「俺のすべて」はスピッツのスペシャルアルバム第1弾「花鳥風月」の5曲目に収録されています。
シングル「ロビンソン」のカップリング曲でもありました。
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初めて「俺のすべて」を聴く人はライブ映像から入ることをおすすめします。
アルバムに収録されているスタジオ録音版ももちろん良いのですが、やはりこの曲の真骨頂はライブ演奏です。
ライブでは草野さんはいつものギターではなくタンバリンを持って歌ってます。
これがまたライブを盛り上げるのに一役買っています。
このタンバリンに合わせて、観客全員縦ノリ&手拍子で、会場の熱量がもの凄いのです。
ギターのバッキングが気持ちいいし、ドラムもベースも荒ぶっているし、粘っこいアウトロが最高にロックしてるし。
リズムが速すぎないのが飛び跳ねるのにまた丁度いいんですよね。(僕はライブではずっと跳ねていたい人なので)
とにかくライブでの弾けっぷりが最高に楽しいです。
(と、書いているだけでライブに行きたくなる。ライブ行きたーい)
個人的には「俺のすべて」は「8823」「スパイダー」「ヒバリのこころ」と並ぶスピッツライブ曲ベスト4です。(8823以外はアウトロが長いのが特徴)
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歌詞に目を向けると、なんと言っても冒頭のサビがかっこいいです。
「燃えるようなアバンチュール
薄い胸を焦がす
これが俺のすべて」
「俺の!」と力強く言っているのに、「薄い胸」というのがいいですね。
決してマッチョじゃない。でも男らしい。
また、この歌詞を聞くたびに火炎竜の化身が口から炎を吹いている絵を想像してしまいます。
彼は体内に「アバンチュール」という名の火炎袋を持っていて、口から炎を吹くんですね。
でも熱すぎて自分の肺(胸)も焦がしてしまう、みたいな。
(自分でも何言ってるかよくわからないのはわかってます)
そんなふうに歌詞全体を見ていくと、案外、厨二病的なものが多い気がしてきますね。
「俺の前世は たぶんサギ師か まじない師」なんていうのも「前世の大魔道士の血が騒ぐ」といった類の逆張りな感じですし。
「光る魚」や「石の部屋」なんかもファンタジーの世界の小物っぽい。
「何も知らないおまえと ふれてるだけのキスをする」も、厨二病というかいかにも悪ぶってるだけな感がありますし。
タイトルふくめてオレオレ言っときながら実際には内向的で抽象的というのが、なんともギャップ萌え(燃え?)で、草野さんらしいなーと思うのでした。それがいいんですけどね。
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「俺のすべて」で有名なエピソードは、「ロビンソン」の代わりに「俺のすべて」がA面だったかもしれない、というものです。(アルバム特典の対談集に書いてあります)
曲が出来たときは「ロビンソン」よりも「俺のすべて」のほうがいいかなと草野さんは思い、タイトルを聞いたメンバーも「俺」という単語に盛り上がったそうです。
ただ、不自然に急に男っぽくなっていて、A面じゃ嫌だという意見もあり、積極的じゃなかった「ロビンソン」をA面に選んだそうです。
僕は「ロビンソン」が大ヒットした後にスピッツを知ったクチなので、シングルとして選ぶならどう考えても「俺のすべて」ではなくて「ロビンソン」でしょー!って思うのですが、それは結果を知ってしまった人間の思考なのかな。
当時の現場では迷っていたというのがなんとも興味深いです。
もしも時間を巻き戻せるなら、そのシングル候補会議を覗き見してみたい。そして、多数決(?)にこっそり参加していたずらで「俺のすべて」に一票を投じて、歴史がどう変わるか見てみたいです。(悪い子)
そしたらスピッツはどうなっていたのかな。
今以上にすごいひねくれたバンドに進化して一部でカルト的な人気を得てそうな気もするし、結局「チェリー」か「スカーレット」あたりで大ヒットして同じようなルートをたどってる気もします。
どちらにしても、ずっと4人で不思議な歌を作り続けているのは変わりなさそうですよね。
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