ちょっと怖い気もした 〜スピッツ「ベビーフェイス」感想

「ベビーフェイス」はスピッツの5thアルバム「空の飛び方」の9曲目に収録されています。

   明るい曲調なのですが、実はちょっと苦手な曲です。
   歌詞がなんだか怖いからです。

   歌詞を拾ってみます。
「Bye bye ベビーフェイス 涙を拭いて生まれ変わるよ」
「星になったあいつも空から見てる」

   これらの歌詞から、おそらく近しい人が亡くなっていることがわかります。
   もしかしたら女友達の彼氏が亡くなって、その女友達にむかって「あいつは空から僕たち私たちを見守っているよ、だから元気を出して歩き出そう」と歌っているのかもしません。

   死別を歌う歌自体は稀ですが、ないわけではないので、それ自体は怖くはありません。
   自分が引っかかるというか気になるのは「華やかなパレードが遠くなる日には」という箇所です。
   人が死んでいるのに何故「華やかなパレード」なのかがいまいちわからないし、なによりも「華やかなパレード」と「星になったあいつ」が重なり合って脳裏に浮かぶイメージが、自分には不気味なのです。

   どんなイメージかというと、死装束のような白い服を着た一団が笑顔の描かれた仮面を付けて空を歩いていくというものです。
   なにか不気味なことが起きているのに、誰も気づかない、あるいは気づかぬふりをして明るい音楽がバックで流れている。そんな日常を超越した静かな怖さがあります。

   もちろん、これが草野さんがイメージしているものではないだろうことはとわかっています。でもどうしてもそんなイメージが湧いてしまうのです。

   歌詞全体を眺めていたらそんなこともないのですが、ポンッと飛び込んでくる単語だけでイメージができてしまうと、変な感じになる、といういい例でしょうか。(そういう経験ありませんか?)

   ちなみに、今はこうしたイメージはほとんど湧きません。
   なぜかというと、横浜サンセットの動画を観たからです。あの映像のなかで観客が手をワイパーして楽しそうに踊っている姿を見たら、変なイメージはすぅっと消えてしまいました。

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」というやつですね。ちょっと違うか。

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