ロク漫193回|草野さんの作詞のルーツを辿りつつ作詞論が学べる神回!

 

作詞の師匠で漫遊記

   今週のテーマは「作詞の師匠で漫遊記」です。


   番組冒頭で草野さんが「かれこれ作詞をするようになって40年近く経ちます。これまで影響を受けてきた人たちのナンバーを、エピソードも交えてお伝えします」「今日は自分語り中心になっちゃうかも」と話してました。

   これはオープニングトークからして気分が高まりますね。


   ではオンエアされた曲順に見ていきましょう♪


作詞のルーツ「スターリン 遠藤ミチロウ」

   1曲目はスターリンの「玉ねぎ畑」で、作詞は遠藤ミチロウさんです。


   草野さんは高校一年のときに初めてコピーバンドを組みました。

   その頃からオリジナルをやりたいという思いはあり、最初は「にゃにゃにゃ〜」と歌ってカセットに記録していました。

   しかし曲はできるけれど、普段は英語のロックばかり聴いていたため歌詞をどうしたらいいかわからなかったそうです。


   あるとき友達に借りたテープでスターリンを聴いて「こういうのもありだ」と知りました。歌謡曲の惚れた腫れたでもなく、メタルにありがちな悪魔や地獄でもなく。過激な言葉がロックになっている。


   ということで草野さんにとっての作詞のルーツはスターリンの遠藤ミチロウさんなのでした。


性別を越えた世界を聴かせてくれた「ゼブラ」

「ゼブラ」はの世界になりがちだったロックにおいて性別を越えた世界を聴かせてくれたそうです。

   今回オンエアされた曲は埋立地をさまよう人のうたです。

   草野さんは、歌詞に出てくる「キリンの群れ」がコンテナの積み下ろしのクレーンのことと気づいたとき、思わず「すげー」と膝を叩いたそうです。


ポップさの中の狂気「ブルーハーツ」

   最初に聴いたとき草野さんは18歳で、あまりの衝撃に呆然としたそうです。

   一緒に聞いていた友達は「がんばれ」とかダサい言葉をわざとパロディとして使っているんじゃないかと話していました。

   ポップさが逆に狂気をはらんでいてやばいなと。

   いま振り返ると、マジとも皮肉ともどっちとも取れるところがブルーハーツの発明だったのではないか。

   歌謡曲っぽいメロディでパンクをしようと考えていたらブルーハーツに先を越された。ただ、自分の構想よりも完成度が高くて嫉妬よりも先にファンになった……って、草野さん、大絶賛ですね。


テストに出る!重要ワード小物使い「松本隆」

   スピッツを結成して間もないころ、ブルーハーツのフォロワーっぽくないことをしようと、歌詞を見直し、自分のルーツをさらに遡ったら松本隆さんに行き当たり、松本さんの小物使いを参考にしたそうです。

「小物使い」は草野さんが作詞について語るときに出てくる重要ワードで、草野さんは「テストに出る!」とまで言って強調してました。

   具体例として「サフラン色のドア」「スフィンクス」「下弦の月」をあげていました。 


「小物使い」の逆が「観念的ワード」で例えば「会いたいけど会えない」「何かを探してどこかへ」などがそれに当たります。

「観念的ワード」ばかりだとイメージがぼんやりして何も伝わらない。松本隆さんの歌はそうならないためのお手本でもある、と話してました。


現代詩とSNS

   デビューが決まった後、現代詩も参考にしたそうです。

   谷川俊太郎や草野心平 などの名前があがっていました。


「谷川俊太郎」については茶目っ気と雄大な世界観が共存する、と言っていました。

   スピッツの「5千光年の夢」は谷川俊太郎の「二十億光年の孤独」のオマージュだそうです。

   そういえば、僕も最初にタイトルを見たときになんとなく教科書で読んだ谷川俊太郎を思い出してました(^_^;)


「草野心平」についてはオノマトペを効果的に使っている、と言っていました。

「たんたたんたん」や「チィパチぃパ」は草野心平の影響だそうです。


   また、SNSの短い文章でも言葉の使い方やリズムの作り方がうまい人がいて感心する。すっとぼけた感じが出てるのが好き、とも。


洋楽「ピクシーズ」

   シュール、文学的、小物使いがうまい。

   初期のスピッツはピクシーズ的なものを目指していたそうです。


雰囲気重視の言葉選び「銀色夏生」

   アルバムを3枚出してセールス的に鳴かず飛ばずのときに、売れる歌詞を書こうとして参考にしたのが銀色夏生さんでした。

   すごいメッセージ性やストーリーはないが雰囲気重視の言葉選びで「売れる歌詞というのはこういうのか」と思ったそうです。

   音楽マニアではない普通の人の心をつかむ言葉選びだと。


   銀色夏生さんの詩集も2冊紹介していました。

   その一つは「これもすべて同じ一日」という詩集で、ちょっとくすぐったい恋愛ポエムだそうです。

   景色をガラッと変える言葉がポンッと入っていてすごく気持ちがいい、と言っていました。


   ちょっぴり気になりますね。本屋で見つけたら読んでみようかな。


J-pop界のゴッドファーザー「桑田佳祐」

   ラストの「ちょっぴりタイムマシーン」のコーナーは原由子さんで、作詞は桑田佳祐さん。

   サビは「愛してる〜う〜」ではなく「愛・視点・ルール」

   なぜこんな変わった歌詞になったのか?

   ーー言葉の意味よりもリズムを重視したからではないか。

    これをコミカルになりすぎずにやれる桑田佳祐さんはJ-pop界のゴッドファーザー、と草野さんは語ってました。


これは神回!!

   Twitterのタイムラインでは放送の始まる前から「今回は神回必至」とつぶやいている人がチラホラ見受けられましたが、まさにそのとおりの神回でしたね。

   普段は一回しか聞かない僕も再漫遊して2回聴いてしまいました。

   それくらい情報量が多かったです。


   上に書き漏れた話としては、草野さんは「諧謔性」を意識していきたいと話してました。

   直球で笑いを取りに行くのではないばかばかしさ、だそうです。


   最後に草野さんは、

「スピッツの歌は意味がわからない、変わった歌詞とよく言われるがあえてそう作っている」「他の誰かに似ていない表現を目指していきますので、これからもよろしくおねがいします」

   と話していました。

  ええ、もちろん、どこまでもついていきますとも!

   ヨロシクオネガイシマス!


オンエアリスト

① アカネ / スピッツ

② 玉ネギ畑 / THE STALIN

③ うめたて / ZELDA

④ 人にやさしく / THE BLUE HEARTS

⑤ タイム・トラベル / 原田真二

⑥ Wave Of Mutilation / Pixies

⑦ そして僕は途方に暮れる / 大沢誉志幸

⑧ 恋は、ご多忙申し上げます / 原由子   


YouTubeMusicプレイリスト

   ロック大陸漫遊記でオンエアされた曲を、普段から聴けるように毎週プレイリスト化しています。

   YouTubeMusicで限定公開してますので、同じくYouTubeMusicに加入している方はよかったらご利用ください。

   なお、違法アップロードと思えるものは避けて、公式と思える楽曲のみで作成するようにしています。(たまにわからないときがあるけど)


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