mol-74の約1年半ぶりの新譜「きおくのすみか」の感想です。
mol-74の楽曲には冬や夜のイメージがあります。
寒い夜に舞う淡い雪のような儚さと美しさ。
でもこの「きおくのすみか」はそんなイメージとは真逆で季節はずばり「夏」です。
と言ってもギラギラに輝く太陽というよりは、ノスタルジーが漂う記憶のなかの夏という印象です。
夏なんだけど、mol-74らしい淡い儚さがある。近づくと遠ざかる陽炎をどこまでも追いかけていくような。
そんな「夏」や「記憶」を連想させる歌詞は全編に渡って散りばめられています。
「忘れたくない、忘れたくない」(①忘れたくない)
「また、夏が ほら、駆け足で……戻れもしない夏の日」(③Summer Page)
「消えないまま 憶えてるよ 君を纏う記憶」(④花瓶)
「大切な日々を思い出せないのは……」(⑤此方へ)
そしてジャケットは青と黄色のツートンカラーで車道を描いていて、夏の日のドライブを連想させます。
そう、このミニアルバムはmol-74初(!?)のドライブチューン(夏)なのです!
(もっとも「2月の風」(⑥アンニット)や「梢の蕾が少しずつ膨らみはじめた頃」(⑦ひびき)といった歌詞もあり、必ずしも夏限定ではないようですが)
全7曲をざっくり分類すると、
アップテンポでハイな①「忘れたくない」②「0.1s」③「Summer Pages」⑦「ひびき」と
静かな④「花瓶」⑤「此方へ」⑥「アンニット」
に分かれます。
静と動のバランスが取れていて「動」がやや多めというところもまたドライブに持っていきたくなります。
実際、②「0.1s」はMVもあり、ドライブ感全開です。
聴くとわかるのですが疾走感がたまらないです。
「この目で触れて この耳で触れて 止まらない一瞬を逃さないように」というサビも刹那でいい。
「一瞬」を強調するほど今のこの「現在」から外れてむしろ「過去」や「記憶」に意識が行ってしまうというのが逆説的で不思議です。
「0.1s」はおすすめです。ドライブのお供にぴったりです。
一方、静かな曲の中では⑥「アンニット」が好きです。
全体に漂う喪失感と気だるさに、「ベランダの青いシャツが風で焦れったそうに揺れる」という情景描写がすごくハマっていて、聴く度にゾクッとします。
ということで、今年の夏はmol-74の「きおくのすみか」を聴きながらドライブしようと思います。
今回紹介しなかった①「忘れたくない」⑦「ひびき」もドライブに合ってますよ♪
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