スピッツ「ありふれた人生」感想

   11thアルバム「スーベニア」の2曲目に収録されています。

   ロックバンドらしくない歌謡曲のようなタイトルに、とてもストレートな歌詞と、スピッツには珍しい曲です。しかし、よく聴いていたのが仕事が多忙な時期だったので、シンプルでストレートな言葉の一つ一つが心に響きました。

   歌詞は基本的にド直球です。例えば「君といる時間は短すぎて 来週までもつかな / ああ 心がしおれそう 会いたい」
   このころは、いっしょに過ごしてくれる彼女なんていませんでしたが、会いたい気持ちがひしひしと伝わってきて、自分のことのように切なくなりました。
   同じアルバムに「会いに行くよ」という歌がありますが、自分にとってはどちらかというと、こちらの「ありふれた人生」の方が、”君と会う”歌としての印象が強いです。

   また、「ありふれた人生を探していた 傷つきたくないから」という冒頭の歌詞がぐさりと刺さりました。自分のやってることって、ほんとこの歌詞の通りだなぁと思いました。そしてその後に「だけど仕方ないじゃないか」と心の中で言い訳したり。

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    会社を出るのが夜0時を回っているような時期だったので、この歌を聴いていたのはいつも真夜中でした。マンションの部屋に戻ってくるなり、パソコンの電源を入れて、液晶のの画面の光をみつめながら、疲れて眠いのも我慢して、朝方まで、なにか面白いことないかなぁとよくネットサーフィンをしていました。
   そんな自分の生活と重なるものがあり、「逃げ込めるいつもの小さな部屋 点滅する色たち」という歌詞が好きでした。
……自分以外の人はほとんど注目しないところかもしれませんが、たまに他の人が気にしないようなささいな部分が心に触れることってありますよね。

   ところで、「点滅する色たち」というのは、ディスプレイに表示された文字のことだとずっと思っていたのですが、普通に考えたら、部屋の窓から見える夜景のことかな、と今ちょっと思いました。
   当時1階の部屋に住んでいたので夜景なんて見えなかったから、自分に合うように都合よく歌詞を解釈していたのかもしれないです。