しけったビスケット、おかしなハチミツ ~スピッツ「ハチミツ」感想

「ハチミツ」はスピッツの6thアルバム「ハチミツ」の1曲目に収録されています。
   タイトルチューンにしてオープニングナンバーですね。

   アルバム曲ですが「ハチミツ(アルバム名)」が発売された当時は有線でもがんがん流れていました。当時僕はまだスピッツファンではなくアルバムも持ってなかったのですが、それでも曲を覚えてしまうくらいのヘビーローテーションっぷりでした。

   歌は3分と短いですが、小さな竜巻にのまれたように、あるいはジェットコースターに乗せられたように、乱高下が激しく、変化に富んでいます。
   冒頭は珍しい4分の6拍子ですし、短いなかにも1題目、2題目、間奏、3題目のサビ、そして(ちょっと凝った)アウトロまできっちり完備されています。
   特に、アウトロのサウンドは気持ちよく、わくわくして大好きです。
   草野さんがサビを歌いきった後、ドラムが抑え気味に始まり、徐々に音数が増えてぐいぐいと盛り上がっていく構成はたまりません。
   このアウトロには、緑の草原のなかで、背丈ほどもある草をかき分けてずんずん進んでいくようなイメージがあります。先の見えない草原で女の子と追いかけっこをして遊んでいる、そんな情景です。

   その追いかけっこのイメージの通り、歌詞から想像する「女の子」は無邪気でかわいいです。「ガラクタばかり……しのばせて」「意地っぱりシャイな女の子」など。
   そして、そんな女の子と出会って依存心丸出しな男の子の心情がまたいい。「……初めての 心さらけ出せる」「こごえる仔犬を暖めて」などです。
  全体的にデレデレな雰囲気というか、とろりと甘い感じが伝わってきて、すっごくくすぐったい。彼女がいないときだったら、やめてくれーって叫びたくなりそうです。
  まあ、タイトルからしてハチミツですからね。そりゃ甘くて当然かもしれません。

   ところで、歌のなかにキャッチ―で耳に残る歌詞が2つあります。
   冒頭の「一人むなしくビスケットの……」とサビの「おかしな恋人 ハチミツ」です。どちらも耳触りが良く、しかも食べ物に関係する単語が入っているので、ついつい混同しがちになります。
   有線で初めて聴いたころは、曲名が「ハチミツ」なのか「ビスケット」なのかときどきわからなくなりました。そんなことなかったですか?ーーあ、ない。失礼しました。