アンダーワールド ”DRIFT SERIES1 -SAMPLER EDITION” 感想 〜’10年代最後のアンセム

   アンダーワールドの3年ぶり10作目のスタジオ・アルバムを聴いてます。

   アンダーワールドのアルバムを聴くと、二十代の頃に、クラブやレイブに行って朝まで踊り明かしていたことを思い出します。
   当時、明け方近くのフロアで「ボーン・スリッピー」や「REZ」「Two Months Off」がかかると、踊り疲れてぐったりと屍のようになっていたオーディエンスが息を吹き返してむくむくと立ち上がり、ふたたび踊りだすという光景を何度か見かけました。
   ああ、音楽の力ってすごいなぁと思ったものです。

   今回のアルバム”DRIFT SERIES1 -SAMPLER EDITION”は、そんなテクノ/トランスに夢中になっていた若かりしころを思い出させてくれます。
   かといってただ懐古的なだけではなく、'90-'00年代前半のアンダーワールドのテクノの良さを'10年代の新しい感覚で再構築しており、新しい世界が広がっています。
   またレイブやクラブに行って頭を空っぽにして朝まで踊りたいなぁとつい思ってしまいます。時間が取れないのでなかなか難しいですけども。
アンダーワールド ”DRIFT SERIES1 -SAMPLER EDITION”
アンダーワールド ”DRIFT SERIES1 -SAMPLER EDITION”(Amazon)

   さて”DRIFT SERIES1 -SAMPLER EDITION”ですが、突然ポッと発表されたわけではありません。
   アンダーワールドが”DRIFT SERIES1”というプロジェクトを立ち上げて、2018年11月から毎週木曜日に創作物をネットで公開しており、そこからセレクトしてできたのが今作なのです。言わば1年間のベスト盤です。

   ちなみに僕はそんなプロジェクトがあったことを知らなくて、CDに付いてきた解説を読んで初めて知りました。
   ”DRIFT SERIES1”の創作物は今もホームページやyoutubeで公開されており観ることができます。
   また、DRIFT SERIESは5つのエピソードに分かれているそうです。
   詳しくはCDの解説を読むことをおすすめします。

   アルバムのなかのおすすめは①”APPLESHINE”, ③"LISTEN TO THIER NO", ⑨"IMAGINE A BOX", ⑩"CUSTARD SPEEDTALK"です。
   ③はフロア映えしそうな高揚感のあるテクノチューンです。名曲の予感がひしひしと伝わってきます。
   ⑨は不穏な感じの展開にゾクゾクします。
   ⑩は名曲”REZ”を彷彿とさせます。ゆったりと気持ちのいいメロディ展開が好き。

LISTEN TO THIER NO



CUSTARD SPEEDTALK



   全体的にクールというか淡々とした音づくりですが、そんなかにも隠しきれずに外に飛び出してくる熱があり、その熱にあてられて心が揺さぶられます。
   ’10年代最後の年に「やってくれたな、アンダーワールド!」というのが僕の感想です。踊ろう!