スピッツ「あじさい通り」感想

 6thアルバム「ハチミツ」の7曲目に収録されています。
 歩道を歩きながら、色の違うタイルを傘の先端でタッタッと叩いていくような小気味よいリズムが特徴的です。
 Aメロの歌詞もメロディも好きなので、そこばかりよく口ずさんでいました。逆にサビはやや単調で印象が薄いかな。

  ベタかもしれませんが、「いつも笑われてるさえない毎日 でもあの娘だけは光の粒をちょっとわけてくれた」のところが好きです。授業中によくノートの端っこにこの歌詞を落書きしていました。

 別にいじめられた経験とかはないのですが、それでも学生のころはいろいろ上手くいかなくて憂鬱な日々を過ごしてました。だから、自分を拒絶する外の世界と光をくれるあの娘のいる内向きの世界という対比は、心の琴線に触れるものがありました。
 ガラス玉のなかにたまった光を手の中で転がすように、この歌詞だけを切り出して、何度もノートに書いたり、歌ったりしてました。
 基本的に、こういう自分を救い上げてくれる女の子の存在を歌っている歌詞に弱いのかもしれません。

 それにしても、「君」でも「あなた」でもなく「あの娘」と言っている時点で、想いは絶対に届かないんでしょうね。そんなところもまたよかったです。……長い片思いをしていましたし。

 憧れのような恋は片思いで終わるんです、きっと。

 スピッツの白い本を読み返すと、草野さんが「『あの娘』って言葉の響きの中にものすごいエッチなものを感じる」と書いてありました。「近づけないものに向ける思いっていうのは物凄く深いものがある」って。な、なるほど!