短くても熱い!スピッツの真骨頂 ~スピッツ「どんどどん」感想

「どんどどん」はスピッツの13thアルバム「とげまる」の13曲目に収録されています。

   初めてタイトルを聞いたときは和太鼓のリズムを連想してお祭りチックな楽しい歌なのかなと思っていましたが、「どんどどん」はそんな日本的風景を想像する暇もないくらい、スピード感のあるガリガリのロックです。タイトルそのままの力強いリズムをドラムとギターで激しく演奏しています。

   歌の構成は「メモリーズ」に似ています。
   Aメロでは草野さんの声にエフェクトがかかっていてノイジーですが、サビに入るとクリアになります。サビは疾走感もあるので、Aメロからサビに入った瞬間、スカッと解放された気持ち良さやカタルシスを味わうことができます。
   自分の印象としては「どんどどん」の方が「メモリーズ」よりもおしゃれです。タイトルはちょっとカッコ悪いですが。

   またAメロの韻を踏んだ歌詞も音の気持ち良さに貢献しています。
「眠らないトゥナイト」「シラフではつらい」「壊れてるくさい」「思い出すくらい」や、
「風に飛んでく」「ランデブー」「最新のハイテク」「許されないって知ってる」など。
   --意味は分かりませんが読んでると風刺的というか、ちょっと皮肉が効いていて、ニヤッとなります。

   そしてなによりも「どんどどん」の素晴らしいところは、豪快なドラムとともに熱く始まったと思ったら、僅か2分50秒であっさり終わってしまう、その潔さだと思います。
   僕はこのブログで常々スピッツの真骨頂は3分前後の短い歌のなかにこそあると書いてきましたが、まさにそれ!短いなかにも沸点に達する熱量をぎゅーっと詰め込んでいます。

   イメージとしては、新幹線の短い待ち時間の間に、ホームにある立ち食い屋さんに素早く寄って、熱々のうどんをかきこんだら、息つく間もなく新幹線に飛び乗ってぎゅーんっと旅立っていっちゃう感じ。(あ、「どんどどん」と「うどん」とをかけてます)
   慌ただしいくらいのスピード感や、ちょっとした空き時間にぱっと聴けるコンパクトさが「どんどどん」の魅力だと思います。

   ライブで聴くと楽しいのでまた演奏してほしいですね。
   実写と手書きのアニメを混ぜたようなMVも、かわいかっこよくておすすめです。

* * *
   個人的には2回目のサビの歌詞が好きです。
「かわいい君が笑ってる 悩みのときが明ける やわらかな綿の上 初めてのなつかしさ」
   やわらかな綿の上で初めてのなつかしさを感じるところが、ちょっと不思議でちょっとエロくていいです。