夏の槍ヶ岳表銀座コース縦走 2泊3日 感想 後編

   前編からの続きです。
   後編では写真をまじえながら、実際に歩いてきた槍ヶ岳・表銀座コースを紹介します。
   とにかく2日目の眺望が素晴らしかったのと、距離が長くて疲れました。
表銀座 槍ヶ岳

コースタイムや注意点など

   前編に記載しましたのでこちらをご覧ください。

1日目(8/13) 燕岳登頂

   初日は燕山荘でテントを張り、燕岳を往復します。
   なお、テント場は約30張りで予約サイトからの予約が必要です。
   最初、予約が埋まっていましたが、毎日チェックしてキャンセルが出たと同時にすかさず予約しました。(前日に空く可能性あり)

   燕岳は3大急登に数えられているそうですが、逆に言うと、無駄に水平移動する距離が少ないということでもあります。
   また手を使わなければ登れないようなハードな箇所はありません。
   そのため個人的には歩行時間が短く、登りやすい山だと感じました。

中房温泉(登山口)

   電車とバスを乗り継いで中房温泉に着いたのは12時10分。
   温泉に入る間もなく、早々に出発します。
   登り始めは空も曇っていて天気も気になりました。
表銀座縦走 中房温泉 登山口

第1ベンチ、第2ベンチ、富士見ベンチ

   登山口から合戦小屋までの間にベンチのある休憩所が3か所あります。
   ちょうど休憩したくなるタイミングでベンチが現れてくれるのが嬉しい。
   小休止を取りながらずんずん登っていきます。
   なお、第1ベンチに水場があるのですが、登山道からはちょっと下ります。

   途中、荷揚げ用のロープウエイが白いなかに立っているのが見えました。
   何かを運んでいる音が霧の中に響きます。(スイカ?)
表銀座縦走 荷揚げ用機械

合戦小屋

   順調に登って合戦小屋に到着。ここで標高2380m。
表銀座縦走 合戦小屋

   小屋で売られているスイカが名物だそうです。
   名物と言われたら買って食べるしかないですね。
表銀座縦走 合戦小屋 スイカ

   瑞々しくておいしかったです。

燕山荘遠望

   正面に燕山荘が見えます。
   登り始めはガスっていましたが夕方に近づくにつれ天気が良くなってくれました。
表銀座縦走 燕山荘遠望

   ゴールが見えると気持ちが上がりますね。

燕山荘テント場

   コロナ禍ということで小屋の前にはアルコール消毒があり、小屋の人も皆マスクでした。
   事前に印刷した書面を提出して、受付は簡単にすませます。
   ついでに水も2リットル購入。1リットル200円です。

   着いたのが4時を過ぎていたこともありテント場はすでにいっぱい。(この奥にもテント場はあります)
表銀座縦走 燕山荘テント場


   テントとテントの隙間にテントを張ります。
   それでもテントを一歩出れば見晴らしがいいです。
表銀座縦走 燕山荘テント場

燕岳往復

   身軽になって今日最後のイベント燕岳へGo!
   のんびり歩いて1時間程度で往復できました。
表銀座縦走 燕岳

表銀座縦走 燕岳 コマクサ

   イルカ岩。
表銀座縦走 燕岳 イルカ岩

   メガネ岩。
表銀座縦走 燕岳 メガネ岩

   そして頂上からの眺め。
表銀座縦走 燕岳 山頂

   父娘で登頂している組がいました。娘さんはスキップしたりして、お父さんと山に登れて楽しそう。見ていて幸せな光景でした。
表銀座縦走 燕岳 山頂

夕暮れから夜景

   日の入りが18時40分。山頂を往復して夕食を食べても時間があったので、山荘前で夕焼けを見てました。
   人がたくさん出てきていて、何かのイベント待ちのようです。
表銀座縦走 燕山荘 夕暮れ

   燕岳も北アルプスもどこを切り出しても素晴らしい。
   静かに穏やかに過ぎる時間が黄金のように美しかったです。
表銀座縦走 燕岳 夕暮れ

表銀座縦走 槍ヶ岳 夕暮れ

   夜には市街地の夜景も見えました。
   コンパクトカメラだと奇麗に撮れないのが残念。
表銀座縦走 燕山荘テント場 夜景

2日目(8/14) 槍ヶ岳登頂

   2日目が今回の山行のメインです。
   遥か遠くに槍ヶ岳を臨みながら歩き、一日の最後にその尖がりのてっぺんに立ちます。
   距離は長いですが前半はわりと平坦です。
   ヒュッテ西岳からの後半は、一気に300m下りた後、700m上がります。
   けっこうな地獄です。

遥かなる槍ヶ岳

   朝から快晴です。
   テントを畳み、出発すると、燕山荘の向こうにさっそく槍ヶ岳が姿を現します。
   今日も雄々しく尖っています。
表銀座縦走 2日目朝

ハイキング気分♪

   しばらく平坦な道のりのためサクサク進みます。
   天気もいいし、槍ヶ岳がかっこいいし、どこを見ても絵になるし、最高です。
表銀座縦走 2日目朝

大天荘と大天井岳

   この日最初の登りです。
   槍ヶ岳に行く場合は登らずに巻いてパスすることも可能です。

   地味にきついです。

   登った先は大天荘です。
表銀座縦走 大天荘

   テント場は広くて眺望も良し。
表銀座縦走 大天荘テント場

   大天井岳は山小屋のすぐ後ろなので、サクッと登っちゃいます。

   360度のパノラマが待ってます。
表銀座縦走 大天井岳 山頂

表銀座縦走 大天井岳 山頂

表銀座縦走 大天井岳 山頂

「お気をつけてヤリ」

   大天荘から大天井ヒュッテに下ります。
   今年はコロナの影響で営業をしていません。

   注意点として、ヒュッテの前の登りは展望台に続く行き止まりです。
   「お気をつけてヤリ」と書かれた岩の左を進みます。
表銀座縦走 お気をつけてヤリ

ビックリ平

   パノラマ感がすごいです。
   北アルプスを独り占め。
表銀座縦走 ビックリ平

赤岩岳

   頂上で休憩していると続々登山客が集まってきました。
   みなさん、今日中に槍ヶ岳を目指している方々ばかり。
   なかには今日中房温泉を発ったという方や、先週も同じルートを来たという方も。表銀座は猛者ばかりです。
表銀座縦走 ビックリ平付近

ヒュッテ西岳

   小屋の東側のベンチに座って常念岳を見ながらお昼休憩を取りました。
表銀座縦走 ヒュッテ西岳

   ここからいよいよ後半です。
   下りて、そして上がります。
   今まで右手に見ていた槍ヶ岳と正面に対峙して進みます。
表銀座縦走 ヒュッテ西岳付近

水俣乗越

   梯子や鎖場など危険な箇所が増えてきます。
表銀座縦走 鎖場

   水俣乗越への下りはコースタイム通りヒュッテから1時間かかりました。
   槍沢へのエスケープルートあり。
表銀座縦走 水俣乗越

迫る槍ヶ岳

   さあ、ここから登りです。
   途中でダウンすることはなく、ひたすらアップのみです。せっかく稼いだ位置エネルギーを捨てるなんてもったいないことをしないのが唯一の救いです。

   長い梯子を下ったりするので要注意。
表銀座縦走 10m梯子

   途中から槍ヶ岳(山荘?)までのカウントが始まります。
表銀座縦走 槍ヶ岳1.2km

   槍の穂先が徐々に大きくなってきました。
   これは表銀座コースの醍醐味ですね。ゴールに近づくワクワク感があります。

   しかし、長い登りで消耗し、大槍ヒュッテにたどり着いた頃にはかなりヘロヘロになっていました。
表銀座縦走 大槍ヒュッテ

殺生ヒュッテ

   結局、テントを担いで槍ヶ岳山荘まで登る体力がなかったので、殺生ヒュッテのテント場にテントを張って槍ヶ岳をピストンすることにしました。
   殺生ヒュッテは大槍ヒュッテからほぼ水平の位置にあり、槍ヶ岳山荘よりも100m以上標高が低いです。(下の写真は大槍ヒュッテから殺生ヒュッテを見たところ)
表銀座縦走 大槍ヒュッテから殺生ヒュッテ

   殺生ヒュッテからも槍はよく見えます。
表銀座縦走 殺生ヒュッテ

万年強風のテント場

   殺生ヒュッテのテント場はとにかく風が強かったです。
   今日に限らず常時風が強いそうです。槍ヶ岳から吹き降ろすからですかね。よくわかりませんが。
   風が強いうえに、岩場で区画が狭いためテントを張るのに苦労しました。ペグも刺さらないし。
(なおグランドシートを敷かないと、テントの床面がす擦れてちょっと傷ができました)
表銀座縦走 殺生ヒュッテテント場

   一時間以上かけてテントを張り、槍ヶ岳に向けて出発したのは4時近くです。
   昼間は快晴だったのに、ガスってきてしまいました。急がないといけません。
   槍ヶ岳山荘までの登りはきついですが、アタック用の携帯ザックに変えたので身体は軽いです。
表銀座縦走 殺生ヒュッテから槍ヶ岳
 

槍ヶ岳

   槍ヶ岳への登頂は今回で3回目です。
   最後に来たのは10年以上前です。昔と違って今は完全に上りと下りのルートが分かれていて、交互に待ったりすることなく往復できました。
   また登った時間が遅かったので、そもそも人が少なかったということもあり、渋滞もありませんでした。(途中に会った人の話では、過去には1時間以上も同じ場所に待たされたこともあったとか)

   槍ヶ岳山荘付近から槍ヶ岳を見たところ。何人かの方が岩に取り付いていて今まさに登っているのががわかります。
表銀座縦走 槍ヶ岳山荘付近から槍ヶ岳

   こんな感じのところを登ります。
   こうしてみるとけっこう垂直ですね。まあなんとかなります。
表銀座縦走 槍ヶ岳 登り

   見下ろすと槍ヶ岳山荘。
表銀座縦走 槍ヶ岳山荘

   登りの距離は案外短くて、もう終わり?って感じで山頂に着きました。
   ただ、最後の梯子は高くて長くてちょっと怖かったです。
表銀座縦走 槍ヶ岳の最後の梯子

   登った先にあるものは……??

   ……残念ながらガスのため山頂からは何も見えず。
   ちなみに山頂には自分ふくめて3人しかおらず静かでした。

   せっかくなので祠の前で写真を撮ってもらいました。
表銀座縦走 槍ヶ岳山頂 ガスで見えず

   槍ヶ岳を登っている途中で気づいたのですが、腕の筋力が意外となくなっていました。
   2日間の登山で足だけでなく思った以上に腕の筋肉も使っていたのですね。
   そのせいで梯子から落ちそうになるということもなかったですが、もっと上半身を鍛えなければ、と痛感しました。

   槍ヶ岳山荘から槍ヶ岳の往復は、約30分。(渋滞なし)
   殺生ヒュッテから山頂までの往復は約1時間半かかりました。

   5時半にはテント場へ戻ることができました。
   暗くなる前に戻れてよかったです。

夜、寝れない

   夜も風が強く、風の音がびゅんびゅんごオごオと五月蠅いし、風でテントがあおられて変形してえらいことになっているし、で、寝れませんでした。
   神経図太くなりたい。。。


3日目(8/15) 上高地下山

   2日目に槍ヶ岳に登っていれば、3日目は上高地に下るだけです。
   しかし、コースは距離は長いです。
   1800mくらいまで下った後は、ダラダラと10km以上歩くことになります。
   2日目とはまた違う辛抱が要ります。

ガスの殺生ヒュッテ

   前日、風が強くて眠れなかったので腕時計のアラームを止めたら、5時まで寝てしまいました。
   ちょっと遅めの起床。

   朝だというのにガスっていて辺りは暗く、槍ヶ岳を見上げてもよく見えません。
表銀座縦走 殺生ヒュッテ 朝

   あいかわらず風が強いので、テントを畳むのも一苦労でした。

天狗原

   遠くに子熊を見かけました。
   写真の右の黒いのが熊です。
表銀座縦走 天狗原 小熊

槍沢テント場

   このあたりで標高2000m。
   きれいなテント場です。
表銀座縦走 槍沢テント場

   正面がトイレで、左手の建物の裏に蛇口のついた水場があります。

   川沿いにもテントを張れます。
   いくつかテントが残っているところを見ると、ここから槍ヶ岳をピストンする方も多くいるようです。
表銀座縦走 槍沢テント場

   テント場から1kmほど歩くと槍沢ロッジです。

   標高が下がってきて夏だと暑いのでは?と心配になりましたが、この辺りから上高地までは樹林のなかを通るので影があり、案外涼しかったです。
表銀座縦走 登山道

横尾

   穂高岳の登山コースと合流するのもあり、ここまで来ると、人がわんさかいます。
   小屋の前には自販機もあったりして、下界の空気が漏れ出してます。
  都会じゃ、都会じゃ。
表銀座縦走 横尾

徳沢キャンプ場

   売店の前には小川があり、水をすくって顔を洗うと冷たくて気持ちよかったです。

   テント場をのぞくと、広い芝生の上にはソロテントがたくさん張ってありました。
   登山とレジャーの中間くらいの雰囲気があります。
表銀座縦走 徳沢キャンプ場

   ソロテントの前にミニタープを張って、椅子に座って読書ている人がいました。
   それを見て「ああ老後はこういうのもいいなぁ」と思ったり。
   夏には一人でテントを持ってこのキャンプ場に来て日がな読書をしてのんびり過ごすのです。
   山なんか絶対登ったりしない。疲れるから。笑
   上高地にテントを張って3日ほどぼんやりと暮らす。うん、悪くない人生だ。

観光客であふれる上高地へ

   さらに歩くと明神館。ここまで来ると登山エリアは終了です。
   この先は登山客が減り観光客だらけになってきます。
表銀座縦走 上高地 明神館

   目指すはバスターミナル……ではなくて、上高地温泉ホテルです。
   コロナ禍のため、外来入浴を受け付けているのがここ一軒しかなかったためです。

   河童橋を渡って対岸を進みます。
表銀座縦走 上高地 河童橋

   温泉ホテルは上高地の外れにあるためけっこう遠かったです。

   着いたら、人数制限のため20〜30分待ちでした。
   それでも登山の後の温泉は気持ちいですね。3日間の汗を流して、足も軽くなります。疲れが吹き飛びました。
表銀座縦走 上高地温泉ホテル

   その後、田代橋を渡ってぐるっと回ってバスターミナルへ。

   ようやく2泊3日の旅も終了です。
    バスターミナルのあたりはお土産屋やレストランもあるので、バス待ちの間にお土産を買ったり食事をしたりできます。


   槍沢から上高地までの下りがダラダラと長くて、予想はしていたのですが、辛かったです。
   でも温泉にも入れてよかったです。山と言えば、やっぱり温泉ですから♫

おわりに

   今年(2020年)のお盆休みは前半が雨で、しかもコロナの影響でテント場ですら予約制だったりして登山には厳しい状況でした。
   しかし休みの後半に燕岳のテント場の予約が取れて天気も晴れてくれました。
   おかげで怪我もなく無事に登ることができました。槍ヶ岳の山頂ではあいにくガスってしまいましたが、その他は快晴で眺望は最高でした。

   個人的には槍ヶ岳はあまりにメジャーでベタすぎてそこまで強い憧れや思い入れはないのですが(そもそもワンゲル部で初めて登ったのが剣岳・槍ヶ岳でした)、それでも、いざこうして遠くから槍ヶ岳を目指すルートを歩いてみると、やっぱりいいものですね。
    徐々に大きくなっていく槍の穂先にワクワクしました。

   次は表銀座コースを常念岳の方に歩いてみたいと思いました。
   そしてそろそろ槍穂縦走にも挑戦したいです。

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