ザ・クロマニヨンズ「PUNCH」感想 〜楽しい!はずっと続く

   クロマニヨンズの13枚目のオリジナルアルバム「PUNCH」の感想です!!


   今回も勢いのまま突っ走っており、痛快です。
   12曲収録しているのにトータルタイムは40分ですからね、
   1曲1曲が短くて無駄がありません。

   そして進化とか新境地とかそんなものはおかまいなし!!
   いつも通りかっこいいロックがあり、いつも通りわけの分からない歌があり、いつも通り少しセンチメンタルを誘う歌があり。
   マンネリといえばそれまでですが、新しい何かを付け足さなくても、楽しいものができることを形で示してくれています!
   それだけでとても大切なメッセージを受け取っている気がします。

* *
    クロマニヨンズの歌の良さは、シンプルななかにも、何かしら心に響く言葉や胸に刺さる言葉、あるいはクセになるフレーズがあることだと僕は思います。

   今回のアルバムで見ると、
「会ってすぐ全部わかってたんだな」(会ってすぐ全部)
「怪鳥ディセンバー! 飛んでいけ!!」(怪鳥ディセンバー)
「ビッグチャンス ジャンボサイズ」(ビッグチャンス)
「何かに似てる 何かに似てる 何かにとても似てる」(クレーンゲーム)
「夕立がほらもうすぐそこなのに」(長い赤信号)
「おお ロケッティア」(ロケッティア)
   などです。

「会ってすぐ全部わかってたんだな」や「何かに似てる 何かに似てる 何かにとても似てる」はふと我に返って何かを考えさせられますし、「夕立がほらもうすぐそこなのに」は郷愁を誘い切なくなります。
   その一方で「怪鳥ディセンバー! 飛んでいけ!!」はまるで特撮モノのようなノリのよさがありますし、「ビッグチャンス ジャンボサイズ」はその語呂の良さに思わずクスッと笑ってしまいます。(たぶんあんまり意味はない)

   きっと長い歌詞なんていらないのです。
   短くても刺さる言葉が一つあればいい。
   耳に残るフレーズがあればいい。
   そう思います。

* * *
   以下、各曲の感想をぱらぱらと書きます。

「会ってすぐ全部わかってたんだな」という歌詞に何かドキッとするものを感じました。でもたぶん僕自身にはそんな経験はなかったように思います。恋愛でも、音楽でも。
   それとも忘れているだけなのかな。

「ケセケセ」はシネシネ言っているので苦手です。この曲だけは飛ばしてます。

「ビッグチャンス」はビールを飲みたくなります。「労働後 うまいぜ缶ビール」は何のひねりもないのに魅力的なフレーズです。

「クレーンゲーム」は今作唯一のシングルです。
   しかし最初聴いたときパッとしませんでした。「クレーンゲームをする とれそうでとれないよ」って歌詞が、説明臭く感じたので。
   でも聴いているうちにだんだんハマってきて、最近では仕事中に頭のなかでぐるぐると流れるようになりました。
「何かに似てる 何かに似てる 何かにとても似てる」……人生かな。
   バックのギターのフレーズも好きです。

「小麦粉の加工」「整理された箱」というタイトルはあまりワクワクしないのでちょっと苦手です。タイトルで損している気がします。

   後半の「リリィ」「長い赤信号」はどちらもヒロトさんのハープが好きです。郷愁を誘います。
   こういうちょっとセンチな曲をしっかり聴かせてくれるのもクロマニヨンズの魅力だと思います。
   それにしても「夕立がほらもうすぐそこなのに」とか「変わらない赤信号 長すぎやしないか」とか、シンプルな歌詞なのに心に響きます。年なのか、涙腺にきます。

「ロケッティア」はCメロの盛り上がりが好きです。ここ、もっと長くてもいいと思うのですが、盛り上がったー!と思ったらあっさり終わってしまうので、ちょっとさみしい。

* * * *
   クロマニヨンズは毎回、いまこの瞬間楽しいと思えるものを見せれくれるので好きです。

   たぶん来年にはこのアルバムのことなんて忘れてると思います。今楽しいものが明日も楽しいとは限らないから。
   でもそれでいいと思うのです。
   また新しい「楽しい」を求めて、一年後にはまた新しいクロマニヨンズのアルバムが届けられているはずだから。そして、それはきっと同じように痛快なロックなわけで。
   そうして「楽しい!」はずっと続いていくのです。最高じゃん!!