カバーもいいものです 徳永英明「VOCALIST」おすすめ20曲!

   いきなりですが、徳永英明はやっぱりオリジナル曲が好きです。

   しかしながら、’00年代後半から今に至るまで、徳永さんのメディアへの露出が増えたのはカバーアルバム「VOCALIST」の功績が大きいのも事実です。
    カバーも嫌いじゃないけど、カバーばかり取り上げられるとファンとしてはちょっと不満。そんな微妙な心理を踏まえつつ、これまで発表された6枚のカバーアルバムから勝手におすすめ曲を20曲選んでみました。
    アルバム順に紹介していきます!
徳永英明VOCALIST全6作


VOCALIST

ハナミズキ
秋桜

「ハナミズキ」は好きな曲なので選びました(^_^;)
   ただ、「駅」や「秋桜」のほうが、歌声に哀愁があり編曲も良く、楽曲としての完成度は高いと思います。(個人の感想)
   特に「秋桜」は、VOCALISTで聴くようになってからよく自分でも口ずさむようになりました。歌っているとなんだか胸がぎゅっと締め付けられます。別に「明日嫁ぐ」予定もないのですが。
德永英明「秋桜」

   シリーズ6作を全て聴いたあとに1作目を聴き直してみると、この頃はまだ他のアーティストの歌を歌いこなせていないというか、徳永さん自身が自分の歌声の良さをつかみきれていないように感じました。
   VOCALIST徳永英明はまだまだこんなもんじゃないぜってことで、2作目に続きます。

VOCALIST2

雪の華
シングル・アゲイン
なごり雪

「雪の華」はサビの高音のファルセットが魅力です。淡く儚く溶ける高音は徳永さんのイメージとも合ってます。

「シングル・アゲイン」はサビの「やっとほんとのさよらなできる」のところのロックっぽい声が好きです。オリジナル曲で例えるとWednesday Moonのライブのときのような躍動感があります。

「なごり雪」はサビのフワッとした儚い高音が魅力です。と同時にAメロの中音域のささやくような歌い方も素敵です。この歌は全体的に徳永さんと相性がいい気がしますね。

德永英明「雪の華」

   そんなわけで1作目に比べて、歌い方の幅が広がっていると感じる2作目でした。

VOCALIST3

桃色吐息
Time goes by
ENDOLEES STORY
月のしずく

   3部作のラストということもあって脂が乗ってる感があります。

「桃色吐息」はサビの「ももいろといき」の部分の声がなまめかしくてゾクッとします。アダルトな雰囲気がなんとも素敵。(^_^;)

「Time goes by」は2019年のツアーで聴いたライブ版がすごくよかったのでピックアップしました。壮大なアレンジがほんと素晴らしくて、心が震えました。

   他には「ENDLESS STORY」「月のしずく」など年代の新しい曲に良いものが多い印象のアルバムでした。

徳永英明「ENDLESS STORY」

VOCALIST4

赤いスイートピー
やさしさに溢れるように
あの鐘を鳴らすのはあなた

   薄い紫がかった白色のジャケットはVOCALIST2に似ていて、アルバム全体の印象はサラッとしています。

「赤いスイートピー」はむかしよく母親がカセットテープで松田聖子さんの原曲をかけていたので、この曲を聴くと幼少の頃を思い出します。
   最後のサビのくりかえしの「好きよ 今日まで」のところの歌の入り方が好きです。妻も同じこと言ってました。

徳永英明「赤いスイートピー」

「あの鐘を鳴らすのはあなた」はアルバム発売当時、和田アキ子さんと共演していたのが印象に残ってます。アルバム版よりも歌声が力強くて、どわっと前に広がっていく感じがよかったです。

VOCALIST VINTAGE

夢は夜ひらく
人形の家
ブルーライト・ヨコハマ
恋の季節
愛の讃歌

   5作目はナンバリングの代わりに”VINTAGE”という単語が付いています。その名のとおり、女性ボーカルでかつ古い昭和の歌謡曲のみで構成されています。

   これまでのアルバムでも、自分が好きなのは新しい曲だとしても、徳永さんの魅力を発揮しているのは古い曲の方だと感じていたので、5作目のコンセプトを知ったときから、発売を楽しみにしていました。
   個人的にはこの5作目が一番好きだし一番よくリピートして聴いています。
  
「人形の家」はテレビでもよく歌っていました。サングラスをかけて出てきて、必ず曲の後半でサングラスを外すパフォーマンスをやってくれていて、母と妻は「えー、かっこいい??」って言ってましたが、僕はそれを観るのがすごく好きでした。古風でいいやん!
   歌の方もサビの「私はあなたに命をあずけたー」の部分の鬼気迫る感じがたまらんです。
徳永英明「人形の家 -short Ver.-」

「ブルーライト・ヨコハマ」の踊れるノリ、「恋の季節」の和田アキ子っぽい(?)ズンズンなところ、「愛の讃歌」のキラキラと荘厳な感じなど、随所にあふれる昭和っぽさが、一周回って新鮮です。

   それにしても昭和の曲は酒場やお酒が多いですね。ずっと飲んだくれてる感じ。暗くて重い。でも不思議とパワーがある。
   貧乏だったけど行き詰まっていなかった、そんな時代背景を感じます。

VOCALIST6

寒い夜だから…
桜色舞うころ

   いま現在におけるVOCALIST最新作です。
   個人的にはやや蛇足感がなくもないですが、他のアルバムよりも徳永さんの声や息遣いがすぐそばに感じられる(気がする)し、どの楽曲も完成度が高いと思います。

   徳永さんと小室哲哉の楽曲とはなんとなく相性が悪いと思い込んでいたのですが「寒い夜だから…」は徳永さんの声と歌の世界観とがマッチして胸に迫るものがあります。特にだんだんと盛り上がっていくラストの「かまわないから〜」のあたり。胸がギュッとなります。
徳永英明「寒い夜だから リリックビデオ」

「桜色舞うころ」「スローモーション」「やさしい悪魔」など、これまでよりも徳永さんの表現力が増し歌声に説得力がある(気がします)。
   完結編としてきっちり仕上がってます。

   以上、VOCALIST全6作と、おすすめ20曲の紹介でした。

徳永英明とVOCALIST

   最後にVOCALISTシリーズについて思うことをつらつら書きます。

   VOCALISTシリーズは徳永さん最大のヒット作なわけですが、僕がうまいなぁと感心したところに、コンセプトの良さがあります。
   男性ボーカルの徳永英明が女性ボーカルの歌を歌う、というたったひとつの制約のおかげで、徳永英明の歌声や世界観の魅力が最大限に発揮できています。
   VOCALISTシリーズが売れた理由の5割はコンセプトが良かったからだと思います。

   残り5割は編曲の良さです。
   女性ボーカル縛りとはいえ古い曲も新しい曲もあるのですが、それらを統一した世界観で表現した編曲の坂本昌之さんの功績は大きいと思います。(実際、VOCALISTのあと、坂本さんへの仕事の依頼が増えたとかなんとか)

   もちろん楽曲の良さやボーカルの良さは大前提ですが、モノづくりの前のコンセプトだったり、基礎を支える編曲だったり、普段見えないところも重要で大切なんだということを、このシリーズから教えてもらった気がします。

   また一部では「他人の褌で相撲をとっている」という意見もチラチラ見受けられましたが、VOCALISTシリーズを経て、徳永さんはシンガーとしてもソングライターとしても進化したと感じています。
   歌い方が丸くなったというか、声の出し方が広がったというか。年齢とともに変わる声質をうまく生かして歌っていて、VOCALIST以前よりも歌に深みが増しています。
   オリジナル曲についても、これまでになかった曲調や雰囲気のものも取り入れて幅が広がっています。(例えば「透徹の空」「なみだのブルース」「置き手紙」など)
    VOCALIST以降に発売された「we all」「STATMENT」「BATON」はどれも名盤です。それもVOCALISTを通して得た経験によるものだと思います。
    初めは借りたふんどしだったとしても、最後はちゃんと自分の柄で自分の名前入りにしているのです。(たとえが下手)

   そんなわけで、カバーアルバムというジャンルを確立したり、本人のシンガー・ソングライターとしての成長の糧になったりで、オリジナル曲も好きですがなんだかんだでカバーアルバム「VOCALIST」シリーズも良いですよね、というお話でした。