轟音だし、ロックだし、めそめそしてる暇もない ~スピッツ「センチメンタル」感想

「センチメンタル」はスピッツの8thアルバム「フェイクファー」の2曲目に収録されています。


   ギターの轟音とともに始まるので、最初聴いたとき、え!?って思いました。タイトルから想像していたイメージと全然違う。どちらかというと、「冷たい頬」や「仲良し」のような歌を想像していたいので、間違えて1曲スキップしたのか、あるいはセンチメンタルという言葉の意味を間違えて覚えていたのかと思いました。

   音だけ聴いていると全然センチメンタルじゃないです。なんというか、まあ、めちゃめちゃロックです。
   落ち込んでいてもしょうがないぜっていうスピッツ的メッセージなのか、自棄っぱちになっているだけなのか。演奏時間も3分半と短いので、めそめそしている暇もありません。

   また、この歌で歌われている恋愛フェーズがいつごろなのかがよくわからないです。
   センチメンタルな気持ちの真っ最中なのか、センチメンタルなころは終わって振り返っている時期なのか、どちらなんでしょう。
「切ない気持ち抱えて笑い出したのは おとぎの国も桃色に染まるころ」という冒頭の歌詞を見ると、センチメンタルな時期は終わって、カラッと笑い飛ばしているようにも聞こえます。例えば、おとぎの国=初恋の幻想、桃色=現実、と捉えると、切ない気持ちを笑い飛ばして、日常の感覚が戻ってきているのかなと。

   いや、そうではなくて、桃色=エロと考えるべきなのでしょうか。そうだとすると、初々しい恋心を通り過ぎて、「君」とのエロスを想像して切なくなっている、という風にも読めます。
「君を知りたい そんなセンチメンタルデイ」という部分に至っては、「君」を「君の身体」と読み替えると、けっこうエロ全開、思春期全開の台詞に聞こえてきますね。


「センチメンタル」というタイトルなのに、ハードなロックナンバーというのが、スピッツらしいといえばらしい。ライブで一度は聴いてみたい曲の一つです。