「ランプ」はスピッツの14thアルバム「小さな生き物」の4曲目に収録されています。
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アルバム「小さな生き物」には前半と後半にそれぞれゆったりとした曲があります。
アルバム「小さな生き物」には前半と後半にそれぞれゆったりとした曲があります。
前半が「ランプ」で、後半が「スワン」です。
ランプ派VSスワン派という派閥争いがあるのかないのかわかりませんが、僕はどちらかというとスワン派です。ちなみに妻はランプ派です。仲良くいきたいものです。
「野生のポルカ」までをA面と考えたとき、「ランプ」はちょうどA面のヘソにあたる位置にあります。
のんびりした曲調ですが、中核(ヘソ)としての重さというか、強さがあり、なかなかの曲者です。
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「ランプ」のなかで、最も印象的なのは「自由」という言葉です。
歌詞を引用します。
「ただ信じてたんだ無邪気に ランプの下で
人は皆もっと自由で いられるものだと」
ここで草野さんが言う自由ってなんなのでしょう。
このあとに続く歌詞では、2つの事柄が歌われています。
1つ目はのどかな田舎暮らしです。
「傷つけられず静かに 食べる分だけ
耕すような生活は 指で消えた」
本当の農耕生活を指しているのか、暗喩なのかはわかりませんが、欲望もなく、波風もない心静かな生き方が想像できます。
もう1つは決して静かではない生活です。
「あなたに会いたいから どれほど 遠くまででも 歩いていくよ」
「あなたに会いたいから捨てられる それ以外は」
あなたを求めて、波乱のありそうな生き方が想像できます。
草野さんはこの2つの生活のどちらを自由と言っているのでしょうか?
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「あなたを忘れて、都会を離れて、静かに自然のなかで暮らそう。あなたを思う気持ちから解放されて自由だ。でもそれでいいのだろうか」と言っているようにも聞こえるし、
「静かに穏やかに暮らすことが幸せなのかもしれない。でもあなたを忘れられない。辛く大変でもあなたを手に入れたい。選択は自由だ」と言っているようにも聞こえます。
前者の自由はやや否定的なニュアンスであり、後者の自由はもっと能動的です。
どちらにしても、あなたに会いに行くのは変わりないですが。
僕らは静かに暮らすことも、あなたに会いに遠くまで歩いていくこともできる。どちらを選んでもいい。
結局のところ、「自由」というのは「どんな選択肢も選ぶことができる」ということなんだと思います。サルトルっぽいですが。
そういえば、若い頃は、穏やかな生活に憧れつつも、「落ち着いてどうする!」とムキになって、癒やしとは真逆のヒリヒリした方にあえて向かっていっていた気がします。七難八苦がほしいとかそんなのではなくて、ただただ無感情な日々が怖かったのです。
結果的に毎日凹んで憂鬱でした。それでも自分で選んだことなので文句も言えません。
ああ、自由は大変だ。