川のほとりに住むということ ~スピッツ「多摩川」感想

「多摩川」はスピッツの4thアルバム「crispy!」の9曲目に収録されています。

   むかし横浜に住んでいたことがあり、一度だけ、自転車で東京の自由が丘まで行ったことがあります。
   そのときいくつか大きな川を渡ったのですが、そのなかの一つが多摩川だったように思います。
   どんな川だったかは覚えていませんが、いくつも川を越えて少しずつ東京に近づいていくことにすごくワクワクしたことだけは今でも覚えています。

   最近はよく大阪に出張するのですが、大阪も川が多いですよね。電車に乗って外を見ていると川を渡っている景色をよく見ます。
   東京も大阪も大都会ですが、川が多いのとその周辺だけは緑が多いのが意外な発見でした。

   僕が住んでいる金沢には大きな川はありませんが、市内に犀川と浅野川という二つの川が流れています。自分の住む町はどちらかというと犀川寄りなので、よく休日は犀川までランニングに出かけます。

   普段の生活のなかでは、川と言えば、渡るもの、川沿いを走るもの、というのが僕のイメージです。
   でもスピッツの「多摩川」はどちらかというと「眺めるもの」という感じがします。

「蒼白き多摩川に」と歌っているので、早朝のもやがたっているころに川面を眺めながらあれこれ思いをめぐらせている姿が浮かびます。(「今日が暮れていく」と続くので、もしかして朝から夜までずーっと川を見ているのかな)

   この「川を眺めて思いをめぐらす」という行為は、わざわざ川まで自転車や電車で行ってまですることではないですよね。どちらかというと、もともと川の近くに住んでいる人がふらっと川に下りていってするのが自然な気がします。
   心がなんだかもやっとしているときに、川に下りて川面を眺めながら考え事をしたり、思いを深めたりする、というのはなんだかいいですね。川のほとりに住んでいる人の特権のように思います。

   一度は川のほとりのアパートに住んで、川を眺めながら日がな一日過ごしたりしてみたかったな、とちょっと思いました。