ちょっぴり薄味のアルバム 〜徳永英明「MY LIFE」感想

「MY LIFE」は2004年9月に発売された徳永英明の14枚目のオリジナル・アルバムです。


   いまこの記事を書くにあたってウィキペディアで調べてみると、'03年2月にアルバム「愛をください」、同年10月に「セルフカヴァー・ベスト 〜カガヤキナガラ〜」を発売していて、2年弱の間に立て続けに3枚もアルバムをリリースしていました。多作な時期だったことがわかります。


「愛をください」も「セルフカヴァーアルバム」も個人的には高評価で、先行シングルの「MY LIFE」も良かったので、良い流れに乗って発表されたアルバム「MY LIFE」にはかなり期待していたのですが……買った当時の評価は決して良くありませんでした。

   というか正直に告白すると、最初アルバムをかけたとき途中で止めてしまい最後まで聴くことができませんでした。

   そのあと何度か挑戦してみたのですが、やはり最後まで聴けません。

   ①「太陽」、②「MY LIFE」は良いのですがその後が続かない。

   ようやく全部聴けたのは数年後(はっきり覚えてませんが「WE ALL」の発売前くらいかも?)でした。


   どうしてそうなったのかというと、ぶっちゃけ退屈だったからです。

   穏やかすぎたり、冗長だったり……全体的に緊張感に欠けていると感じました。

    どうやら自分は徳永英明に静かな癒やしではなく、張り詰めた糸のようなピリピリとした緊張感を、言い過ぎを覚悟で言うならロックな叫びを求めていたらしいと悟りました。

   ライブで歌っているときの「最後の言い訳」や「壊れかけのRadio」や「もう一度あの日のように」のようなシャウトするやつです。


   そんなわけで「MY LIFE」はこれまで全くと言っていいほど聴いてこなかったアルバムでした。ようやく聴くようになったのは去年に入ってからです。

   去年(’20年)、徳永さんの新作のアルバムが(たぶんコロナのせいで)飛んで、徳永成分が不足していたので、ほとんど手つかずの「MY LIFE」を聴くことにしました。

   なにせ個人的にはほぼ新作に近いまっさらな状態、足跡のない雪原のようなアルバムですから。


   あらためて何度も繰り返し聴いているうちにいくつかの曲は見直しました。

   ライブに合いそうなアップテンポな⑤「僕が僕だけの救世主」、「ウルフ」という単語が印象的で孤高な雰囲気の⑦「狼」、ドライな⑧「conversation」。

   そして「前を向いて歩こう」というシンプルなフレーズのリフレインが心に響く⑩「龍の戦士」(ドラゴンズファンになったと思われたとかなんとか)。


   これらの曲に、もとから好きな①②も加われば「名作」とまでは行かないまでも「良作」にまでは昇格したかなと(^_^;)

   今にしてみると、全体的に薄味なのも好みに合わなかったのかなー、とも思いました。


   おすすめ曲は①「太陽」、⑩「龍の戦士」です。

   ①は、陽光が降り注いでいるような暖かなメロディと「太陽に向かって走ろう」という子どもに向かって語りかけているような優しい歌詞が好きです。

   ⑩は、「心の敵はたったひとつそれは自分自身 負けないで歩こう」という歌詞からの「前を向いて歩こう」の繰り返しが好きです。感情を抑えた低めの声で歌っているのもいい。疲れてるときに聴くと、自分のペースでゆっくりと力を取り戻せる気がします。


   おっと、上の方で俺の求めてるのは「ロックの叫びだー!」とか言っときながら、穏やかで癒やされる曲ばかり選んじゃいましたね。

   ま、どちらも徳永さんの魅力ってことで(^_^;)


* * *

   個人的には徳永英明の快進撃はこの次の「WE ALL」から始まります。

「WE ALL」「STATEMENT」「BATON」と自分の好きな名作が続きます。

   そして6月発売の「LOVE PERSON」がこの流れに続くかどうか、注目です!


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