ステイホーム時代の音楽 〜雨のパレード「Face to Face」感想

   雨のパレードの5作目のフルアルバム「Face to Face」が12月23日に発売されました。

   前作が1月発売でしたので、2020年の間になんと2枚のアルバムを発表したことになります。

   コロナで大変なこの時期に(いや、だからこそ?)、すごいぜ、雨パレ!!

雨のパレード「Face to Face」


「Face to Face」感想

   サウンドや全体の雰囲気は前作「BORDERLESS」からの流れを感じます。

   しかし前作でいう「BORDERLESS」や「Summer Time Magic」「Ahead Ahead」のようなライブでワッと盛り上がるタイプの曲はなく、どちらかというとテーブルの用意されたライブハウスで酒を飲みながら座って聴きたいアルバムになっています。


   歌詞を見ても、例えば「画面越しのやつは知らない 加減できる言葉 言えない(①scapegoat)」「『普通』ができなくなって閉じこもった毎日(⑦Dear Friend)」など、ステイホームの印象が色濃くあります。


   個人的には「YOU」や「Chage your mind」のような刺さる曲がなかったのが残念ではありますが、突出した1曲がない代わりにアルバム全体で聴ける仕上がりになっています。

   ステイホームの日々に、家でじっくり聴くのにぴったりの一枚だと思います。 


おすすめ

   おすすめは③「if」④「IDENTITY」⑦「Dear Friend」⑪「Child's Heart」です。


   ③「if」はメロディもサウンドも歌詞も好きです。

   そのなかに出てくる「いまでもわかんねえよ」という言葉の、投げた感じ、あきらめを含んだ言い回しが、何かとてもいいです。


   ④「IDENTITY」はシングルカットされた曲です。

   単体で聴いていてもいまいち盛り上がれませんでしたが、アルバムの流れのなかで聴くと、一味違って聞こえました。大きな夕日を感じるメロディのなかで「生きてきた日々を」「あの山の向こうへ」「どこまでもいこうぜ」という歌詞が胸にグッときます。


   ⑦「Dear Friend」は浮遊感のあるサウンドと、ラストの「ラララ……」のコーラスが素敵です。これはライブでいっしょに歌いたいなぁ。


   ⑪「Child's Heart」はMVが秀逸です。

   カメラを通して田舎の家屋で歌い奏でている3人の姿が美しく尊い。

   歌は普遍性がありすぎて逆にやや凡庸(雨のパレードらしさがない)ではありますが「純粋な想いほど言葉にするのが難しいな」「複雑になりすぎた言葉が僕らを惑わすんだ」という歌詞が素直に胸に響きます。


ジャケットと歌詞カード

   ジャケットと歌詞カードとで「Face to Face」のデザインが違っています。

   ジャケットは普通の「Face to Face」です。

   一方、歌詞カードに書かれている文字は「Face To Face To」となっていて「Face To」が円環を形作っています。人から人へ、つながりがずっと続いていくイメージです。

   ちょっとした趣向ですが、こういうメッセージって良いですよね。


 

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