NHK-FM ディスカバー・クイーン 備忘録⑯ 〜クイーンズ・クロニクル「JAZZ」

   11月前半のNHK-FM「ディスカバー・クイーン」は7枚目のアルバム「JAZZ」の全曲解説でした。

   毎度おなじみの西脇辰弥さんのマニアックな解説をたっぷり2週にわたって聞くことができました。


   まだまだクイーン初心者の僕が番組内で新たに知ったこと、興味を持ったことを備忘録がてらここに残していきます。


第31, 32回   クイーンズ・クロニクル JAZZ

【放送日】11月 7日, 14日

【DJ】サンプラザ中野くん,西脇辰弥


   今回のキーワードは「残響がない」と「フレディのヘイ」です。


   ではA面から順に西脇さんの解説を見ていきます。


① Mustapha:

  • 1分19秒までモノラル。その後ステレオで音量もドカンと大きくなる
  • こんなジャンルはどこにもない。西脇さんは中東のロックをさがしてみたがほとんどみつからなかった。
  • 残響をかけてない(このアルバムのキーワード)
  • サンプラザ中野くん:「はい」という掛け声が好き


② Fat Bottomed Girls:

  • 西脇さんの聴き所は「残響がない」のとフレディの「ヘイ!」という掛け声
  • ジョンのブーンというスライド(当時の弦はギザギザなので指を痛める)
  • ロジャーが2回叩いているのでドラムが重い
  • 最初のコーラスの「ツ」の部分を1人しか歌っていない → フックになっている


③ Jealousy:

  • 西脇さんの聴き所は「めくるめく転調」と「最後の最後にジョンが遊んでいるところ」
  • スタールみたいな音が入っているが、改造したアコギらしい
  • フレディのファルセットとコードのアンニュイさがあわさって切ない


④ Bicycle Race:

  • ジグザグ録音。1,3,5,行の順で歌って、次は2,4,6行を歌って録音する。そのためブレスがどこにもない
  • あまりにもブレスができないから、ライブでは「I」を省略して歌っている
  • この歌も残響がない。大合唱で残響がない。おそらくあまり響かない狭い場所で歌ったと思われる。部屋鳴りもない。違和感 → フックになっている

⑤ If You Can't Beat Them(うちひしがれて):

  • 長い物には巻かれろという意味があるらしい
  • 頻繁に転調する

⑥ Let Me Entertain You:

  • バスが三拍子、シンバルが二拍子。不自然なまでのフェダー操作 → フックになってる
  • アナログレコードあるある。レコードは外から内に針が回るため内側は溝が詰まる。内周で音を大きく出来ないし、したくない。そのため最後の曲はフェードアウトが多い

   A面の総括として西脇さんは「他のどこにもない曲(ムスターファ、バイシクルレース)がA面だけで2曲も入っている」と語っていました。

   たしかに!

   変な名曲が前半に2曲もあるなんてそれだけですごいです。


   続いてB面の解説です。


⑦ Dead On Time:

  • 聴きどころは「ブライアンとジョンのコンビネーション」と「フレディのヘイヘイ」
  • ギターのリフとベースのフレーズがかなり異なる。ベースはシンプルになって音数が減っている。→ファンキーさや立体感が出ている


⑧ In Only Seven Days:

  • 聴きどころは、フレディの美しいボーカル
  • 「こんなことが一週間のうちにあるなんて思いもしなかった」という歌詞のところでdimコードが使われている。→心の動きに和声がリンクしている
  • 一番ありがちなコード進行のときに悲しいことを歌っている、という対比


⑨ Dreamer's Ball:

  • ブルースをベースとした楽曲


⑩ Fun It:

  • ディスコのサウンド。シンセドラムが使われている


⑪ Leaving Home Ain't Easy(去りがたき家):

  • 聴きどころはアッパーストラクチャートライアド(いろんなキーのド・ミ・ソを乗せる)
  • ロックではなくて、例えばホルストの「惑星」の「火星」のなかに使われている
  • 他には「スターウオーズ」のテーマにも使われている
  • このアルバムの発売の前年に「スターウオーズ」が公開されている。もしかしたら作曲のブライアンが影響を受けたのかも??


⑫ Don't Stop Me Now:

  • フレディが「ヘイヘイヘイ」(ヘイが今までよりも1回多い)
  • 多重録音されたコーラスにほとんど残響がついてない
  • ジグザグ録音
  • 普通は4小節単位で進んでいくが、この曲は、5,6,9小節と進んで、サビで始めて4小節単位になる。気づきにくいが変なポイント


⑬ More Of That Jazz:

  • ロジャー作曲、ボーカルもロジャー
  • 久しぶりにロジャーの高音シャウトが聴ける
  • テープを切り貼りした実験的な音楽


   ストレートで疾走感のある「Don't Stop Me Now」にも実は変なポイントがあるということが知れて、面白い回でした。

   それにしても「JAZZ」は名曲が多いですね。あらためて名盤だと実感しました。


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