縦ノリで行こう! ~スピッツ「甘ったれクリーチャー」感想

「甘ったれクリーチャー」はスピッツの11thアルバム「スーベニア」の3曲目に収録されています。
スピッツ「スーベニア」


「スーベニア」の楽曲はキラキラとしたポップと骨太のロックに大別されると思うのですが、「甘ったれクリーチャー」は明らかに後者、しかもかなり太っといやつです。
   最初からギターもドラムも音がでかいし。間奏ではギターがぎゅいんぎゅいん吠えてるし。サビは転調してめっちゃ縦ノリだし。痛快です。

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   タイトルにある「クリーチャー」は動物や空想上の生き物を指していて、特に神によって創られたものといった意味合いがあるようです。(ネットより)
   歌詞のなかに「新しい生き物になりたい」と出てくるのは、タイトルにも関係していたわけですね。

   歌詞については、変身願望が変態チックに描かれているサビが好きです。
   恥ずかしくもなく「甘えたい」と宣言しているところがいいですし、「もみくちゃに乱され」ることで新しく生まれ変わるという発想もすごいです。
   いったい「君の手」でどんなふうに扱われることを想像しているんでしょうね。興味深いですが、覗き見るのはちょっと怖い(?)気もします。

   また、サビの後半の「どこまでも転がっていきたい」という言葉は、退廃的でいかにもロックンロールな感じですが、その前に「ゆるやかな下り坂」と言っているところに、「崖じゃないんかい!」と思わずツッコミを入れたくなります。まあ甘ったれなので。

   ワイルドなんだか、ゆるいんだかわからない世界観がスピッツらしいです。

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   アルバムで聴いたときからノリが良くて好きでしたが、この歌の持つポテンシャルを再確認したのは、FCイベントのゴースカvol.6のライブ演奏(@名古屋)でした。

   そのときのライブはめっちゃ熱くて、「第2の『俺のすべて』爆誕!」と宣言したくなるくらい、会場全体が熱狂していました。
   みんな縦に飛びまくるし。ステージでは田村さんが縄跳びみたいに縦にぴょんぴょん飛び跳ねてるし。
   僕も汗だくで飛びまくって、すごい楽しかったです。

   で、演奏後のMCのときに、「『甘ったれクリーチャー』のことは忘れていたんだけど、リクエストにあったので弾いてみたらすごく盛り上がった。思い出させてくれてありがとう」というようなことを草野さんが話していたのが印象に残っています。(細かい部分は違うかも。すみません)
   スピッツが生んだものをファンが育てて返して、またスピッツがライブで新しく生まれ変わらせて、それをまたファンが楽しむ、という循環がいいな~と思いました。

   まさに、スピッツとファンとで歌をクリーチャー!
   ……んー、上手く言ったつもりが全然うまく言えてないですね。汗