【感想】劇場版「優しいスピッツ」|レトロな映像美に心が満たされる

   先日発売された劇場版「優しいスピッツ」のBlu-rayを自宅で観賞しました。

「優しいスピッツ」を観るのはこれが初めてです。

劇場版「優しいスピッツ」

   全然内容を知らずに観たのですが、基本的には最初から最後まで歌いっぱなしなのですね。(もっとドキュメンタリー要素が強いのかと思っていました。)

   途中ちょこちょこメンバー同士が話したりもしますが、流れが止まることはなく、スタジオライブを一発撮りしているような感じで進んでいきます。


   通常の観客を入れたライブと大きく異なる点は歌っている場所が帯広の「双葉幼稚園」だということです。

   調べてみたら「双葉幼稚園」は明治に建てられいて、幼稚園としては2013年に100回目の卒園式を終えて閉園しています。今は国の重要文化財に指定されていて、コンサートなどのイベント会場として貸し出しているようです。

劇場版「優しいスピッツ」

   そんな歴史ある双葉幼稚園の造りが、スピッツの演奏にレトロで柔らかな雰囲気を与えています。

   また円形にメンバー6人(クジさん含む)が向かい合っているのも、誰が中心でもなく、アットホームな空気を生み出しています。

   全体的に暖色がかった映像づくりも暖かさを増しています。

   まさにタイル通りの優しいイメージ!

   これまで発売されたどのスピッツのライブ映像とも違う美しさがあります。

劇場版「優しいスピッツ」 メニュー画面


「つぐみ」「空も飛べるはず」「優しいあの子」「夕焼け」は撮影場所のレトロ感と楽曲の性質とがうまくマッチしていて、最高でした。

   特に「夕焼け」はオレンジ色の光に包まれながら「きれいな夕焼け〜」と歌う草野さんやメンバーの姿が美しかったです。このままPVにしてもいいんじゃないかというぐらい。


   あと「Holiday」の撮り方も面白かったです。

   ドアの向こうからメンバーの演奏の様子をうかがっている感じが、「こんな気持ち悪い人」という歌詞にぴったりでした。この建物の構造をうまく利用してるなぁと。


   演奏とともに時間も経過し、11曲目の「大好物」が終わる頃には夜になっていました。

   そういう一日の変化を映像のなかで感じられるのも素敵でした。


   それにしても、約90分間、同じ場所で演奏しているのを観ていても全然飽きませんでしたね。むしろこの建築物が次はどんなスピッツの表情を引き出してくれるのかと楽しみでした。

   派手な演出なんてなくても楽曲と場所が良ければそれでいいんだなと思いました。


   これは歴史に残る名盤になること間違いなし!


   唯一、惜しいと感じたのは、曲間のメンバーの話し声が小さいことです。

   ボリュームを上げないと話の内容を聞き取れません。

   おそらく、長い映画のなかで演奏にアクセントを置くために、音量で濃淡ををつけようとしたのだと思います。演出としてはそれもありですが、実際には何を話しているか聞き取れないのはけっこうストレスでした。

   通常のライブDVDとは違うのだから、曲間のメンバーのトークも含めて映画として成り立たせてほしかったなー、と。


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