気持ちの悪い僕は ~スピッツ「Holiday」感想

「Holiday」は9thアルバム「ハヤブサ」の6曲目に収録されています。
スピッツ「ハヤブサ」

   まずタイトルを見て「あの日本語しか使わないスピッツが英語タイトルだって!?」と衝撃を受けます。でも、それ以上に歌詞のインパクトが凄いです。

「もしも君に会わなければ もう少しまともだったのに
「いつかこんな気持ちの悪い人やめようと思う僕でも」

   恋をして普通の感覚を失った様子がかなり生々しく描かれています。まともだったのに、とか、気持ちの悪い人、とか。けっこうヘビーだと思います。
   ただ、ちらほらとネットの評判を見ていると、この歌を好きな人はわりと多いようです。
   ちょっと僕には意外でした。

   もしかしたら男性と女性とで見ているものが違うのかもしれないと思いました。
   この歌を聴いて、歌詞の先に草野さん(のようなイメージの男性)を見るか、それともどっぷりとこの歌詞に自己投影するか。
   僕は明らかに後者でした。
   恋をしたときにうじうじとふさぎ込んでしまうタイプの人間だったので、いつも恋の末期には自分のことが気持ち悪くてしかたなかった。
   だから、二十代のころは「こんな気持ちの悪い人」という歌詞がナイフのようにグサッと胸に刺さって、まともに聞くことができませんでした。
   ちょっと、いえ、かなり苦手な歌だった気がします。(アルバムだと「甘い手」の次はスキップして「8823」を聴いていたような)

   今はもう結婚もしたので、ようやくまともに聴けるようになりました。
   あらためて聴いてみるとそんなにヘビーな歌ではなかったですね。どちらかというとカフェで流れていてもよさそうなお洒落な感じがあります。

   大人になって聴ける歌が増えたと喜ぶべきか、それとも恋にどっぷりとつかっていたころから遠ざかって寂しいと思うべきか。複雑な気分です。