「甘い手」は9thアルバム「ハヤブサ」の5曲目に収録されています。
不思議な魅力の曲です。「ハヤブサ」のなかでもトップクラスに好きな曲なのですが、なんともつかみどころがない。
演奏時間は6分半とスピッツの数ある曲の中でも非常に長い。だからといって、スケールが壮大かというとそんなこともなく、どちらかというとこじんまりとした印象があります。
また、歌詞が短く、簡潔です。曲の長さに対して歌詞が少ないと間延びした感じが出てくるものですが、そんなことはなく、むしろ言葉数が少ないからこそ、詩に力が宿っている気がします。
長いようで短くて、間延びしているようでキュッと締まっている。そんな印象の曲です。
次に、サウンドについて。
クリアなギターコードの響きとともに、静かに始まります。綺麗なイントロに心を引かれます。
その一方で、ベースもドラムも力強く、特に低音がどんっと響き、バンドサウンドが前面に押し出されています。サビではギターもノイジーで、全ての演奏が激しく、ヘビー級のパンチを浴びせかけられているような重厚さがあります。
そして、歌詞について。
Aメロの一つはこんな感じ。「遠くから君を見ていた いつもより明るい夜だった」ーー決して難解な言葉や比喩があるわけではないのに、不思議な雰囲気があります。「明るい夜」から、ドストエフスキーの「白夜」をつい連想してしまいます。間奏のロシア映画のサンプリングのイメージもあるかもしれません。
続いてサビです。「くり返しくり返し 楽しみに日をつなぐ 甘い手で僕に触れて」ーー歌詞の意味はよくわかないですが、どどどどどどって押し迫ってくるような演奏をバックに、「甘い手で僕に触れて」と歌われると、ぞくっと来るものがあります。わからないけれど、心に触れるものがあり、学生の頃はここを聴きたくて何度も何度もCDを流していました。
また「君に触れたい」ではなくて、「僕に触れて」というのが微エロでいい。欲望のレベルが一段上がっている(むしろ下がっている?)ように思います。
最後に。「愛されることを知らない まっすぐな犬になりたい」ーー「甘い手」の中で一番好きな歌詞かもしれません。
「猫になりたい」の猫は「君の腕の中」とあるように、すぐそばに君がいるイメージでしたが、「甘い手」の犬は君が遠くにいてひとりぼっちなイメージがあります。だけど、まっすぐです。愛されることを知らなくても、そばに誰もいなくても、負けずに(4本の足で)立っている。
当時の自分も独りだったので、そんなところもこの歌を好きになった理由なのかもしれません。
不思議な魅力の曲です。「ハヤブサ」のなかでもトップクラスに好きな曲なのですが、なんともつかみどころがない。
演奏時間は6分半とスピッツの数ある曲の中でも非常に長い。だからといって、スケールが壮大かというとそんなこともなく、どちらかというとこじんまりとした印象があります。
また、歌詞が短く、簡潔です。曲の長さに対して歌詞が少ないと間延びした感じが出てくるものですが、そんなことはなく、むしろ言葉数が少ないからこそ、詩に力が宿っている気がします。
長いようで短くて、間延びしているようでキュッと締まっている。そんな印象の曲です。
次に、サウンドについて。
クリアなギターコードの響きとともに、静かに始まります。綺麗なイントロに心を引かれます。
その一方で、ベースもドラムも力強く、特に低音がどんっと響き、バンドサウンドが前面に押し出されています。サビではギターもノイジーで、全ての演奏が激しく、ヘビー級のパンチを浴びせかけられているような重厚さがあります。
そして、歌詞について。
Aメロの一つはこんな感じ。「遠くから君を見ていた いつもより明るい夜だった」ーー決して難解な言葉や比喩があるわけではないのに、不思議な雰囲気があります。「明るい夜」から、ドストエフスキーの「白夜」をつい連想してしまいます。間奏のロシア映画のサンプリングのイメージもあるかもしれません。
続いてサビです。「くり返しくり返し 楽しみに日をつなぐ 甘い手で僕に触れて」ーー歌詞の意味はよくわかないですが、どどどどどどって押し迫ってくるような演奏をバックに、「甘い手で僕に触れて」と歌われると、ぞくっと来るものがあります。わからないけれど、心に触れるものがあり、学生の頃はここを聴きたくて何度も何度もCDを流していました。
また「君に触れたい」ではなくて、「僕に触れて」というのが微エロでいい。欲望のレベルが一段上がっている(むしろ下がっている?)ように思います。
最後に。「愛されることを知らない まっすぐな犬になりたい」ーー「甘い手」の中で一番好きな歌詞かもしれません。
「猫になりたい」の猫は「君の腕の中」とあるように、すぐそばに君がいるイメージでしたが、「甘い手」の犬は君が遠くにいてひとりぼっちなイメージがあります。だけど、まっすぐです。愛されることを知らなくても、そばに誰もいなくても、負けずに(4本の足で)立っている。
当時の自分も独りだったので、そんなところもこの歌を好きになった理由なのかもしれません。