シングル以外の曲で綴るスピッツうたことばの2週目です。
今回はゲストに音楽ジャーナリストで「ROCKIN'ON JAPAN」の元編集長の鹿野淳さんを迎えました。
とにかく鹿野さんのお話が面白かったです。
インタビュアーならではのスピッツのエピソードも聞けたし、鹿野さんご自身のスピッツへの思いや音楽の分析も聞けたし。
話も滑らかでわかりやすくて、ずっと聞いていたいと思いました。
ということで、今回は鹿野さんの話を中心に書いていきます。
メンバー間の雰囲気がよい証ですよね。ちょっと素敵。
レコーディングにはプレッシャーがつきまとうはずですが、録り直しを続けても空気が悪くならない。
「良くないね」「だめだ」といったネガティブなワードが出てこず、代わりに「こうすればいいかもね」と言ったり、うまくいかないところは笑い飛ばしていたそうです。
リラックスしたなかで楽しみながら時間をかけて丁寧に作品を作っている。
鹿野さんの想像では、スピッツのメンバーはレコーディングが長くなってもかまわないと思っているのではないか、とのことでした。
なるほど、そうした雰囲気の中だからこそ、ああいった素晴らしい作品群が生まれてくるのか、と感心しました。
これを自分の普段の仕事に当てはめてみると……んんん。改めないといけないところがありそうです。汗
鹿野さんは「あじさい通り」のもつ、「しめった感じ」や「UKのロックのもつ憂鬱さ」や「日曜の午後の何もすることがない人たちのなんともいえない感じ」がいいと話してました。
おおお、激しく同意!!わかる、わかります!
それから、サビの「だからこの雨あがれ」をピックアップしていました。
「この雨あがれ、はもっとさっぱりと言うもの。”だから”はいらないのに。この”だから”にスピッツの文学性がある」ですって。
興味深い見解ですね。
「僕は歌詞の才能がない」
「人と違うものを作っている自負はあるけれど、いい作詞家ではない」
「物語がばーっと浮かぶ歌詞を書きたいけど、そのイメージに追いつかない」
鹿野さんはここぞとばかりに突っこんで聞いていくと、草野さんはいい作詞家ではない理由として、次のようなことを話したそうです。
「スピッツの歌は音符が長いから」
「メロディの起伏がすごくゆるやかだから」
「ただでさえ日本語は言葉数が少ないのに、メロディが長いから、ほんとに難しい」
「言葉数が少ないからシリアスな曲ほど難しい」
さらに、番組の中で鹿野さんは、もしかしてだけれどと断わったうえで、
「『ジュテーム?』のなかで突然カレーが出てくる違和感も、この難しさとの戦いのなかでのエンターテイメントなのではないか」と言っていました。
草野さんがイメージしている良い作詞家とは、物語が浮かぶ歌詞を書ける作家であり、そのイメージに追いつけずにいる自分をいい作詞家ではないと思ってる。そして、その理由が音符が長いことにある。
なるほど~。なんとも興味深い話です。
きっと草野さんは少ない言葉数のなかでどうしたら楽しめるかと試行錯誤しながら曲を作っているのでしょう。そのおかげで、スピッツの歌は短く簡潔ななかにも物語を感じることができるのかな、と思いました。
もっとも、僕が草野さんの歌から感じる物語は淡い絵のようなもので、それは草野さんが良いと思っている物語とはまた違うものなのかもしれません。(草野さんの言う物語はもっと鮮明で小説のようにはっきりとしたもののような気がする)
けれども、あいまいな故に、聴く人の数だけ様々な物語を浮かび上がらせられることができる。この想像の余地こそがスピッツの歌の良さなのではないでしょうか。
田村さんが言ったそうです。
「草野の作る歌は”君たち”じゃなくて”君”に歌っている」
「バンドは大きくなっていくと、いつのまにか”君”が”君たち”になっていくようなものだったりするのかと周りを見ていると思う」
「しかし草野はいつまでも”君”なんだ。その純粋さを草野の曲は持っている」
そして鹿野さんがここが重要と言ったのが、次の田村さんの言葉。
「だから俺らの音も”君たち”じゃなくて”君”の音じゃないといけない」
「そうでなければ、スピッツの音楽というものを俺たちが一緒に作って鳴らしていることにならない」
これを聞いて、心が震えました。
田村さ~~~ん!!
きっと田村さんだけじゃなく他のメンバーも同じ思いなのではないでしょうか。
スピッツの音楽が素晴らしいのは、草野さんの純粋さがあって、それを守っている三輪さんと田村さんと崎山さんがいるからなわけで。
ああ、やっぱりスピッツは、この4人だからこそのスピッツだ。と、しみじみ感じました。
最後の最後にどかーんとすごいお話をぶっこんでくれましたね。感動しました。
ということで、とても楽しい日曜の午後を過ごせました。
鹿野さん、向井さん、濃密な2時間、ありがとうございました!
以下、おまけです。
鹿野さんが草野さんとレトロな喫茶店に入って、クリームソーダーを頼んだときのこと。
いきなりクリームをソーダに溶かしてかき混ぜて食べ始めたら、草野さんが「やめてくれ」と怒ったそうです。
なぜかというと、クリームが氷状にしゃくしゃくしていることろをえぐりながら食べるのがクリームソーダの楽しみ方だからだそうです。
ということで、万が一にも草野さんと喫茶店でクリームソーダを食べる機会があったら、クリームソーダの食べ方は要注意です。(そんな機会あるのか!?)
* * *
そんな感じで、専門的なことから変なピンポイントなところまで、いろいろなスピッツのお話を聞けました。楽しかったです。
また来年、第3弾がないかな!?
今回はゲストに音楽ジャーナリストで「ROCKIN'ON JAPAN」の元編集長の鹿野淳さんを迎えました。
とにかく鹿野さんのお話が面白かったです。
インタビュアーならではのスピッツのエピソードも聞けたし、鹿野さんご自身のスピッツへの思いや音楽の分析も聞けたし。
話も滑らかでわかりやすくて、ずっと聞いていたいと思いました。
ということで、今回は鹿野さんの話を中心に書いていきます。
目次[非表示]
オンエアリスト
まずはオンエアされた曲目です。
- ジュテーム?
- あじさい通り(鹿野さんチョイス)
- おっぱい
- 優しいあの子(例外のシングル!)
- サンシャイン(投票3位)
- 夜を駆ける(投票2位)
- 砂漠の花(投票1位)
途中の交通情報のBGMは、
- scat
- 「魔法のコトバ」のインスト
でした。
メンバーが「ジュテーム?」大好き
「ジュテーム?」はほぼ草野さんの弾き語りの曲で、草野さん以外の演奏パートがほとんどありません。それなのに、スピッツのメンバーは「この曲いいよな」とみんな言っているそうです。メンバー間の雰囲気がよい証ですよね。ちょっと素敵。
スピッツのレコーディングの様子
鹿野さんはスピッツのレコーディングに取材で立ち会ったことがあり、そのとき「このバンドは煮詰まらない。マイペースだ」と感じたそうです。レコーディングにはプレッシャーがつきまとうはずですが、録り直しを続けても空気が悪くならない。
「良くないね」「だめだ」といったネガティブなワードが出てこず、代わりに「こうすればいいかもね」と言ったり、うまくいかないところは笑い飛ばしていたそうです。
リラックスしたなかで楽しみながら時間をかけて丁寧に作品を作っている。
鹿野さんの想像では、スピッツのメンバーはレコーディングが長くなってもかまわないと思っているのではないか、とのことでした。
なるほど、そうした雰囲気の中だからこそ、ああいった素晴らしい作品群が生まれてくるのか、と感心しました。
これを自分の普段の仕事に当てはめてみると……んんん。改めないといけないところがありそうです。汗
あじさい通り
「熱量うたことば」と題してゲストの鹿野さんが選んだ歌について語るコーナーがありました。鹿野さんは「あじさい通り」のもつ、「しめった感じ」や「UKのロックのもつ憂鬱さ」や「日曜の午後の何もすることがない人たちのなんともいえない感じ」がいいと話してました。
おおお、激しく同意!!わかる、わかります!
それから、サビの「だからこの雨あがれ」をピックアップしていました。
「この雨あがれ、はもっとさっぱりと言うもの。”だから”はいらないのに。この”だから”にスピッツの文学性がある」ですって。
興味深い見解ですね。
草野さんはいい作詞家ではない?
あるとき草野さんがこんなことを鹿野さんに話したそうです。「僕は歌詞の才能がない」
「人と違うものを作っている自負はあるけれど、いい作詞家ではない」
「物語がばーっと浮かぶ歌詞を書きたいけど、そのイメージに追いつかない」
鹿野さんはここぞとばかりに突っこんで聞いていくと、草野さんはいい作詞家ではない理由として、次のようなことを話したそうです。
「スピッツの歌は音符が長いから」
「メロディの起伏がすごくゆるやかだから」
「ただでさえ日本語は言葉数が少ないのに、メロディが長いから、ほんとに難しい」
「言葉数が少ないからシリアスな曲ほど難しい」
さらに、番組の中で鹿野さんは、もしかしてだけれどと断わったうえで、
「『ジュテーム?』のなかで突然カレーが出てくる違和感も、この難しさとの戦いのなかでのエンターテイメントなのではないか」と言っていました。
草野さんがイメージしている良い作詞家とは、物語が浮かぶ歌詞を書ける作家であり、そのイメージに追いつけずにいる自分をいい作詞家ではないと思ってる。そして、その理由が音符が長いことにある。
なるほど~。なんとも興味深い話です。
きっと草野さんは少ない言葉数のなかでどうしたら楽しめるかと試行錯誤しながら曲を作っているのでしょう。そのおかげで、スピッツの歌は短く簡潔ななかにも物語を感じることができるのかな、と思いました。
もっとも、僕が草野さんの歌から感じる物語は淡い絵のようなもので、それは草野さんが良いと思っている物語とはまた違うものなのかもしれません。(草野さんの言う物語はもっと鮮明で小説のようにはっきりとしたもののような気がする)
けれども、あいまいな故に、聴く人の数だけ様々な物語を浮かび上がらせられることができる。この想像の余地こそがスピッツの歌の良さなのではないでしょうか。
「君たち」じゃなくて「君」に歌っている
最後に鹿野さんが語った田村さんのお話が熱かったです。田村さんが言ったそうです。
「草野の作る歌は”君たち”じゃなくて”君”に歌っている」
「バンドは大きくなっていくと、いつのまにか”君”が”君たち”になっていくようなものだったりするのかと周りを見ていると思う」
「しかし草野はいつまでも”君”なんだ。その純粋さを草野の曲は持っている」
そして鹿野さんがここが重要と言ったのが、次の田村さんの言葉。
「だから俺らの音も”君たち”じゃなくて”君”の音じゃないといけない」
「そうでなければ、スピッツの音楽というものを俺たちが一緒に作って鳴らしていることにならない」
これを聞いて、心が震えました。
田村さ~~~ん!!
きっと田村さんだけじゃなく他のメンバーも同じ思いなのではないでしょうか。
スピッツの音楽が素晴らしいのは、草野さんの純粋さがあって、それを守っている三輪さんと田村さんと崎山さんがいるからなわけで。
ああ、やっぱりスピッツは、この4人だからこそのスピッツだ。と、しみじみ感じました。
最後の最後にどかーんとすごいお話をぶっこんでくれましたね。感動しました。
ということで、とても楽しい日曜の午後を過ごせました。
鹿野さん、向井さん、濃密な2時間、ありがとうございました!
以下、おまけです。
僕の投稿が読まれました
おまけその1。
ランキング3位の「サンシャイン」で僕やまぢの投稿が読まれました!やった!
投稿の文章は残してないのですが、内容は「サンシャイン」の入ったアルバム「空の飛び方」を昔好きだった子に手紙といっしょに贈ったというものです。
向井さんには「おしゃれですね」と言われましたが、片思いだったので、決しておしゃれという感じでもなく、ぐだぐだでした。汗
このブログの「サンシャイン」の感想の記事にも書いてますのでよかったら見てみてください。
クリームソーダの食べ方について
おまけその2。鹿野さんが草野さんとレトロな喫茶店に入って、クリームソーダーを頼んだときのこと。
いきなりクリームをソーダに溶かしてかき混ぜて食べ始めたら、草野さんが「やめてくれ」と怒ったそうです。
なぜかというと、クリームが氷状にしゃくしゃくしていることろをえぐりながら食べるのがクリームソーダの楽しみ方だからだそうです。
ということで、万が一にも草野さんと喫茶店でクリームソーダを食べる機会があったら、クリームソーダの食べ方は要注意です。(そんな機会あるのか!?)
* * *
そんな感じで、専門的なことから変なピンポイントなところまで、いろいろなスピッツのお話を聞けました。楽しかったです。
また来年、第3弾がないかな!?