1月第2回目のNHK-FM「ディスカバー・クイーン」は「クイーンズ・クロニクル」と称してアルバム「ザ・ワークス」にスポットを当てています。
ただし、今回も前回の「ホット・スペース」同様に、全曲ではなく一部の楽曲のみの解説に留まりました。(残念)
第39回 クイーンズ・クロニクル「ザ・ワークス」
【放送日】 1月16日
【DJ】サンプラザ中野くん,西脇辰弥
今回の目玉はなんといっても大ヒットナンバー「RADIO GA GA」の解説です。
また西脇さんのお話から、今作のポイントは「新しい技術の導入」と「原点回帰」だったように思います。
では、順に解説を見ていきます。
RADIO GA GA
- 聴きどころ「ドラムマシーン」「ボコーダ」「オートアルペジオ」「ベースのジョンのアプローチ」
- 「radio〜♪」のコーラスはボコーダを使っている。「ボコーダ」は、マイクにつながっていて、ボコーダの鍵盤を弾くとシンセから声が出る機械。音は声優先、音程は鍵盤優先。ちょっとロボットっぽい感じになる
- ピコピコしたアルペジオは「オートアルペジオ」
- ジョンのベースが自由自在とブライアンのおおらかなギター、ドラムマシーンの無機質な音が渾然一体となって80年代の新しいサウンドを作っている
Tear It Up
- 聴きどころ「いつにもまして迫力のあるドラムサウンド」「原点回帰したようなコーラス」
- ドラムのレコーディングはレイト・リバーブ(ゲート・リバーブ)
- 「レイト・リバーブ」とは、よく響くスタジオで遠くにマイクを置いて録音し、さらにノイズゲートをかけ、残響を強制的にカットする。80年代のドラムサウンドを語るうえで外せないサウンド
- 久しぶりに3人でハモってる
「永遠の誓い」(It's A Hard Life)
- とあるオペラのアリアを引用している。「笑うんだ道化師よ」という歌詞が出てくる
- 12小節の長いギターソロ。ギターによるファンファーレのようになっている
- 元気や勇気をもらえる歌声
Machines (or 'Back to Humans')
- 聴きどころ「エレクトロなサウンドとハードロックの対比」
- ボコーダが入ってる
- ロジャーが意味深なメッセージを言ってる
- シーケンサーが使われている(シンセサイザーを自動演奏)
- 「性生活がクオンタイズされる」という歌詞がある
- 通常「量子化される」と訳されているが、音楽用語の「クオンタイズ」という機能からきているのではないか?
- 「クオンタイズ」は、取り込んだ音源を例えば16分音符に強制的に音を合わせる機能。リズムが悪くても正確に合う。
- 「性生活がクオンタイズされる」は性生活が強制的にタイミングを合わされているという意味なのではないか、と推察
I Want to Break Free
- 聴きどころ「フレッド・マンデルによるシンセソロ」
- フレッドのシンセはピッチベンドを使っている(音程を揺らしている)
- ふざけている=ユーモアがあふれている
最後に西脇さんは「ザ・ワークス」について次のように感想を述べていました。
「この時期はサンプラー、ドラムマシーン、シーケンサーなどいろいろな技術を導入していて、攻めの姿勢を崩していない。一方でコーラスワークなど原点に回帰した楽曲も忘れていない。本当に多面的なバンドだという思いを強くした」
あらためて、「ザ・ワークスは」は従来のクイーンと新しいクイーンとが交差している良いアルバムなんだなぁと感じました。
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