スピッツ「さらばユニヴァース」感想

  9thアルバム「ハヤブサ」の4曲目に収録されています。
  ジャンル分けの難しい迷(?)・名曲です。

宇宙×女の子×恋愛

  曲の大まかな流れから見ていきます。
 まずは、うねうねと銀河が渦巻いているようなサウンドのイントロから始まります。それからいったん静かになり、2回繰り返されるAメロによって、否が応でもぐいぐいとテンションが上がっていきます。
  そして、昇りきった後にくるサビでは、歌詞とメロディの相乗効果で、宇宙の創世記に立ち会っているような凄さがあります。「それは謎の指輪」というまさに謎のフレーズから「でこぼこの宇宙」へとつながって、新しい変てこな宇宙が広がります。

  間奏では宇宙の黄昏を思わせるような壮大なギターソロが流れます。
  3回目のAメロはなく、サビが1回流れた後、混沌とした長いアウトロがやってきます。大きなかき混ぜ棒でぐるぐると宇宙を撹拌しているようなギターラインがすごい。間奏、アウトロともにギターがかっこいいです。
  短い歌のなかに宇宙を感じることができる稀有な曲です。

と、ジャケットも宇宙っぽいし、タイトルもユニヴァースだし、で、宇宙でまとめてみましたが、実際には恋焦がれている女の子(あるいはもうつきあっている?)との距離の遠さと、それが縮まっていく喜びを歌ってるんだと思います。
「何だって俺にくれ!」「会えそうで会えなくて」「声が届いちゃったりして」「引き合ってる 絶対そう」「君はどう思ってる?」とAメロでは女の子にうまく近づけなかったり、距離が少し開いている歌詞が多いです。(「……ちゃったりして」がかわいいですよね。2回目のAメロの歌詞好き)
  一方、サビになると「指輪」「さらばシャレたユニヴァース」「君が望むようなでこぼこの宇宙へつなぐ」と、なんとなく、夢心地な季節が過ぎて、楽しくも大変な現実の生活を予感させる歌詞が増えてきます。

  そういえば、学生のころはこれは一方的な片思いの歌だとばかり思ってました。女の子とつきあったことがなかったので、片思いの部分ばかりを強調して聴いていたんですね。

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|♪ さらばユニヴァース(ハヤブサ)

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  15年のゴースカ(名古屋)のときに、ベースの田村さんがセットリストのことで愚痴(?)っていて、「さらばユニヴァースやりたいのに誰も投票してくれないしさ」みたいなことを言ってました。(そんな田村さんがかわいかったので)それを聞いてこの曲の好感度が更に上がりました。

※実は発売してからしばらく、サビの歌詞を「謎のユニヴァース」と勘違いしていました。未だに「指輪」に違和感があります。

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