村上春樹「騎士団長殺し」文庫版第1部(下)感想

   2月に発売した「騎士団長殺し」文庫版の第1部をようやく読み終わりました。
村上春樹 騎士団長殺し 文庫版第1部

   下巻に入り、物語が動き出します。
   主人公の前に騎士団長が現れ、谷向こうの不思議な隣人”免色”さんから夕食に招待され、13歳の少女秋川まりえの肖像画を描き始める。
   ああ、そうだ、村上春樹の小説はファンタジーだった、と思い出させる内容でした。
   僕が最初に村上春樹を知ったのは「ノルウェイの森」だったので、どうしても村上春樹=青春小説(でもないけど)という先入観があるのですが、実際には村上春樹の長編小説はファンタジー要素が強い。それも、こちらの世界に対するあちらの世界的なもの。
   今回はその要素が少しずつにじみ出てきていました。

   また、今作は「妹」が重要なカギを担っているのが、これまでにない特色といえます。
   この妹は思い出のなかの存在ということもあり、語られる雰囲気がかわいいのです。ちょっと萌えます。



   いろいろな謎を提示して、第2部へと続きます。