初めて知ってから30年、タイミングを逃して観ることなく過ごしてきた映画をようやく観ることができました。
映画のタイトルは「雲のように風のように」。酒見賢一のデビュー作「後宮小説」を原作としたアニメ映画です。(厳密には映画ではなくてテレビ放送向けに作られた長編アニメ)
どこでこのアニメを知ったのかは忘れました。
ただジブリチックなイラストと、快活な美少女(銀河)の絵に惹かれたのだけは覚えています。
後で知ったのですがキャラクターデザインを担当したのは近藤勝也さん(ジブリなどで活躍)でした。
映画は観てませんが「雲のように風のように」をきっかけに「後宮小説」を読み、その独創的な物語づくりに魅了され、酒見賢一のファンになりました。
「ピュタゴラスの旅」「陋巷に在り」など酒見賢一の小説はほぼ読破し、今はようやく完結した「泣き虫弱虫諸葛孔明」を文庫で買い揃えてちまちま読んでます。
真面目なようで自由に遊んでいる文体がクセになります。
自分は一度読んだ小説を二度読むことはほとんどないのですが、酒見賢一の小説だけは読み直してます。それくらい好きです。
そんな酒見賢一を知るきっかけとなったアニメ「雲のように風のように」なのですが、ずーっと観ないまま、気がつけば大人になってしまいました。なんとなくタイミングを逃した感じ。
その「雲のように風のように」がBlu-ray化されることを知り、これはもう買うしかないということで楽天で予約注文しました。
そして、届いたのがこちら!
家にある「後宮小説」の文庫と並べてみました。
先着特典の「制作当時のセル画と背景画を1枚にプリントしたA4プリントセット」
どちらかというとジャケットのイラストよりも同封のブックレットの表紙のほうが好き。
ちょっと拗ねたような愁いを帯びた銀河の表情がよいです。
さて肝心の映画の方ですが、
まず銀河の声に違和感がありました。
なんか喉の奥の変なところから声が出ているような感じで最初なじめませんでした。
それからアスペクト比が4:3で両脇に黒いバーが出ているのが残念でした。これを見て、映画ではなくてテレビ放送だったことを思い出しました。
全体としては尺が短かったこともありキャラクターの掘り下げ不足が否めない。
特に反乱軍の幻影達と混沌の2人は、「後宮小説」の文庫版あとがきで書いてあって予想していたことですが、原作ほど豪快でヘンテコで面白い(=興味深い)キャラではなく魅力に欠けました。
30年の歳月がかなり作品への期待を高めていたというのもありますが、アニメ版は思ったよりも内容があっさりとしていて、物足りなくありました。
でもコミカルに動く銀河は見ててかわいかったですね。
もっと角先生との交流やコリューンとのやりとりが見たかったですが、まあ80分の長さでは仕方ない。
そもそも房中術だのなんだの、本来子供向けアニメにするには際どい内容ですし(^_^;)
元気に動く銀河を観れただけで満足です。
本棚にある「後宮小説」を久しぶりに取り出してチラチラ見ていたら面白かったので、またあらためて最初から読んでみようかな、と思いました。
原作はわざと(?)堅苦しい文章で書かれているのですが、それでも不思議と銀河の無邪気さが伝わってきて面白いです。
アニメのコミカルな印象が文章からもにじみ出てきてます。
それにしても30年!
長い時を経てようやく観れたアニメというだけで感慨深いものがあり、貴重な体験でした。
コメント
コメントを投稿