「放浪カモメ」の歌詞のなかで一番かわいいのが最後の方にに出てくる「パジャマのままで受けとめておくれ」です。
   パジャマですよ、パジャマ。なんとかわいらしい!かわいいけど寝室に侵入する気満々というのがなんともエロスです。
   それにしても「裸のままで」と歌うよりも「パジャマのままで」と歌うほうがちょっとエッチく感じるのはなんでなんでしょうね。

* * *
「放浪カモメ」で他に好きな歌詞はBメロの「上昇し続けることはできなくても またやり直せるさ」です。
   上り続けていないだけで、決して、下がっている/落ちていると言わないところが優しい。
   それから、この歌詞の一つ前に「見ろ あの夕焼けを 美しい」と言っているのですが、朝日ではなく夕焼けを見て「やり直せるさ」と自信を取り戻しているところがいいです。沈んでいくものへの慈しみが感じられます。

   いろいろ大変でも、なんとかなるさ。いざとなればやり直せばいい。ダメなら放浪の旅にでも出ようじゃないか。
   と言いたいのかどうかはわかりませんが、ノリもいいし、歌詞もネガ成分少なめでストレートなので、ちょっぴり前向きになれる歌です。