【感想】YOASOBI 1stEP ”THE BOOK” ~この本は音楽の世界が広がる

   今回はYOASOBIの1stEP ”THE BOOK” を聴いた感想(と愚痴?)になります。


通常盤がない!?

   1月6日に発売されたYOASOBIの"THE BOOK"を買っちゃいました。

YOASOBI THE BOOK


   最初はサブスクで聴いていたんですよ。

   流行りものだし「夜に駆ける」はまあ好きだし、そんな軽い気持ちで。

   ところがサブスクで繰り返し再生しているうちに、良さが止まらなくなってきました。

   なんかこう寂しい心に刺さるものがあります。


   で、良いとわかるとCDがほしくなるのが悪いクセ(^_^;)

   発売日から1,2日遅れてAmazonで注文しようとしたら、初回限定版(正確には完全生産限定版)がすでに売り切れになっていて(はやっ!)、価格がおかしなこと(超高い)になっています。

   歌詞カードさえあればいいので「YOASOBI 通常盤」で調べ直したところ、Amazonで一向に引っかかりません。んんん???

   ググってみたところ、どうやら”THE BOOK”は初回限定版のみで通常盤の発売がないようです。 マジか!!


   なんだこの、CDなのにレコードやSACDのようなプレミアム感は。汗

   そういえばヨルシカも今度出るアルバムはCDありとCDなし(ジャケットと歌詞カードのみ)の2種類の仕様のようですし。

   ストリーミング時代にもはやCDは通常販売するものではないということなのかな。

   自分のようなCDを集めるのが好きな人間にとってはちょっと寂しい……


   仕方ないのでスマホと一日中にらめっこして、メルカリでお手頃な値段のものが出品された時点でポチりました。

   ちなみに僕が買ったものは定価より少し安い4500円。良心的な値段です。でも今メルカリを見てると相場が8000円くらいになってました。ひー。


世界観が広がるすごいものが届いた!

   で、届いたのがピンクのこちら。

YOASOBI THE BOOK


   アルバムはバインダーになっていて、歌詞カードはバインダーに収めるルーズリーフという形になっています。

YOASOBI THE BOOK


   CDはバインダーの最後にしまえます。


   全9曲しかないEPにしてはちょっと過剰装飾とも取れる仕様です。

   僕はCDはシンプルな方が良くて、豪華限定仕様は好みでないのですが……中を開いてみると、すごいの一言。

   ただ大きくて豪華なだけではなくて、紙という媒体からEPの世界観が溢れ出しています。


   歌詞カードには歌詞だけではなくショートストーリーのようなモノローグが載っていて、羽海野チカさんの漫画のようにモノローグと歌詞が縦書きと横書きをうまく組み合わせて描かれています。(勝手に「ハチクロレイアウト」と名付けている)

   それから曲に合わせてイラストのテイストも違っています。

YOASOBI THE BOOK 歌詞カード


YOASOBI THE BOOK 歌詞カード


   更に紙の質もザラッとしたものもあればつるっとしたものもあり、曲ごとに手触りが違います。

   目と耳と皮膚から世界が広がる構成になっています。


   またバインダーの最後に「大正ロマンス」という短編小説が収録されています。

   さすがに小説はいまいちだろうと思ってナメて読んでみたら、ちょっとホロっときてしまいました。(切ないやつに弱い)

   ベタだけど、ベタなことをすごく丁寧に纏めていて、YOASOBIの音楽の世界観とも合っていてよかったです。


   これは手に入れてよかった。

   所有したくなる価値あるものだと感じました。


”THE BOOK”感想

   さて肝心のEPですが、捨て曲無しのベストアルバムのような傑作です。

   全体に漂う孤独感や終末感が好きです。


「明日世界は終わるんだって
   もしも世界が終わらなくって
   明日がやってきたなら、
   ねえ、その時は二人一緒に
   なんて」(アンコール)


「誰にも見せずに この手で隠した想い」(ハルジオン)


「音の無い二人だけの世界で
   聞こえた言葉は『好きだよ』」(あの夢をなぞって)


「『おかえり』思わず零れた言葉は違うな」(たぶん)


「朝も夜も走り続け
   見つけ出した青い光」(群青)

「知らず知らず隠してた
   本当の声を響かせてよ、ほら」(群青)


「ねえ きみのそばにはもう
   たくさんの愛があふれてる」(ハルカ)


「明けない夜に落ちてゆく前に
   僕の手を掴んでほら」(夜に駆ける)


   世界の終わりや夜の深さを感じさせる言葉があり、誰にも言えない思いがあり、君や世界とのズレがあり。そこから生まれる孤独や寂しさがある。

   だけど、崩壊を歌うのではなくその一歩手前で持ちこたえて、夜の世界で戯れている。

   鬱々としながらも軽やか。その絶妙なバランス感覚がいいなと思いました。

YOASOBI THE BOOK 歌詞カード


   そう、バランス感覚といえば、バンドサウンド(打ち込みっぽいけど)とピコピコ感のバランスもよいです。

   ヨルシカもそうですが案外ロックだと思うんですよね。

   音がかっこいいです。


YOASOBIとスピッツ

   曲目を見ていると、スピッツの曲と曲名が似たものが多いことに気づきます。

  • 群青⇔群青
  • ハルカ⇔遙か
  • 夜に駆ける⇔夜を駆ける

   あと強引に結びつけると「ハルジオン」が「春の歌」に似てるなとか(^_^;)


   だからどうしたと言われると困るのですが、スピッツのファンなのでなんとなく嬉しくなったのでした。


おすすめの一曲!

「アンコール」「群青」「夜に駆ける」が好きです。

   この3曲は歌詞カードの紙がツルッではなくザラッとした系なのでわりと近しい位置関係なのかなと思いました。(あまり関係ない?)


   そのなかでも「群青」が特に良いです。

   コーラスの大サビの盛り上がりにゾクゾクします。

   また「好きなものを好きだと言う 怖くて仕方ないけど 本当の自分 出会えた気がしたんだ」という歌詞が胸に刺さります。遠い昔の自分のことを思い出した気がして。


できれば通常盤も

   ということで、YOASOBIの1stEPの感想でした。

  楽曲はもちろんよかったし、遊び心満載で何度も開きたくなるバインダー仕様もよかったです。

   ただ、完全生産限定版のみしか発売されていないため、発売日に買い逃すと中古市場で高値で取引せざるをえないという現況はいかがなものかと思いました。

   せっかく素晴らしいアルバムなのに。CD派としてはちょっと悲しいです。

   次は、普通に流通する通常盤も出してほしいな。


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