早見和真「店長がバカすぎて」感想 〜後半に行くほど心のツッコミの切れ味が増す!

   妻が買って読んでいて、面白そうだったので借りて読みました。

   本を愛する書店員の谷原京子さんと、彼女が働く武蔵野書店の非敏腕・山本店長のお話。
   全6話構成。

   タイトルから想像する内容は2つです。
   バカな店長が巻き起こす数々の失敗を笑いつつ、憎めないキャラにほっこりするパターンか、あるいはバカな店長の失敗で被害を被る書店の同僚たちに同情し、こういうヤツいるいると、共感するパターンか。……読んでみると、前者よりも後者に近い感じでした。
   1話目を読んだときは、店長の馬鹿さ加減がいまいち面白くなかったのですが、2話目と4話目のオチは良く、バカさが光って面白かったです。うわー、こんな店長いたら嫌だなーと思いつつ笑ってしまった。

   主人公の谷原さんの心のなかのツッコミも回を重ねるにつれてキレが良くなっていったのもあり、後半の話の方が面白かったですね。

   書店の裏事情がわかったり、ちょっとした謎掛けもあったり、1話完結でオチがついていたり、ベタだけどきっちり感動させるとことは押さえてきたり。ドタバタコメディといった雰囲気で、ちょっとした空き時間に読むのにちょうどよい一冊です。

   ただ、谷原さんが雀の涙ほどにしても店長に好意を寄せているような描写があるのですが、それはいらなかったと思います。
   この店長に好意を寄せるのはよほどの何かがないと納得できないし、好意云々がなくても物語は成り立ちますし。
   恋愛描写よりは書店の内輪話のみでまとめたほうがすっきりしてよかったのではないかと、僕は思いました。
早見和真「店長がバカすぎて」(Amazon)