妖艶なスーパーモンキー ~スピッツ「孫悟空」感想

「孫悟空」はスピッツのスペシャルアルバム「色色衣」の11曲目に収録されています。

   ややダークでテンションを抑えたAメロから、明るく突き抜けるような疾走感のあるサビにつながる流れは、絶対にライブで盛り上がると思うのですが、未だにライブで聴いたことのない曲の一つです。

   どうして「孫悟空」というタイトルなのかはわかりません。
   ただ、「もがき続けてよう」「狂いそうなとき」といった歌詞から、頭に輪っかを嵌められた孫悟空が頭痛でもがいている姿が想像できます。また疾走感のあるサビを聴いていると、筋斗雲に乗ってビューンっと空を飛んでいるような爽快な気分になります。そんなところが「孫悟空」なのかなと思いました。

   歌の中で好きな部分は2つあります。
   1つ目は、一番最初のAメロです。「グラスにあふれてる水を飲みほしたら 新しい十字路を目指す」
   メロディが妖艶なせいか、黒いローブで全身を覆ったメンバー4人が、羊の血(という設定の赤ワイン)をいびつな形のグラスにそそいで、黒いテーブルを囲みながら、悪魔を呼び出す儀式だったり、世界征服の相談をしたりする様子を想像して楽しくなります。まあ、めっちゃ「水」って言っているんですけどね。
   また、分かれ道のような意味合いのフレーズはスピッツの歌には少ないように思うので、「十字路」という単語も地味に新鮮です。

   2つ目の好きなところは、1題目のサビの終わりから2題目のAメロへとつながる部分です。
「手が届きそうな明日」の「あしたー」から、「ああ 狂いそうな……」へ、「Ah」でつながるところが、草野さんの高音の伸びやかさも手伝って、すごく気持ちいいです。……すみません、細かいですね。汗

* * *
   タイトルが「孫悟空」ということで、西遊記の登場人物にメンバーを当てはめたらどうなるだろうと考えてみました。

三蔵法師: 草野さん
孫悟空: 三輪さん
沙悟浄: 田村さん
猪八戒: 崎山さん

   まあ、手堅いキャスティングって感じですかね。
   ただ、ライブの暴れっぷりだけをみると、田村さんが孫悟空です。いつか怪我しないかちょっと心配。誰か―、輪っか、輪っか。