10月になり、NHK-FMで4月から1年かけて放送される「ディスカバー・クイーン」もいよいよ後半戦に入りました。
10月第1週、第2週はアルバム「世界に捧ぐ」を深掘するクイーンズクロニクルでした。
これまで同様にまだまだクイーン初心者の僕が番組内で新たに知ったこと、興味を持ったことを備忘録がてらここに残していきます。
第27, 28回 クイーンズクロニクル「世界に捧ぐ」
【放送日】 10月3日, 10日
【DJ】サンプラザ中野くん,西脇辰弥
今回取り上げられたのはクイーンの6枚目のアルバム「世界に捧ぐ」です。
全体を通して、僕が読み取ったポイントは2つです。
- 3拍フレーズ、ポリリズム
- フレディの作曲法が短いフレーズを模倣しながら展開していく手法に変わってきている
それでは西脇さんと中野くんの解説をメモしましたので1曲目から順に記載していきます。
<A面>
① We Will Rock You:
- 「どんどんパッ」は4人程度が多重録音してもこうはならないことが経験上わかる(西脇さん)
- ロジャーのドラムテックのクリスさんが語ったところによると「ロードクルー(ツアースタッフ)全員とバンドメンバー全員の30〜40人で録った」らしい
- ばらけ感が人海戦術
- 実は「てをとりあって」のコーラスもロードクルー全員なのではないか?
② We Are The Champions(伝説のチャンピオン):
- 一般的な作曲は短いフレーズを模倣しながら繰り返すが、これまでのフレディの作曲は長いフレーズだった。この曲では前者になっている
- 3拍フレーズが特徴
- ライブでは最後に「〜オブ・ザ・ワールド」と歌ってビッグエンディング(吹き回し)になっているが、アルバムでは最後まで歌わない。何故か?
- ビッグエンディングの場合、限りなく大きな音を入れて、場面転換の伏線として使いたいが、次の曲の「シアーハート」が大きな音で入りたいから、ビッグエンディングがふさわしくないとはんだんしたのではないか
③ Sheer Heart Attack:
- ブライアンは「パンクの要素を取り入れた」とも「パンクっぽっく聞こえるのは全くの偶然」とも言っている。どちらが正しい?
- 西脇さん「アーティストはエンターテイナー。ホントのことを言うとは限らない彼らは全力でふざけている!」
- ここでも3拍フレーズ
- take12
- 太鼓のハンドルを誰かがぐるぐる回して音を高くしている?かも
④ All Dead, All Dead:
- ブライアン作曲。ずっと4声帯。サビに入るとさらに高音が一声入る
⑤ Spread Your Wings(永遠の翼):
- ティンバルスが1箇所使用されている(サザエさんの歌で鳴る打楽器の音)
- フレディの歌声がぎりぎりのところを攻めている(フレディはライブではAを限界にしている)
⑥ Fight From The Inside(秘めたる炎)
- ロジャー作
- ファンクを初めてクイーンに持ち込んだ。それでいてハードロック
- フィルインがない。クラッシュシンバルも叩かない。「俺はグルーブだけで一曲やれるんだぜ」という侠気を感じる一曲
- 中野くん「不思議なA面」
- 西脇さん「変わりたかったんだなという思いが伝わるアルバム」
<B面>
⑦ Get Down, Make Love:
- 今までにないフレディの作曲法。短いモチーフを模倣しながら展開していく
- 3拍フレーズとポリリズム(サビや、中間のカオスなところ)
- ハーモナイザーとフィードバックを使用したSE
⑧ Sleep On The Sidewalk(うつろな人生):
- テイクワンで録ったと言われている
- アルバムそのものも多重録音が少ない
- 当時はアナログテープのため、多重録音は音の劣化が大きい
- テイク数が少ないと音の劣化も少ない。このアルバムが音がいいと言われいるのはそのおかげではないか
- もろにブルースのコード進行(16小節)
⑨ Who Needs You(恋のゆくえ):
- ジョンは和声的なカタルシスを避けない(フレディの逆)
- ツーファイブワンのコード進行
- 人懐っこさ、万人受け、安心感
- ブライアンのマラカス、フレディのカウベル
⑩ It's Late:
- コーラスも厚い。大作志向
- ドラムを叩いていても気持ちいい
- 3拍フレーズ、ポリリズム
- ビッグエンディングから静かな曲へ
⑪ My Melancholy Blues:
- ジャジーだがクイーン的
- 西脇さん曰く「聴きどころはジョンのベース」
- アーティキュレーション
- ベーシストは自分だけが目立ちたいと思わないがピリッとしたスパイスも残したいと思うもの
- 歌モノに対して愛のあるベースプレイを堪能してほしい (このコメント素敵!)
* * *
これまでよく出てきた「多重録音」「逆再生」が影を潜めて、よりシンプルな作りに移っていっているように感じました。
次回のクイーンズクロニクルは「JAZZ」を取り上げるそうです。
ムスターファやバイシクル・レースなど変わった曲も入っているので、これもどんな解説が飛び出すか楽しみです。
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