「愛してる」と言わないバンド? ~スピッツ「心の底から」感想

「心の底から」はスピッツのスペシャルアルバム第1弾「花鳥風月」の7曲目に収録されています。

   シングル「裸のままで」のカップリング曲でもありました。

 *

   まず印象的なのがイントロの飄々とした口笛です。

   ハードな「俺のすべて」のあとだけに余計に軽快に感じます。


   そして何よりもインパクトが大きいのがサビです。

   なんと「心の底から愛してる」と歌います。


   後ろに「響き」とか「気がした」とか付け足してちょっとお湯で薄めとこう、みたいなことはしません。

   歌の最後に1回だけ言うからよく聞いておけよ、みたいなもったいぶったこともしません。

   サビは3回あり、その3回とも「愛してる」と歌います。

   まごうことなき「愛してる」です。

   初めて聴いたときは、聴いてるこっちが赤面してしまいました。

   ひーーーーーーー。


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   スピッツってなんだか「愛してる」と言わないバンドというイメージがあります。(そうでもない?)

   あんなにメジャーな「チェリー」のサビで「愛してるの響きだけで」と歌っているのに、そのあいまいに溶かした感じが、逆に「愛してる」と素直に歌わないイメージを作りあげてしまったように思います。

   僕がパッと思いつくスピッツの「愛してるソング」は「裸のままで」「心の底から」「チェリー」「つぐみ」の4曲です。

   他のロックバンドがどうなのかははわかりませんが、4曲というのは少ない気がします。


   そんな数少ない「愛してるソング」のなかでも、「心の底から」は草野さんがストレートに「愛してる」と3回も言っているのでかなり貴重です。

   ただ、自分が男のせいか、すごく恥ずかしい。

「心の底から愛してる〜♪」と流れると、自分が言っているわけでもないのになぜか耳を覆いたくなります。

   他の歌のなかで「愛してる」という歌詞が出てきてもそこまで恥ずかしくなることはないのですが「心の底から」だけは特別です。

   草野さんが歌うから?

   キャッチーすぎるから?

   若い頃に何か刷り込まれでもしたのか、聞くたびにくすぐったくなります。


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   他には「天使のパワーで 悪魔のパワーで」という歌詞もちょっと恥ずかしくなります。

   なんか、天使と悪魔の姿をした二頭身の草野さんが頭の周りをくるくる回る絵が浮かんでしまってダメなのです。

   かわいいっちゃかわいいんですけどね。 


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