スピッツ「黒い翼」感想

   4thアルバム「Crispy!」の10曲目に収録されています。

   ストリングスありの、コーラスありので、ラストを飾るのにふさわしい壮大な、スケール感のある曲だと思います。
   音がたくさんありますが、そのせいで、ボーカル(草野さん)の声が他の楽器にかすんだりすることなく、「もっと気高く」という歌詞に負けじと力強く響いています。

   歌の主幹部分は「黒い翼で もっと気高く 無限の空へ落ちていけ」というシンプルなワンセンテンスの繰り返しです。「白」じゃなく「黒」、「飛んでいく」のではなく「落ちていく」というのが、ダークで退廃的で、天邪鬼な草野さんらしいです。
   唯一、「気高く」というフレーズだけは、スピッツには珍しいですかね。ヒバリやツグミのようなかわいらしいイメージの鳥ではなく、「黒い翼」と相まって、鷲のような風格のある鳥を想像してしまいます。
   ただ、「ゴミ捨て場で目覚めたら」という歌詞があるので、どちらかというと、「カラス」のイメージなのかな。そうなると、急にスピッツらしく感じられてきます。

   ラストのコーラスがスケール感を増していて、アルバムの最後を締めるにふさわしい曲だと思います。アルバム感想のときは書きませんでしたが、今は「黒い翼」もおすすめ曲に入れたいですね。

   しかし、それでもやっぱり「Crispy!」というアルバムは物足りない!と感じてしまいます。

   以下は、「Crispy!」の初心者である私の戯言です。「Crispy!」のファンの方は「なに言ってるんだい」って感じなになるかもしれませんが……

   最近聴きなおしていて思うのは、アルバム後半にもう一曲ほしかったということです。例えば、「多摩川」と「黒い翼」の間に「グラスホッパー」だったり、あるいは「黒い翼」の後に「こんにちは」だったり。後半にノリの良い曲がもう一つあれば、全体がグッと引き締まってもっと良くなったのではないかと思います。
   まあ、そんなことを言っても詮無いことではありますが。最近感想を書く目的でよく聴くようになったら、案外良い曲がそろっているなぁと思い、ついつい余計なことを考えたりしたのでした。